ある消費者が2つの財(財1と財2)を消費します。消費者の所得と2つの財の価格が与えられたとき、以下の問いに答えます。 (1) 財1の価格が300、財2の価格が150、所得が1500であるとき、効用を最大化する点はA,B,Cのうちどれか。 (2) 財1の価格が150に下がったとき、財1の代替効果による変化量はいくらか。 (3) (2)の仮定の下で、財1の所得効果による変化量はいくらか。 (4) (2)の仮定の下で、財1の代替効果と所得効果を合わせた変化量はいくらか。 (5) 一般的に、財1の価格低下によって、財1の需要量が減少することはあり得るか。
2025/7/30
はい、承知いたしました。以下に問題の解答を示します。
1. 問題の内容
ある消費者が2つの財(財1と財2)を消費します。消費者の所得と2つの財の価格が与えられたとき、以下の問いに答えます。
(1) 財1の価格が300、財2の価格が150、所得が1500であるとき、効用を最大化する点はA,B,Cのうちどれか。
(2) 財1の価格が150に下がったとき、財1の代替効果による変化量はいくらか。
(3) (2)の仮定の下で、財1の所得効果による変化量はいくらか。
(4) (2)の仮定の下で、財1の代替効果と所得効果を合わせた変化量はいくらか。
(5) 一般的に、財1の価格低下によって、財1の需要量が減少することはあり得るか。
2. 解き方の手順
(1) 所得と価格から予算制約線を求めます。予算制約式は
と表されます。
これを整理すると、 となります。
この予算制約線は図の太い青線に対応します。この予算制約線と最も高い無差別曲線が接する点が効用を最大化する点であり、図から点Aであることがわかります。点Aは無差別曲線と接しています。したがって、答えはAです。
(2) 財1の価格が150に下がったときの予算制約式は、
となり、整理すると、 となります。
この新しい予算制約線は点(0,10)と(10,0)を結ぶ青い線に対応します。
このとき、効用を最大化する点はCになります。点Aから点Cへの移動が価格効果です。
代替効果は、効用水準を一定に保ちながら、相対価格の変化による財1の消費量の変化を表します。財1の価格が下がると、予算制約線はより緩やかになります。代替効果だけを考えると、消費者は財1をより多く消費し、財2をより少なく消費するようになります。図では、点Aから無差別曲線に接するような新しい予算制約線(点Bを通る点線)を考えます。このとき、財1の消費量は2単位になります。
したがって、代替効果による財1の消費量の変化は、 となります。
(3) 所得効果は、相対価格が一定のまま、所得の変化によって財1の消費量が変化する量を表します。財1の価格が下がったことで、消費者の実質所得が増加します。この所得増加によって、消費者は財1と財2の両方をより多く消費するようになります。図では、点Bから点Cへの移動が所得効果に対応します。
点Cにおける財1の消費量は3単位なので、所得効果による財1の消費量の変化は、 となります。
(4) 代替効果と所得効果を合わせた効果は、価格効果と呼ばれます。財1の価格が下がったとき、財1の消費量は点Aから点Cに移動します。したがって、代替効果と所得効果を合わせた変化量は、 となります。
これは、(2)で求めた代替効果(-3)と(3)で求めた所得効果(1)の合計に等しくなります。
(5) 財1の価格低下によって、財1の需要量が減少する場合、財1はギッフェン財と呼ばれます。ギッフェン財は、所得効果が代替効果を上回るような財です。一般的に、ギッフェン財は存在する可能性があります。したがって、答えは1です。
3. 最終的な答え
(1) 1
(2) -3
(3) 1
(4) -2
(5) 1