傾き$\theta$の斜面上に、質量$m$、直径$a$の円柱を置く。静かに離すと、円柱は滑らずに転がり落ちる。円柱を離した瞬間を時刻$t=0$とし、その位置からの斜面に沿った移動距離を$x$とする。$x$と$t$の関係を求める。

応用数学力学運動方程式慣性モーメント転がり運動
2025/7/31

1. 問題の内容

傾きθ\thetaの斜面上に、質量mm、直径aaの円柱を置く。静かに離すと、円柱は滑らずに転がり落ちる。円柱を離した瞬間を時刻t=0t=0とし、その位置からの斜面に沿った移動距離をxxとする。xxttの関係を求める。

2. 解き方の手順

(1) 円柱の慣性モーメントIIを求める。円柱の慣性モーメントはI=12mr2I = \frac{1}{2}mr^2で与えられる。円柱の半径rra2\frac{a}{2}であるから、I=12m(a2)2=18ma2I = \frac{1}{2}m(\frac{a}{2})^2 = \frac{1}{8}ma^2となる。
(2) 円柱にはたらく力を考える。斜面下向きに重力の斜面方向成分mgsinθmg\sin\thetaがはたらき、これが円柱を転がすトルクを生み出す。このトルクτ\tauは、円柱の中心周りのモーメントとして計算できる。斜面と円柱の接点にはたらく静止摩擦力をffとすると、トルクはτ=fr=fa2\tau = f \cdot r = f \cdot \frac{a}{2}となる。
(3) 円柱の回転運動の運動方程式を立てる。トルクと角加速度α\alphaの関係はτ=Iα\tau = I \alphaで与えられる。したがって、fa2=18ma2αf \cdot \frac{a}{2} = \frac{1}{8}ma^2 \alphaより、f=14maαf = \frac{1}{4}ma\alphaとなる。
(4) 円柱の並進運動の運動方程式を立てる。斜面下向きの運動方程式は、ma=mgsinθfma = mg\sin\theta - fとなる。
(5) 角加速度α\alphaと並進加速度aaの関係を求める。滑らずに転がる条件より、a=rα=a2αa = r\alpha = \frac{a}{2}\alpha。したがって、α=2aa=2aa\alpha = \frac{2a}{a} = \frac{2}{a}aとなる。
(6) 上記の関係式を連立して解く。
まず、(3)で求めたf=14maαf = \frac{1}{4}ma\alphaα=2aa\alpha = \frac{2}{a}aを代入すると、f=14ma(2aa)=12maf = \frac{1}{4}ma(\frac{2}{a}a) = \frac{1}{2}maとなる。
次に、(4)の運動方程式ma=mgsinθfma = mg\sin\theta - ff=12maf = \frac{1}{2}maを代入すると、ma=mgsinθ12mama = mg\sin\theta - \frac{1}{2}maとなる。
これをaaについて解くと、32ma=mgsinθ\frac{3}{2}ma = mg\sin\thetaより、a=23gsinθa = \frac{2}{3}g\sin\thetaとなる。
(7) 移動距離xxを求める。等加速度運動の式より、x=v0t+12at2x = v_0t + \frac{1}{2}at^2。初期速度v0=0v_0 = 0なので、x=12at2=12(23gsinθ)t2=13gsinθt2x = \frac{1}{2}at^2 = \frac{1}{2} (\frac{2}{3}g\sin\theta) t^2 = \frac{1}{3}g\sin\theta t^2となる。

3. 最終的な答え

x=13gsinθt2x = \frac{1}{3}g\sin\theta t^2

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