与えられた3つの数列がそれぞれ増加数列であることを示し、上に有界であるかどうかを調べる問題です。 (1) $\frac{1}{1 \cdot 2} + \frac{1}{2 \cdot 3} + \cdots + \frac{1}{n(n+1)}$ (2) $\frac{1}{1^2} + \frac{1}{2^2} + \frac{1}{3^2} + \cdots + \frac{1}{n^2}$ (3) $\frac{1}{1} + \frac{1}{2} + \cdots + \frac{1}{n}$

解析学数列級数増加数列有界性調和級数部分分数分解
2025/7/26

1. 問題の内容

与えられた3つの数列がそれぞれ増加数列であることを示し、上に有界であるかどうかを調べる問題です。
(1) 112+123++1n(n+1)\frac{1}{1 \cdot 2} + \frac{1}{2 \cdot 3} + \cdots + \frac{1}{n(n+1)}
(2) 112+122+132++1n2\frac{1}{1^2} + \frac{1}{2^2} + \frac{1}{3^2} + \cdots + \frac{1}{n^2}
(3) 11+12++1n\frac{1}{1} + \frac{1}{2} + \cdots + \frac{1}{n}

2. 解き方の手順

(1) の場合:
まず、この数列の第n項までの和 SnS_n は、部分分数分解を用いて次のように書き換えられます。
Sn=k=1n1k(k+1)=k=1n(1k1k+1)S_n = \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k(k+1)} = \sum_{k=1}^{n} (\frac{1}{k} - \frac{1}{k+1})
この和を書き下すと、
Sn=(112)+(1213)++(1n1n+1)S_n = (1 - \frac{1}{2}) + (\frac{1}{2} - \frac{1}{3}) + \cdots + (\frac{1}{n} - \frac{1}{n+1})
となり、多くの項が打ち消しあって、
Sn=11n+1S_n = 1 - \frac{1}{n+1}
となります。
Sn+1Sn=(11n+2)(11n+1)=1n+11n+2=1(n+1)(n+2)>0S_{n+1} - S_n = (1 - \frac{1}{n+2}) - (1 - \frac{1}{n+1}) = \frac{1}{n+1} - \frac{1}{n+2} = \frac{1}{(n+1)(n+2)} > 0
であるため、この数列は増加数列です。
また、nn \to \infty のとき、1n+10\frac{1}{n+1} \to 0 であるので、Sn1S_n \to 1となります。したがって、この数列は上に有界であり、上限は1です。
(2) の場合:
この数列の第n項までの和を SnS_n とします。明らかに、Sn+1Sn=1(n+1)2>0S_{n+1} - S_n = \frac{1}{(n+1)^2} > 0 であるため、この数列は増加数列です。
この数列が上に有界であることは、1k21k(k1)\frac{1}{k^2} \leq \frac{1}{k(k-1)} (for k2k \geq 2)を用いて示すことができます。
k=1n1k2=1+k=2n1k21+k=2n1k(k1)=1+k=2n(1k11k)=1+(11n)=21n<2\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k^2} = 1 + \sum_{k=2}^{n} \frac{1}{k^2} \leq 1 + \sum_{k=2}^{n} \frac{1}{k(k-1)} = 1 + \sum_{k=2}^{n} (\frac{1}{k-1} - \frac{1}{k}) = 1 + (1 - \frac{1}{n}) = 2 - \frac{1}{n} < 2
したがって、この数列は上に有界であり、上限は2以下です。(実際にはπ261.645\frac{\pi^2}{6} \approx 1.645に収束することが知られています。)
(3) の場合:
この数列の第n項までの和を SnS_n とします。明らかに、Sn+1Sn=1n+1>0S_{n+1} - S_n = \frac{1}{n+1} > 0 であるため、この数列は増加数列です。
この数列が上に有界でないことは、調和級数が発散することからわかります。例えば、S2n1+n2S_{2^n} \geq 1 + \frac{n}{2}を示すことができます。
S1=1S_1 = 1
S2=1+12S_2 = 1 + \frac{1}{2}
S4=1+12+(13+14)>1+12+(14+14)=1+22S_4 = 1 + \frac{1}{2} + (\frac{1}{3} + \frac{1}{4}) > 1 + \frac{1}{2} + (\frac{1}{4} + \frac{1}{4}) = 1 + \frac{2}{2}
S8=1+12+(13+14)+(15+16+17+18)>1+12+12+12=1+32S_8 = 1 + \frac{1}{2} + (\frac{1}{3} + \frac{1}{4}) + (\frac{1}{5} + \frac{1}{6} + \frac{1}{7} + \frac{1}{8}) > 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = 1 + \frac{3}{2}
帰納的にS2n>1+n2S_{2^n} > 1 + \frac{n}{2} が示せるので、nn \to \inftyのとき、S2nS_{2^n} \to \inftyとなります。したがって、この数列は上に有界ではありません。

3. 最終的な答え

(1) 増加数列であり、上に有界(上限は1)です。
(2) 増加数列であり、上に有界です。
(3) 増加数列であり、上に有界ではありません。

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