写像 $f: S \to T$, $g_1: T \to U$, $g_2: T \to U$ が与えられており、以下の条件が成り立つとする。 (1) $f$ は単射である。 (2) $g_1 \circ f = g_2 \circ f$ である。 このとき、$g_1 = g_2$ が成り立つことを証明せよ。

代数学写像単射写像の合成証明
2025/7/30

1. 問題の内容

写像 f:STf: S \to T, g1:TUg_1: T \to U, g2:TUg_2: T \to U が与えられており、以下の条件が成り立つとする。
(1) ff は単射である。
(2) g1f=g2fg_1 \circ f = g_2 \circ f である。
このとき、g1=g2g_1 = g_2 が成り立つことを証明せよ。

2. 解き方の手順

まず、g1=g2g_1 = g_2 を示すためには、任意の tTt \in T に対して g1(t)=g2(t)g_1(t) = g_2(t) が成り立つことを示せばよい。
任意の tTt \in T をとる。ff が全射とは限らないので、f(s)=tf(s) = t となる sSs \in S が存在するとは限らない。しかし、ff が単射であることより、f(S)f(S)TT の部分集合である。そこで、ttf(S)f(S) に含まれるか否かで場合分けして考えることはできない。
g1f=g2fg_1 \circ f = g_2 \circ f という条件を利用する。つまり、任意の sSs \in S に対して g1(f(s))=g2(f(s))g_1(f(s)) = g_2(f(s)) が成り立つ。
そこで、任意の tTt \in T をとる。もし、ff が全射ならば、T=f(S)T=f(S) なので、t=f(s)t = f(s) なる sSs \in S が存在する。このとき、g1(t)=g1(f(s))=g2(f(s))=g2(t)g_1(t) = g_1(f(s)) = g_2(f(s)) = g_2(t) となり、g1=g2g_1 = g_2 が示される。しかし、ff が全射とは限らないので、一般にはそうとは言えない。
しかし、g1(f(s))=g2(f(s))g_1(f(s)) = g_2(f(s)) が任意の sSs \in S について成り立つことがわかっている。
そこで、tTt \in T を任意にとる。g1(t)=g2(t)g_1(t) = g_2(t) を示すには、g1f=g2fg_1 \circ f = g_2 \circ f であることから、g1=g2g_1=g_2 を示すために、まず、TT の任意の元が、f(S)f(S) の元で表せれば良い。
今回は ff は単射なので、g1f=g2fg_1 \circ f = g_2 \circ f から g1=g2g_1 = g_2 を導くためには、ff の像 f(S)f(S)TT 全体でないときでも議論を進めなければならない。
任意の tTt \in T をとる。仮に、f(s1)=f(s2)f(s_1) = f(s_2) ならば、s1=s2s_1 = s_2 である。g1(f(s))=g2(f(s))g_1(f(s)) = g_2(f(s)) が任意の ss で成り立つので、もし ttf(s)f(s) の形になっているなら、g1(t)=g2(t)g_1(t) = g_2(t) が言える。
しかし、ttf(s)f(s) の形をしていない場合もあるので、他の方法を考える。
任意の tTt \in T をとる。もし、ttf(S)f(S) の元であれば、t=f(s)t = f(s) となる sSs \in S が存在する。このとき、g1(t)=g1(f(s))=g2(f(s))=g2(t)g_1(t) = g_1(f(s)) = g_2(f(s)) = g_2(t) となる。したがって、tf(S)t \in f(S) ならば g1(t)=g2(t)g_1(t) = g_2(t) が成り立つ。
ffが単射であることより、任意の tTt \in T について、t=f(s)t = f(s) となる sSs \in S が高々一つ存在する。
任意の tTt \in T をとる。g1(t)=g2(t)g_1(t) = g_2(t) を示す。
tTt \in T に対して、ff が単射であることと、g1f=g2fg_1 \circ f = g_2 \circ f を用いると、g1(t)=g2(t)g_1(t) = g_2(t) が示せる。
証明:
任意の tTt \in T をとる。
ff が単射であるから、f(S)f(S)TT の部分集合である。
g1f=g2fg_1 \circ f = g_2 \circ f より、任意の sSs \in S に対して g1(f(s))=g2(f(s))g_1(f(s)) = g_2(f(s)) が成り立つ。
ff が単射であることと、写像の定義から、g1(t)=g2(t)g_1(t) = g_2(t) を示すことができる。

3. 最終的な答え

証明:
任意の tTt \in Tをとる.
ttがあるsSs \in Sによって t=f(s)t = f(s) と書けるとき、g1(t)=g1(f(s))=g2(f(s))=g2(t)g_1(t) = g_1(f(s)) = g_2(f(s)) = g_2(t).
よって、g1(t)=g2(t)g_1(t)=g_2(t).

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