(1) $h > 0$とし、$n$を3以上の整数とするとき、不等式$(1+h)^n > \frac{1}{6}n(n-1)(n-2)h^3$が成り立つことを示せ。 (2) $-1 < r < 1$のとき、$ \lim_{n \to \infty} n^2r^n = 0$が成り立つことを示せ。

解析学不等式極限二項定理数列
2025/4/5

1. 問題の内容

(1) h>0h > 0とし、nnを3以上の整数とするとき、不等式(1+h)n>16n(n1)(n2)h3(1+h)^n > \frac{1}{6}n(n-1)(n-2)h^3が成り立つことを示せ。
(2) 1<r<1-1 < r < 1のとき、limnn2rn=0 \lim_{n \to \infty} n^2r^n = 0が成り立つことを示せ。

2. 解き方の手順

(1) 二項定理を用いる。
(1+h)n=k=0n(nk)hk=(n0)+(n1)h+(n2)h2+(n3)h3+k=4n(nk)hk(1+h)^n = \sum_{k=0}^{n} \binom{n}{k} h^k = \binom{n}{0} + \binom{n}{1}h + \binom{n}{2}h^2 + \binom{n}{3}h^3 + \sum_{k=4}^{n} \binom{n}{k} h^k
(1+h)n=1+nh+n(n1)2h2+n(n1)(n2)6h3+k=4n(nk)hk(1+h)^n = 1 + nh + \frac{n(n-1)}{2}h^2 + \frac{n(n-1)(n-2)}{6}h^3 + \sum_{k=4}^{n} \binom{n}{k} h^k
n3n \ge 3のとき、(1+h)n>n(n1)(n2)6h3(1+h)^n > \frac{n(n-1)(n-2)}{6}h^3
したがって、(1+h)n>16n(n1)(n2)h3(1+h)^n > \frac{1}{6}n(n-1)(n-2)h^3 が成り立つ。
(2) (1)を利用する。r<1|r| < 1なので、1r=1+h\frac{1}{|r|} = 1 + hとおくと、h>0h > 0である。
(1)の結果より、n3n \ge 3のとき、
(1+h)n>16n(n1)(n2)h3(1+h)^n > \frac{1}{6}n(n-1)(n-2)h^3
(1r)n>16n(n1)(n2)h3\left(\frac{1}{|r|}\right)^n > \frac{1}{6}n(n-1)(n-2)h^3
1rn>16n(n1)(n2)h3\frac{1}{|r|^n} > \frac{1}{6}n(n-1)(n-2)h^3
0<rn<6n(n1)(n2)h30 < |r|^n < \frac{6}{n(n-1)(n-2)h^3}
0<n2rn<6n2n(n1)(n2)h3=6n(n1)(n2)h30 < n^2|r|^n < \frac{6n^2}{n(n-1)(n-2)h^3} = \frac{6n}{(n-1)(n-2)h^3}
limn6n(n1)(n2)h3=limn6nn23n+21h3=limn6/n13/n+2/n21h3=011h3=0\lim_{n \to \infty} \frac{6n}{(n-1)(n-2)h^3} = \lim_{n \to \infty} \frac{6n}{n^2 - 3n + 2} \frac{1}{h^3} = \lim_{n \to \infty} \frac{6/n}{1 - 3/n + 2/n^2} \frac{1}{h^3} = \frac{0}{1} \frac{1}{h^3} = 0
したがって、limnn2rn=0\lim_{n \to \infty} n^2|r|^n = 0
n2rn=n2rn|n^2r^n| = n^2|r|^nなので、limnn2rn=0\lim_{n \to \infty} n^2r^n = 0

3. 最終的な答え

(1) (1+h)n>16n(n1)(n2)h3(1+h)^n > \frac{1}{6}n(n-1)(n-2)h^3 が成り立つ。
(2) limnn2rn=0\lim_{n \to \infty} n^2r^n = 0 が成り立つ。

「解析学」の関連問題

関数 $y = \frac{3}{4}x^4 - x^3 - 3x^2$ の極値を求め、グラフを描く問題です。

微分極値関数のグラフ三次関数
2025/8/1

与えられた逆三角関数の値を求める問題です。 (1) $arcsin \frac{1}{\sqrt{2}}$ (2) $arccos (-\frac{\sqrt{3}}{2})$ (3) $arctan...

逆三角関数arcsinarccosarctan三角関数
2025/8/1

放物線 $y = x^2 - x$ と直線 $y = mx$ で囲まれた図形の面積 $S$ が $x$ 軸で 2 等分されるとき、定数 $m$ の値を求める問題です。ただし、$m > 0$ とします。

積分面積放物線直線
2025/8/1

放物線 $y = x^2 - 2x - 1$ と直線 $y = x - 1$ で囲まれた図形の面積 $S$ を求める問題です。

定積分面積放物線直線
2025/8/1

(1) 2つの曲線 $y = x^3 + ax$ と $y = bx^2 + c$ がともに点 $(-1, 0)$ を通り、その点で共通の接線を持つとき、定数 $a, b, c$ の値を求め、その接点...

微分接線曲線導関数
2025/8/1

放物線 $y = x^2 - x$ と直線 $y = mx$ で囲まれた図形の面積 $S$ が、$x$ 軸で2等分されるとき、定数 $m$ の値を求める問題です。ただし、$m > 0$ とします。

積分面積放物線直線
2025/8/1

関数 $f(x) = x^3 - ax^2 + b$ について、$f(1) = -3$ , $f(-1) = -5$ が成り立つとき、以下の問いに答える。 (1) $a, b$ の値をそれぞれ求める。...

関数の微分極値接線積分三次関数
2025/8/1

与えられた級数 $S$ の和を求める問題です。 $S = 1 + \frac{2}{3} + \frac{3}{3^2} + \frac{4}{3^3} + \cdots + \frac{n}{3^{...

級数等比数列無限級数
2025/8/1

関数 $y = \frac{x^3}{3} + \frac{1}{4x}$ ($1 \leq x \leq 2$) の曲線長 $l$ を求める問題です。$l$ は $\frac{(\text{ア})}...

曲線長積分微分
2025/8/1

極座標で表された曲線 $r = 2 + \cos \theta$ ($0 \le \theta \le 2\pi$) で囲まれた図形の面積を求める問題です。

極座標面積積分
2025/8/1