実数 $a, b$ に対して、行列 $A = \begin{pmatrix} a & 0 \\ 0 & b \end{pmatrix}$ が与えられたとき、$A^n = \begin{pmatrix} a^n & 0 \\ 0 & b^n \end{pmatrix}$ ($n = 1, 2, 3, \dots$) が成り立つことを数学的帰納法を用いて証明する。

1. 問題の内容

実数 $a, b$ に対して、行列 $A = \begin{pmatrix} a & 0 \\ 0 & b \end{pmatrix}$ が与えられたとき、$A^n = \begin{pmatrix} a^n & 0 \\ 0 & b^n \end{pmatrix}$ ($n = 1, 2, 3, \dots$) が成り立つことを数学的帰納法を用いて証明する。

2. 解き方の手順

(1) $n = 1$ のとき:

左辺: $A^1 = A = \begin{pmatrix} a & 0 \\ 0 & b \end{pmatrix}$

右辺: $\begin{pmatrix} a^1 & 0 \\ 0 & b^1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a & 0 \\ 0 & b \end{pmatrix}$

よって、左辺 = 右辺なので、$n = 1$ のとき等式は成り立つ。

(2) $n = k$ のとき、$A^k = \begin{pmatrix} a^k & 0 \\ 0 & b^k \end{pmatrix}$ が成り立つと仮定する。

(3) $n = k + 1$ のとき:

左辺: $A^{k+1} = A^k \cdot A = \begin{pmatrix} a^k & 0 \\ 0 & b^k \end{pmatrix} \begin{pmatrix} a & 0 \\ 0 & b \end{pmatrix}$

行列の積を計算すると、

$A^{k+1} = \begin{pmatrix} a^k \cdot a + 0 \cdot 0 & a^k \cdot 0 + 0 \cdot b \\ 0 \cdot a + b^k \cdot 0 & 0 \cdot 0 + b^k \cdot b \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a^{k+1} & 0 \\ 0 & b^{k+1} \end{pmatrix}$

右辺: $\begin{pmatrix} a^{k+1} & 0 \\ 0 & b^{k+1} \end{pmatrix}$

よって、左辺 = 右辺なので、$n = k + 1$ のときも等式は成り立つ。

したがって、数学的帰納法により、すべての自然数 $n$ について $A^n = \begin{pmatrix} a^n & 0 \\ 0 & b^n \end{pmatrix}$ が成り立つ。

3. 最終的な答え

すべての自然数 $n$ について、$A^n = \begin{pmatrix} a^n & 0 \\ 0 & b^n \end{pmatrix}$ が成り立つ。