(1) 擬一次反応となる理由
加水分解反応において、水の濃度は反応中にほとんど変化しないため一定とみなすことができます。したがって、水の濃度を含めた速度定数を新たに定義することで、見かけ上一次反応として扱うことができます。
(2) グラフの選択
与えられた式 k=kH+[H3O+]+kOH−[OH−] の常用対数をとります。 まず、水のイオン積 Kw=[H3O+][OH−]=1.0×10−14 より、[OH−]=[H3O+]Kw です。 pHの定義より、[H3O+]=10−pH です。よって、[OH−]=10−pH10−14=10pH−14 となります。 k=kH+10−pH+kOH−10pH−14 k=(1.0×104)10−pH+(1.0×102)10pH−14 k=104−pH+10pH−12 両辺の常用対数をとると、
logk=log(104−pH+10pH−12) pHが小さいとき、104−pH が支配的になり、pHが大きくなるほど logk は直線的に減少します。pHが大きいとき、10pH−12 が支配的になり、pHが大きくなるほど logk は直線的に増加します。中間付近では、104−pH と 10pH−12 の影響が同程度となり、最小値を持つことが予想できます。 pH = 6のとき、k=104−6+106−12=10−2+10−6≈10−2 なので、logk=−2 となります。 pH = 8のとき、k=104−8+108−12=10−4+10−4=2×10−4 なので、logk=log2+log10−4=log2−4≈0.3−4=−3.7 となります。 これらのことから、(オ)のグラフが最も適切であると考えられます。
(3) 最も安定なpH
最も安定なpHは、k が最小となるpHです。(2)より、グラフ(オ)が最も適切なので、グラフの最小値となるpHを読み取ると、pH = 7 付近となります。正確に計算するには、k を最小にするpHを求める必要があります。 k=104−pH+10pH−12 dpHdk=−(ln10)104−pH+(ln10)10pH−12=0 104−pH=10pH−12 4−pH=pH−12 (4) 半減期
半減期 t1/2 は、一次反応の場合 t1/2=kln2 で表されます。 pH = 8のとき、k=104−8+108−12=10−4+10−4=2×10−4 min−1 です。 t1/2=2×10−40.69=20.69×104=0.345×104=3450 min 1日は24時間で、1時間は60分なので、1日は 24×60=1440 分です。 t1/2=14403450≈2.4 日