質量 $m_1$ の質点1と質量 $m_2$ の質点2があり、それぞれ力 $F_1$, $F_2$ を受けている。それぞれの位置ベクトルを $r_1$, $r_2$ とするとき、以下の問いに答える。 (1) 2つの質点それぞれが受ける力は内力のみで、作用・反作用の法則により $F_1 = -F_2$ が成り立つとき、運動量保存則 $m_1 v_1 + m_2 v_2 =$ 一定 が成立することを示せ。ここで、$v_1 = \frac{dr_1}{dt}$, $v_2 = \frac{dr_2}{dt}$ である。 (2) 重心の位置ベクトルを $r_G = \frac{m_1 r_1 + m_2 r_2}{m_1 + m_2}$ とする。(1)のとき、重心は等速運動することを示せ。 (3) 重心と共に動いている観測者が質点1と質点2を観測すると、全運動量は0になることを示せ。 (4) 2つの質点の相対位置ベクトルを $r = r_2 - r_1$ とする。$r = |r|$ のとき、$F_1 = -F_2 = f(r)\frac{r}{r}$ と表されるとき、$\mu \frac{d^2 r}{dt^2} = -f(r)\frac{r}{r}$ を示せ。ここで、$\mu = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}$ で、$f(r)$ は $r$ の任意関数である。

応用数学力学運動量保存則重心運動方程式質点
2025/8/2

1. 問題の内容

質量 m1m_1 の質点1と質量 m2m_2 の質点2があり、それぞれ力 F1F_1, F2F_2 を受けている。それぞれの位置ベクトルを r1r_1, r2r_2 とするとき、以下の問いに答える。
(1) 2つの質点それぞれが受ける力は内力のみで、作用・反作用の法則により F1=F2F_1 = -F_2 が成り立つとき、運動量保存則 m1v1+m2v2=m_1 v_1 + m_2 v_2 = 一定 が成立することを示せ。ここで、v1=dr1dtv_1 = \frac{dr_1}{dt}, v2=dr2dtv_2 = \frac{dr_2}{dt} である。
(2) 重心の位置ベクトルを rG=m1r1+m2r2m1+m2r_G = \frac{m_1 r_1 + m_2 r_2}{m_1 + m_2} とする。(1)のとき、重心は等速運動することを示せ。
(3) 重心と共に動いている観測者が質点1と質点2を観測すると、全運動量は0になることを示せ。
(4) 2つの質点の相対位置ベクトルを r=r2r1r = r_2 - r_1 とする。r=rr = |r| のとき、F1=F2=f(r)rrF_1 = -F_2 = f(r)\frac{r}{r} と表されるとき、μd2rdt2=f(r)rr\mu \frac{d^2 r}{dt^2} = -f(r)\frac{r}{r} を示せ。ここで、μ=m1m2m1+m2\mu = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2} で、f(r)f(r)rr の任意関数である。

2. 解き方の手順

(1) 運動方程式は m1dv1dt=F1m_1 \frac{dv_1}{dt} = F_1 , m2dv2dt=F2m_2 \frac{dv_2}{dt} = F_2 となる。
F1=F2F_1 = -F_2 より、 m1dv1dt+m2dv2dt=0m_1 \frac{dv_1}{dt} + m_2 \frac{dv_2}{dt} = 0 となる。
ddt(m1v1+m2v2)=0\frac{d}{dt}(m_1 v_1 + m_2 v_2) = 0 より、m1v1+m2v2=m_1 v_1 + m_2 v_2 = 一定となる。
(2) rG=m1r1+m2r2m1+m2r_G = \frac{m_1 r_1 + m_2 r_2}{m_1 + m_2} より、
vG=drGdt=m1v1+m2v2m1+m2v_G = \frac{dr_G}{dt} = \frac{m_1 v_1 + m_2 v_2}{m_1 + m_2} となる。
(1)より m1v1+m2v2=m_1 v_1 + m_2 v_2 = 一定なので、vG=v_G = 一定 となり、重心は等速運動する。
(3) 重心と共に動いている観測者から見た速度を v1=v1vGv'_1 = v_1 - v_G, v2=v2vGv'_2 = v_2 - v_G とする。
全運動量は m1v1+m2v2=m1(v1vG)+m2(v2vG)=m1v1+m2v2(m1+m2)vGm_1 v'_1 + m_2 v'_2 = m_1 (v_1 - v_G) + m_2 (v_2 - v_G) = m_1 v_1 + m_2 v_2 - (m_1 + m_2) v_G となる。
vG=m1v1+m2v2m1+m2v_G = \frac{m_1 v_1 + m_2 v_2}{m_1 + m_2} より、 m1v1+m2v2=(m1+m2)vGm_1 v_1 + m_2 v_2 = (m_1 + m_2) v_G となるので、
m1v1+m2v2=(m1+m2)vG(m1+m2)vG=0m_1 v'_1 + m_2 v'_2 = (m_1 + m_2) v_G - (m_1 + m_2) v_G = 0 となる。
(4) 運動方程式は m1d2r1dt2=F1m_1 \frac{d^2 r_1}{dt^2} = F_1 , m2d2r2dt2=F2m_2 \frac{d^2 r_2}{dt^2} = F_2 となる。
F1=F2=f(r)rrF_1 = -F_2 = f(r)\frac{r}{r} より、m1d2r1dt2=f(r)rrm_1 \frac{d^2 r_1}{dt^2} = f(r)\frac{r}{r} , m2d2r2dt2=f(r)rrm_2 \frac{d^2 r_2}{dt^2} = -f(r)\frac{r}{r} となる。
r=r2r1r = r_2 - r_1 より、d2rdt2=d2r2dt2d2r1dt2\frac{d^2 r}{dt^2} = \frac{d^2 r_2}{dt^2} - \frac{d^2 r_1}{dt^2} となる。
d2rdt2=1m2f(r)rr1m1f(r)rr=(1m1+1m2)f(r)rr=(m1+m2m1m2)f(r)rr\frac{d^2 r}{dt^2} = -\frac{1}{m_2}f(r)\frac{r}{r} - \frac{1}{m_1} f(r)\frac{r}{r} = -(\frac{1}{m_1} + \frac{1}{m_2}) f(r)\frac{r}{r} = -(\frac{m_1 + m_2}{m_1 m_2}) f(r)\frac{r}{r} となる。
m1m2m1+m2d2rdt2=f(r)rr\frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2} \frac{d^2 r}{dt^2} = -f(r)\frac{r}{r} となるので、 μd2rdt2=f(r)rr\mu \frac{d^2 r}{dt^2} = -f(r)\frac{r}{r} となる。

3. 最終的な答え

(1) m1v1+m2v2=m_1 v_1 + m_2 v_2 = 一定
(2) 重心は等速運動する
(3) 全運動量は0になる
(4) μd2rdt2=f(r)rr\mu \frac{d^2 r}{dt^2} = -f(r)\frac{r}{r}

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