(1) 正規分布 $N(\mu, \sigma^2)$ に従う母集団があり、母分散 $\sigma^2 = 4.00$ は既知である。この母集団から無作為に 64 個の標本を抽出した結果、標本平均 $\bar{x} = 3.10$ であった。帰無仮説 $H_0: \mu = 5$ と対立仮説 $H_1: \mu \neq 5$ の検定を、有意水準 1% で行う。(両側検定) (2) ある世論調査によると、内閣支持率は 16% であった。この調査は無作為に抽出した有権者 500 人を対象に行われた。過去の内閣の例からは、一般に支持率が 20% を下回ると「退陣水域」と言われている。標本調査に伴う誤差を考慮しても、内閣支持率は 20% を割ったと言えるだろうか? 有意水準 1% で検定せよ。(片側検定)

確率論・統計学仮説検定正規分布両側検定片側検定有意水準標本平均標本比率
2025/8/1

1. 問題の内容

(1) 正規分布 N(μ,σ2)N(\mu, \sigma^2) に従う母集団があり、母分散 σ2=4.00\sigma^2 = 4.00 は既知である。この母集団から無作為に 64 個の標本を抽出した結果、標本平均 xˉ=3.10\bar{x} = 3.10 であった。帰無仮説 H0:μ=5H_0: \mu = 5 と対立仮説 H1:μ5H_1: \mu \neq 5 の検定を、有意水準 1% で行う。(両側検定)
(2) ある世論調査によると、内閣支持率は 16% であった。この調査は無作為に抽出した有権者 500 人を対象に行われた。過去の内閣の例からは、一般に支持率が 20% を下回ると「退陣水域」と言われている。標本調査に伴う誤差を考慮しても、内閣支持率は 20% を割ったと言えるだろうか? 有意水準 1% で検定せよ。(片側検定)

2. 解き方の手順

(1)
* 帰無仮説 H0:μ=5H_0: \mu = 5
* 対立仮説 H1:μ5H_1: \mu \neq 5
* 有意水準 α=0.01\alpha = 0.01
* 標本平均 xˉ=3.10\bar{x} = 3.10
* 標本数 n=64n = 64
* 母分散 σ2=4.00\sigma^2 = 4.00
* 標準偏差 σ=4.00=2.00\sigma = \sqrt{4.00} = 2.00
検定統計量 zz は以下のように計算される。
z=xˉμσ/n=3.1052.00/64=1.92.00/8=1.90.25=7.6z = \frac{\bar{x} - \mu}{\sigma / \sqrt{n}} = \frac{3.10 - 5}{2.00 / \sqrt{64}} = \frac{-1.9}{2.00 / 8} = \frac{-1.9}{0.25} = -7.6
両側検定なので、有意水準 1% の棄却域は z<zα/2z < -z_{\alpha/2} または z>zα/2z > z_{\alpha/2}zα/2=z0.0052.576z_{\alpha/2} = z_{0.005} \approx 2.576 である。
z=7.6=7.6>2.576|z| = |-7.6| = 7.6 > 2.576 なので、帰無仮説は棄却される。
(2)
* 帰無仮説 H0:p=0.20H_0: p = 0.20
* 対立仮説 H1:p<0.20H_1: p < 0.20
* 有意水準 α=0.01\alpha = 0.01
* 標本支持率 p^=0.16\hat{p} = 0.16
* 標本数 n=500n = 500
検定統計量 zz は以下のように計算される。
z=p^pp(1p)n=0.160.200.20(10.20)500=0.040.20×0.80500=0.040.16500=0.040.00032=0.040.01788852.236z = \frac{\hat{p} - p}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}} = \frac{0.16 - 0.20}{\sqrt{\frac{0.20(1-0.20)}{500}}} = \frac{-0.04}{\sqrt{\frac{0.20 \times 0.80}{500}}} = \frac{-0.04}{\sqrt{\frac{0.16}{500}}} = \frac{-0.04}{\sqrt{0.00032}} = \frac{-0.04}{0.0178885} \approx -2.236
片側検定なので、有意水準 1% の棄却域は z<zαz < -z_{\alpha}zα=z0.012.326z_{\alpha} = z_{0.01} \approx 2.326 である。
z=2.236>2.326z = -2.236 > -2.326 なので、帰無仮説は棄却されない。

3. 最終的な答え

(1) 帰無仮説は棄却される。つまり、母平均 μ\mu は 5 と異なると結論付けられる。
(2) 帰無仮説は棄却されない。つまり、内閣支持率が 20% を割ったとは言えない。

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