問題170は、以下の3つの小問から構成されています。 (1) $a$を正の定数とするとき、確率変数$Z$が標準正規分布$N(0,1)$に従うとき、$P(|Z|\ge a) = 2P(Z\ge a)$となることを示します。 (2) 確率変数$X$が正規分布$N(m,\sigma^2)$に従うとき、$P(|X-m|\ge \frac{\sigma}{4})$を求めます。ただし、小数第4位を四捨五入します。 (3) 母平均$m$, 母標準偏差$\sigma$の正規分布に従う母集団から大きさ$n$の無作為標本を抽出するとき、その標本平均$\bar{X}$について、$P(|\bar{X}-m|\ge \frac{\sigma}{4})\le 0.02$を満たす最小の$n$を求めます。

1. 問題の内容

問題170は、以下の3つの小問から構成されています。

(1) $a$を正の定数とするとき、確率変数$Z$が標準正規分布$N(0,1)$に従うとき、$P(|Z|\ge a) = 2P(Z\ge a)$となることを示します。

(2) 確率変数$X$が正規分布$N(m,\sigma^2)$に従うとき、$P(|X-m|\ge \frac{\sigma}{4})$を求めます。ただし、小数第4位を四捨五入します。

(3) 母平均$m$, 母標準偏差$\sigma$の正規分布に従う母集団から大きさ$n$の無作為標本を抽出するとき、その標本平均$\bar{X}$について、$P(|\bar{X}-m|\ge \frac{\sigma}{4})\le 0.02$を満たす最小の$n$を求めます。

2. 解き方の手順

(1) 絶対値記号を外します。

$P(|Z| \ge a) = P(Z \ge a \ or \ Z \le -a) = P(Z \ge a) + P(Z \le -a)$

標準正規分布は左右対称なので、$P(Z \le -a) = P(Z \ge a)$

したがって、$P(|Z| \ge a) = P(Z \ge a) + P(Z \ge a) = 2P(Z \ge a)$

(2) $Z = \frac{X-m}{\sigma}$とおくと、$Z$は標準正規分布$N(0,1)$に従います。

$|X-m| \ge \frac{\sigma}{4}$より、$\frac{|X-m|}{\sigma} \ge \frac{1}{4}$

$|\frac{X-m}{\sigma}| \ge \frac{1}{4}$より、$|Z| \ge \frac{1}{4}$

$P(|X-m| \ge \frac{\sigma}{4}) = P(|Z| \ge \frac{1}{4}) = 2P(Z \ge \frac{1}{4})$

$\frac{1}{4} = 0.25$なので、$P(Z \ge 0.25)$を標準正規分布表から読み取ります。

$P(Z \ge 0.25) = 0.4013$

$2P(Z \ge 0.25) = 2 \times 0.4013 = 0.8026$

小数第4位を四捨五入すると、0.803となります。

(3) $\bar{X}$は近似的に正規分布$N(m, \frac{\sigma^2}{n})$に従うので、$Z = \frac{\bar{X}-m}{\sigma/\sqrt{n}}$とおくと、$Z$は標準正規分布$N(0,1)$に従います。

$|\bar{X}-m| \ge \frac{\sigma}{4}$より、$\frac{|\bar{X}-m|}{\sigma/\sqrt{n}} \ge \frac{\sigma/4}{\sigma/\sqrt{n}} = \frac{\sqrt{n}}{4}$

$P(|\bar{X}-m| \ge \frac{\sigma}{4}) = P(|Z| \ge \frac{\sqrt{n}}{4}) = 2P(Z \ge \frac{\sqrt{n}}{4}) \le 0.02$

$P(Z \ge \frac{\sqrt{n}}{4}) \le 0.01$

$P(Z \le \frac{\sqrt{n}}{4}) \ge 0.99$

標準正規分布表から、$P(Z \le 2.33) = 0.9901$より、$\frac{\sqrt{n}}{4} \ge 2.33$であればよい。

$\sqrt{n} \ge 4 \times 2.33 = 9.32$

$n \ge (9.32)^2 = 86.8624$

$n$は整数なので、$n \ge 87$

3. 最終的な答え

(1) $P(|Z|\ge a)=2P(Z\ge a)$となることの証明は上記参照。

(2) 0.803

(3) 87