問題1は、長さ $l$ の糸に質量 $M$、半径 $a$ の球を取り付けたボルダの振り子に関する問題です。以下の問いに答えます。 (a) 振り子の支点Oを通る、鉛直面に垂直な軸周りの慣性モーメント $I$ を求めます。 (b) 振り子の回転運動の運動方程式を求めます。 (c) 振り子の振れ角が十分小さいとして、運動方程式の一般解と周期 $T$ を求めます。 問題2は、アトウッドの器械に関する問題です。質量 $m_1$ の物体1と質量 $m_2$ の物体2を糸で結び、半径 $a$ の滑車にかけます。以下の問いに答えます。 (a) 物体1, 2の運動方程式と、滑車の回転運動の運動方程式を求めます。 (b) 物体1, 2の加速度を求めます。 (c) 物体1, 2にかかる張力を求めます。

1. 問題の内容

問題1は、長さ $l$ の糸に質量 $M$、半径 $a$ の球を取り付けたボルダの振り子に関する問題です。以下の問いに答えます。

(a) 振り子の支点Oを通る、鉛直面に垂直な軸周りの慣性モーメント $I$ を求めます。

(b) 振り子の回転運動の運動方程式を求めます。

(c) 振り子の振れ角が十分小さいとして、運動方程式の一般解と周期 $T$ を求めます。

問題2は、アトウッドの器械に関する問題です。質量 $m_1$ の物体1と質量 $m_2$ の物体2を糸で結び、半径 $a$ の滑車にかけます。以下の問いに答えます。

(a) 物体1, 2の運動方程式と、滑車の回転運動の運動方程式を求めます。

(b) 物体1, 2の加速度を求めます。

(c) 物体1, 2にかかる張力を求めます。

2. 解き方の手順

問題1

(a) 振り子の支点O周りの慣性モーメント $I$ は、平行軸の定理を用いて計算できます。球の重心周りの慣性モーメント $I_G = \frac{2}{5}Ma^2$ と、支点Oから重心までの距離 $l$ を用いて、

$I = I_G + Ml^2 = \frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2$

(b) 振り子の回転運動の運動方程式は、トルク $\tau$ と慣性モーメント $I$、角加速度 $\alpha$ の関係 $\tau = I \alpha$ から導出できます。重力によるトルクは $\tau = -Mgl\sin\theta$ であり、角加速度は $\alpha = \frac{d^2\theta}{dt^2}$ なので、運動方程式は次のようになります。

$I \frac{d^2\theta}{dt^2} = -Mgl\sin\theta$

$(\frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2) \frac{d^2\theta}{dt^2} = -Mgl\sin\theta$

(c) 振れ角 $\theta$ が十分小さいとき、$\sin\theta \approx \theta$ と近似できます。運動方程式は次のようになります。

$(\frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2) \frac{d^2\theta}{dt^2} = -Mgl\theta$

$\frac{d^2\theta}{dt^2} + \frac{Mgl}{(\frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2)} \theta = 0$

これは単振動の運動方程式であり、角振動数 $\omega = \sqrt{\frac{Mgl}{(\frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2)}}$ となります。

周期 $T$ は $T = \frac{2\pi}{\omega}$ で与えられるので、

$T = 2\pi \sqrt{\frac{\frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2}{Mgl}} = 2\pi \sqrt{\frac{\frac{2}{5}a^2 + l^2}{gl}}$

問題2

(a) 物体1, 2の運動方程式は、それぞれの質量に働く力（重力と張力）を考慮して記述します。物体1にかかる張力を $T_1$、物体2にかかる張力を $T_2$ とすると、

$m_1\frac{d^2x_1}{dt^2} = T_1 - m_1g$

$m_2\frac{d^2x_2}{dt^2} = T_2 - m_2g$

滑車の回転運動の運動方程式は、トルクと慣性モーメント、角加速度の関係から導出します。糸が滑車に与えるトルクは $(T_1-T_2)a$ であり、角加速度は $\frac{d^2\omega}{dt^2}$ なので、

$I\frac{d\omega}{dt} = (T_2-T_1)a$

(b) 糸がたるまない条件 $x_1 + x_2 = \text{一定}$ より、$\frac{d^2x_1}{dt^2} = -\frac{d^2x_2}{dt^2} = a_1$ とします。また、糸が滑車面を滑らない条件より $a\omega = \frac{dx_1}{dt} = -\frac{dx_2}{dt}$、そして $a\frac{d\omega}{dt} = \frac{d^2x_1}{dt^2} = a_1$ となります。したがって、運動方程式は次のようになります。

$m_1 a_1 = T_1 - m_1g$

$-m_2 a_1 = T_2 - m_2g$

$I\frac{a_1}{a} = (T_2-T_1)a$

これらの式を連立して $a_1$ を求めると、

$a_1 = \frac{(m_2 - m_1)g}{m_1 + m_2 + \frac{I}{a^2}}$

(c) 上で求めた $a_1$ を用いて、張力 $T_1, T_2$ を求めます。

$T_1 = m_1(g+a_1) = m_1(g + \frac{(m_2 - m_1)g}{m_1 + m_2 + \frac{I}{a^2}})$

$T_2 = m_2(g-a_1) = m_2(g - \frac{(m_2 - m_1)g}{m_1 + m_2 + \frac{I}{a^2}})$

3. 最終的な答え

問題1

(a) $I = \frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2$

(b) $(\frac{2}{5}Ma^2 + Ml^2) \frac{d^2\theta}{dt^2} = -Mgl\sin\theta$

(c) $T = 2\pi \sqrt{\frac{\frac{2}{5}a^2 + l^2}{gl}}$

問題2

(a)

$m_1\frac{d^2x_1}{dt^2} = T_1 - m_1g$

$m_2\frac{d^2x_2}{dt^2} = T_2 - m_2g$

$I\frac{d\omega}{dt} = (T_2-T_1)a$

(b) $a_1 = \frac{(m_2 - m_1)g}{m_1 + m_2 + \frac{I}{a^2}}$

(c)

$T_1 = m_1(g + \frac{(m_2 - m_1)g}{m_1 + m_2 + \frac{I}{a^2}})$

$T_2 = m_2(g - \frac{(m_2 - m_1)g}{m_1 + m_2 + \frac{I}{a^2}})$