ある財の需要曲線、供給曲線(私的限界費用曲線)、社会的限界費用曲線が与えられている。この財は生産1単位につき30の負の外部性が発生している。市場均衡価格 $p^* = 80$、均衡取引量 $Q^* = 60$、社会的最適取引量 $Q^0 = 40$ である。 (1) 図中の空欄の価格を求める。 (2) 市場均衡における消費者余剰 $CS^*$、生産者余剰 $PS^*$、被害額 $DM^*$、総余剰 $TS^*$ を求める。 (3) 社会的最適取引量 $Q^0 = 40$ のもとでの総余剰 $TS^0$ と、市場均衡において生じる死荷重 $DWL$ を求める。

応用数学ミクロ経済学需要曲線供給曲線市場均衡消費者余剰生産者余剰外部性社会的最適死荷重
2025/7/30
## 解答

1. 問題の内容

ある財の需要曲線、供給曲線(私的限界費用曲線)、社会的限界費用曲線が与えられている。この財は生産1単位につき30の負の外部性が発生している。市場均衡価格 p=80p^* = 80、均衡取引量 Q=60Q^* = 60、社会的最適取引量 Q0=40Q^0 = 40 である。
(1) 図中の空欄の価格を求める。
(2) 市場均衡における消費者余剰 CSCS^*、生産者余剰 PSPS^*、被害額 DMDM^*、総余剰 TSTS^* を求める。
(3) 社会的最適取引量 Q0=40Q^0 = 40 のもとでの総余剰 TS0TS^0 と、市場均衡において生じる死荷重 DWLDWL を求める。

2. 解き方の手順

(1) 空欄の価格を求める。
* 空欄は需要曲線(限界便益曲線)とQ=0Q=0の交点の価格を表す。
* 需要曲線と社会的限界費用曲線の交点が、Q0=40Q^0 = 40の時の価格を表す。
* 生産量1単位につき30の負の外部性が発生しているので、社会的限界費用曲線は供給曲線(私的限界費用曲線)より30高い。Q0=40Q^0 = 40 の時の供給曲線上の価格は需要曲線と社会的限界費用曲線の交点の価格よりも30低い。
* 供給曲線は、Q=60Q^* = 60の時、P=80P^* = 80を通る。
* 供給曲線はP=aQ+bP = aQ + bの一次関数で表せる。
* 社会的限界費用曲線は P=aQ+(b+30)P = aQ + (b+30)
* 需要曲線もP=cQ+dP = cQ + dの一次関数で表せる。
* 需要曲線はQ=60Q^* = 60の時、P=80P^* = 80を通り、Q0=40Q^0 = 40の時、社会的限界費用曲線と交わる。
* 供給曲線と社会的限界費用曲線の傾きは等しいので、需要曲線と社会的限界費用曲線の交点における供給曲線の価格は、8030=5080 - 30 = 50 となる。
* 需要曲線は、Q=40Q=40の時、P=50+30=80P=50+30=80と社会的限界費用曲線と交わるので、P=80P=80、また、Q=60Q=60の時、P=80P=80を通る。
* 80=40c+d80 = 40c + d
* 80=60c+d80 = 60c + d
* 上記の連立方程式を解くと、c=0c=0, d=80d=80
* 需要曲線は P=80P = 80となる。問題文の図が間違っている。
* 需要曲線が間違っていると仮定して、需要曲線を P=cQ+dP=cQ+d とし、Q=60Q=60の時、P=80P=80Q=0Q=0の時、P=110P=110を通るとする。
* 80=60c+d80 = 60c+d
* 110=d110 = d
* これらを解くと、c=0.5c = -0.5, d=110d=110
* 需要曲線は P=0.5Q+110P = -0.5Q + 110
* Q=0Q=0の時のPP110110
(2) 各余剰を求める。
* CSCS^*: 消費者余剰は、需要曲線と均衡価格 p=80p^*=80 の間の面積。需要曲線を P=0.5Q+110P=-0.5Q+110とすると、
* CS=(11080)60/2=3060/2=900CS^* = (110-80)*60 / 2 = 30*60/2 = 900
* PSPS^*: 生産者余剰は、均衡価格 p=80p^*=80 と供給曲線の間の面積。供給曲線をP=aQ+bP = aQ+bとして求める。
* 80=60a+b80 = 60a+b、また、Q=0Q=0の時、グラフよりP=20P=20と読み取れるので、b=20b=20
* 80=60a+2080 = 60a+20, 60a=6060a = 60, a=1a=1
* 供給曲線は P=Q+20P = Q+20
* PS=(8020)60/2=6060/2=1800PS^* = (80-20)*60/2 = 60*60/2 = 1800
* DMDM^*: 被害額は、社会的限界費用曲線と供給曲線の差(30)と取引量 Q=60Q^*=60 の積。
* DM=3060=1800DM^* = 30*60 = 1800
* TSTS^*: 総余剰は、消費者余剰 + 生産者余剰 - 被害額。
* TS=900+18001800=900TS^* = 900 + 1800 - 1800 = 900
(3) 社会的最適取引量のもとでの総余剰と死荷重を求める。
* TS0TS^0: 社会的最適取引量 Q0=40Q^0 = 40 のもとでの総余剰。
* Q=40Q=40の時、需要曲線は P=0.540+110=20+110=90P = -0.5*40+110 = -20+110 = 90
* Q=40Q=40の時、供給曲線は P=40+20=60P = 40+20 = 60
* CS0=(11090)40/2=2040/2=400CS^0 = (110-90)*40/2 = 20*40/2 = 400
* PS0=(6020)40/2=4040/2=800PS^0 = (60-20)*40/2 = 40*40/2 = 800
* DM0=3040=1200DM^0 = 30*40 = 1200
* TS0=400+8001200=0TS^0 = 400 + 800 - 1200 = 0。これは誤り。正しい計算は、
* TS0=TS^0 = 需要曲線と社会的限界費用曲線の間の面積(0から40まで)。
* 需要曲線: P=0.5Q+110P=-0.5Q + 110
* 社会的限界費用曲線: P=Q+50P=Q+50
* 社会的限界費用曲線は、供給曲線P=Q+20P=Q+20より30高いので、P=Q+20+30=Q+50P=Q+20+30=Q+50
* TS0=040(0.5Q+110(Q+50))dQ=040(1.5Q+60)dQTS^0 = \int_0^{40} (-0.5Q + 110 - (Q + 50)) dQ = \int_0^{40} (-1.5Q + 60) dQ
* TS0=[0.75Q2+60Q]040=0.75402+6040=0.751600+2400=1200+2400=1200TS^0 = [-0.75Q^2 + 60Q]_0^{40} = -0.75*40^2 + 60*40 = -0.75*1600 + 2400 = -1200+2400 = 1200
* DWLDWL: 死荷重は、市場均衡における総余剰と社会的最適取引量における総余剰の差。
* DWL=TS0TS=1200900=300DWL = TS^0 - TS^* = 1200 - 900 = 300

3. 最終的な答え

(1) 110
(2) CS=900CS^* = 900, PS=1800PS^* = 1800, DM=1800DM^* = 1800, TS=900TS^* = 900
(3) TS0=1200TS^0 = 1200, DWL=300DWL = 300

「応用数学」の関連問題

質量 $m_1$ の質点1と質量 $m_2$ の質点2があり、それぞれ力 $F_1$, $F_2$ を受けている。それぞれの位置ベクトルを $r_1$, $r_2$ とするとき、以下の問いに答える。 ...

力学運動量保存則重心運動方程式質点
2025/8/2

質量 $m$ の質点の位置ベクトルを $\vec{r}$、速度ベクトルを $\vec{v}$ とする。質点には力 $\vec{F}$ が働いている。 (1) この質点の運動方程式を $m$, $\ve...

力学運動方程式角運動量ベクトル解析物理
2025/8/2

質量 $m$ の質点の位置ベクトルを $\vec{r}$ 、速度ベクトルを $\vec{v}$ とします。質点には力 $\vec{F}$ が働いています。以下の問いに答えてください。 (1) 質点の運...

力学運動方程式角運動量ベクトルの外積力のモーメント
2025/8/2

ある財・サービス市場の需要曲線と供給曲線が与えられ、完全競争市場、独占市場、複占市場における均衡価格、取引量、消費者余剰、生産者余剰、企業の利潤などを求め、比較する問題です。

経済学ミクロ経済学市場均衡消費者余剰生産者余剰利潤最大化Cournot競争
2025/8/1

この問題は、完全競争市場、独占市場、複占市場(寡占市場)における企業の行動と市場均衡を分析し、価格、生産量、利潤、消費者余剰、生産者余剰などを求める問題です。

経済学ミクロ経済学市場均衡完全競争市場独占市場複占市場需要曲線供給曲線利潤最大化微分連立方程式
2025/8/1

この問題は、ある財・サービス市場の需要曲線と供給曲線が与えられたとき、完全競争市場、独占市場、複占市場における価格、供給量、余剰、利潤などを求める問題です。需要曲線は $P = 18 - 2Q$ で、...

ミクロ経済学市場均衡需要曲線供給曲線消費者余剰生産者余剰独占市場複占市場利潤最大化微分連立方程式
2025/8/1

ある財・サービス市場の需要曲線 $P = 18 - 2Q$ と供給曲線 $P = Q$ が与えられたとき、以下の問いに答える問題です。 (1) 完全競争市場における均衡価格、取引量、消費者余剰、生産者...

ミクロ経済学需要曲線供給曲線均衡価格消費者余剰生産者余剰独占クールノー競争微分最適化
2025/8/1

ある財・サービス市場の需要曲線 $P = 18 - 2Q$ と供給曲線 $P = Q$ が与えられたとき、以下の問いに答える問題です。 (1) 完全競争市場の場合の均衡価格、均衡取引量、消費者余剰、生...

経済学ミクロ経済学需要曲線供給曲線完全競争独占クールノー競争均衡価格均衡取引量消費者余剰生産者余剰利潤最大化微分
2025/8/1

ある財・サービス市場の需要曲線と供給曲線が与えられており、 需要曲線は $P = 18 - 2Q$、供給曲線は $P = Q$ で表される。 (1) 完全競争市場の場合の均衡価格、取引量、消費者余剰、...

経済学ミクロ経済学需要曲線供給曲線均衡価格消費者余剰生産者余剰独占市場複占市場最適化
2025/8/1

完全競争市場、独占市場、複占市場(寡占市場)における企業の行動と市場均衡に関する問題です。具体的には、価格、取引量、消費者余剰、生産者余剰、企業の供給量、利潤などを計算し、(ア)~(コ)の空欄を埋め、...

経済学ミクロ経済学市場均衡最適化微分需要曲線供給曲線消費者余剰生産者余剰利潤
2025/8/1