A社とB社という2つの自動車メーカーが、ガソリン車の製造を継続するか、電気自動車(BEV)の製造に特化するかの戦略を考えている。各企業の戦略の組み合わせに対する利得が表で与えられている。このゲームにおけるナッシュ均衡をすべて求める。
2025/7/30
1. 問題の内容
A社とB社という2つの自動車メーカーが、ガソリン車の製造を継続するか、電気自動車(BEV)の製造に特化するかの戦略を考えている。各企業の戦略の組み合わせに対する利得が表で与えられている。このゲームにおけるナッシュ均衡をすべて求める。
2. 解き方の手順
ナッシュ均衡は、どのプレイヤーも自分の戦略を一方的に変更するインセンティブを持たない戦略の組み合わせである。つまり、相手の戦略が与えられたとき、自分の戦略が最適反応になっている状態である。
この問題を解くには、各プレイヤーにとって最適な戦略を決定する必要がある。
まずA社から考える。
* B社がガソリン車を継続する場合、A社はガソリン車継続(利得2)かBEV特化(利得4)のどちらを選ぶべきか。A社はBEV特化を選ぶ。
* B社がBEV特化する場合、A社はガソリン車継続(利得5)かBEV特化(利得2)のどちらを選ぶべきか。A社はガソリン車継続を選ぶ。
次にB社について考える。
* A社がガソリン車を継続する場合、B社はガソリン車継続(利得2)かBEV特化(利得7)のどちらを選ぶべきか。B社はBEV特化を選ぶ。
* A社がBEV特化する場合、B社はガソリン車継続(利得6)かBEV特化(利得4)のどちらを選ぶべきか。B社はガソリン車継続を選ぶ。
上記の最適反応をまとめると以下のようになる。
* A社がガソリン車継続の場合、B社はBEV特化を選ぶ。このとき、A社はBEV特化を選ぶべきであり、戦略の組み合わせは (BEV特化, BEV特化)となる。これはナッシュ均衡ではない。
* A社がBEV特化の場合、B社はガソリン車継続を選ぶ。このとき、A社はBEV特化を選ぶのが最適である。この戦略の組み合わせ(BEV特化, ガソリン車継続)はナッシュ均衡である。
* B社がガソリン車継続の場合、A社はBEV特化を選ぶ。このとき、B社はガソリン車継続を選ぶのが最適である。この戦略の組み合わせ(BEV特化, ガソリン車継続)はナッシュ均衡である。
* B社がBEV特化の場合、A社はガソリン車継続を選ぶ。このとき、B社はBEV特化を選ぶのが最適である。この戦略の組み合わせ(ガソリン車継続, BEV特化)はナッシュ均衡である。
ナッシュ均衡を調べるため、各戦略の組み合わせを見ていく。
1. (ガソリン車継続, ガソリン車継続):
* A社はBEV特化を選ぶと利得が2から4に増加するので、戦略を変更するインセンティブがある。
* B社もBEV特化を選ぶと利得が2から7に増加するので、戦略を変更するインセンティブがある。
* よって、この戦略の組み合わせはナッシュ均衡ではない。
2. (ガソリン車継続, BEV特化):
* A社はガソリン車継続からBEV特化に戦略を変えると利得が5から2に減少するので、戦略を変更するインセンティブはない。
* B社はBEV特化からガソリン車継続に戦略を変えると利得が7から2に減少するので、戦略を変更するインセンティブはない。
* よって、この戦略の組み合わせはナッシュ均衡である。
3. (BEV特化, ガソリン車継続):
* A社はBEV特化からガソリン車継続に戦略を変えると利得が4から2に減少するので、戦略を変更するインセンティブはない。
* B社はガソリン車継続からBEV特化に戦略を変えると利得が6から4に減少するので、戦略を変更するインセンティブはない。
* よって、この戦略の組み合わせはナッシュ均衡である。
4. (BEV特化, BEV特化):
* A社はガソリン車継続に戦略を変えると利得が2から5に増加するので、戦略を変更するインセンティブがある。
* B社もガソリン車継続に戦略を変えると利得が4から6に増加するので、戦略を変更するインセンティブがある。
* よって、この戦略の組み合わせはナッシュ均衡ではない。
3. 最終的な答え
このゲームにおけるナッシュ均衡は、(ガソリン車継続, BEV特化)と(BEV特化, ガソリン車継続)の2つである。