極限の存在を調べるために、いくつかの経路に沿って (0,0) に近づけてみます。 (1) x=0 に沿って近づく場合: f(0,y)=2⋅02+y20⋅y2=y20=0 (ただし、y=0) したがって、limy→0f(0,y)=0 (2) y=0 に沿って近づく場合: f(x,0)=2x2+02x⋅02=2x20=0 (ただし、x=0) したがって、limx→0f(x,0)=0 (3) y=x に沿って近づく場合: f(x,x)=2x2+x2x⋅x2=3x2x3=3x (ただし、x=0) したがって、limx→0f(x,x)=limx→03x=0 (4) x=ky に沿って近づく場合: f(ky,y)=2(ky)2+y2ky⋅y2=2k2y2+y2ky3=2k2+1ky (ただし、y=0) したがって、limy→0f(ky,y)=limy→02k2+1ky=0 これらの経路では全て 0 に収束していますが、これだけでは極限が存在すると断言できません。
別の経路でも確認してみます。
(5) y2=ax2 に沿って近づく場合: f(x,y)=f(x,ax)=2x2+(ax)2x(ax)2=2x2+ax2ax3=2+aax したがって、limx→0f(x,ax)=limx→02+aax=0 これらの経路だけでは極限値が0のように見えます。しかし、x=rcosθ、y=rsinθ と極座標変換して計算してみます。 \lim_{(x, y) \to (0, 0)} \frac{xy^2}{2x^2 + y^2} = \lim_{r \to 0} \frac{r\cos\theta \cdot (r\sin\theta)^2}{2(r\cos\theta)^2 + (r\sin\theta)^2} = \lim_{r \to 0} \frac{r^3\cos\theta\sin^2\theta}{r^2(2\cos^2\theta + \sin^2\theta)} = \lim_{r \to 0} \frac{r\cos\theta\sin^2\theta}{2\cos^2\theta + \sin^2\theta}
ここで、2cos2θ+sin2θ=2cos2θ+(1−cos2θ)=cos2θ+1 なので、分母は常に1以上となります。 よって、
\lim_{r \to 0} \frac{r\cos\theta\sin^2\theta}{\cos^2\theta + 1} = 0