線形写像の核($Ker f_A$)と像($Im f_A$)が部分空間であることを説明し、与えられた行列 $A$ で定まる線形写像 $f_A$ の $Ker f_A$ と $Im f_A$ の次元および1組ずつの基底を求める問題です。ここで、行列 $A$ は次の通りです。 $A = \begin{pmatrix} 1 & -2 & 3 & 1 \\ 2 & -4 & 2 & 4 \\ -3 & 6 & -1 & -7 \end{pmatrix}$
2025/7/26
1. 問題の内容
線形写像の核()と像()が部分空間であることを説明し、与えられた行列 で定まる線形写像 の と の次元および1組ずつの基底を求める問題です。ここで、行列 は次の通りです。
2. 解き方の手順
まず、 と が部分空間であることの簡単な説明をします。
* が部分空間であること:
線形写像 に対して、 と定義されます。 が部分空間であるためには、以下の条件を満たす必要があります。
1. $0 \in Ker f_A$: $f_A(0) = 0$ より成立します。
2. $u, v \in Ker f_A$ ならば $u+v \in Ker f_A$: $f_A(u+v) = f_A(u) + f_A(v) = 0 + 0 = 0$ より成立します。
3. $c \in K$、$u \in Ker f_A$ ならば $cu \in Ker f_A$: $f_A(cu) = c f_A(u) = c \cdot 0 = 0$ より成立します。
したがって、 は部分空間です。
* が部分空間であること:
線形写像 に対して、 と定義されます。 が部分空間であるためには、以下の条件を満たす必要があります。
1. $0 \in Im f_A$: $f_A(0) = 0$ より成立します。
2. $w_1, w_2 \in Im f_A$ ならば $w_1+w_2 \in Im f_A$: ある $v_1, v_2 \in V$ が存在して、$f_A(v_1) = w_1$、$f_A(v_2) = w_2$ です。このとき、$f_A(v_1 + v_2) = f_A(v_1) + f_A(v_2) = w_1 + w_2$ なので、$w_1 + w_2 \in Im f_A$ です。
3. $c \in K$、$w \in Im f_A$ ならば $cw \in Im f_A$: ある $v \in V$ が存在して、$f_A(v) = w$ です。このとき、$f_A(cv) = c f_A(v) = cw$ なので、$cw \in Im f_A$ です。
したがって、 は部分空間です。
次に、行列 を簡約化して、 と の次元と基底を求めます。
まず2行目から1行目の2倍を引き、3行目に1行目の3倍を加えます。
次に、3行目に2行目の2倍を加えます。
さらに、2行目を 倍します。
最後に、1行目から2行目の3倍を引きます。
簡約化された行列は次のようになりました。
* の計算:
は、 を満たす の集合です。簡約化された行列から、次の連立方程式が得られます。
これを解くと、
と を自由変数として、、 とおくと、
したがって、 の基底は、 であり、 の次元は2です。基底を整数係数にするために を用いても良い。
* の計算:
の基底は、行列 の線形独立な列ベクトルから得られます。簡約化された行列から、1列目と3列目が線形独立であることがわかります。したがって、 の基底は、行列 の1列目と3列目、つまり、 であり、 の次元は2です。
3. 最終的な答え
* の次元: 2
* の基底:
* の次元: 2
* の基底: