ベクトルの組が一次独立であるとは、それらの線形結合がゼロベクトルとなるのが、全ての係数がゼロの場合に限ることを言います。一次従属とは、少なくとも一つの係数がゼロでない線形結合でゼロベクトルを作れることを言います。
ベクトルの組を列ベクトルとして並べた行列を作り、その行列式を計算することで判定できます。行列式がゼロでなければ一次独立であり、ゼロならば一次従属です。ただし、ベクトルの数が空間の次元よりも大きい場合は、必ず一次従属になります。
(1) 3つのベクトルは3次元空間のベクトルです。
111011001 行列式は 1(1×1−0×1)−0(1×1−0×1)+0(1×1−1×1)=1 です。 行列式が0でないので、一次独立です。
(2) 3つのベクトルは3次元空間のベクトルです。
32121354−3 行列式は 3(1×(−3)−4×3)−2(2×(−3)−4×1)+5(2×3−1×1)=3(−3−12)−2(−6−4)+5(6−1)=3(−15)−2(−10)+5(5)=−45+20+25=0 です。 行列式が0なので、一次従属です。
(3) 4つのベクトルは3次元空間のベクトルなので、必ず一次従属です。
(4) 3つのベクトルは3次元空間のベクトルです。
211112121 行列式は 2(1×1−2×2)−1(1×1−2×1)+1(1×2−1×1)=2(1−4)−1(1−2)+1(2−1)=2(−3)−1(−1)+1(1)=−6+1+1=−4 です。 行列式が0でないので、一次独立です。
(5) 3つのベクトルは4次元空間のベクトルです。
21143211541−5 4つのベクトルの数だけを考慮すると、3次元空間のベクトル空間より次元が大きくなるので、行列式を使って簡単に判定できないため、別の方法が必要です。
線形結合がゼロになるかどうかを調べます。
c12114+c23211+c3541−5=0000 この連立一次方程式を解きます。
⎩⎨⎧2c1+3c2+5c3=0c1+2c2+4c3=0c1+c2+c3=04c1+c2−5c3=0 3番目の式から、c1=−c2−c3 を得ます。これを他の式に代入します。 ⎩⎨⎧2(−c2−c3)+3c2+5c3=0(−c2−c3)+2c2+4c3=04(−c2−c3)+c2−5c3=0 ⎩⎨⎧c2+3c3=0c2+3c3=0−3c2−9c3=0 これより、c2=−3c3 が得られます。 c1=−(−3c3)−c3=2c3 c1=2c3,c2=−3c3 c3 が任意の値を取れるので、c1,c2,c3 が全て0の場合に限られません。 したがって、一次従属です。
(6) 4つのベクトルは4次元空間のベクトルです。
102411032130−20−11 行列式を計算します。
11031300−11−10241300−11+20241030−11−(−2)024103130 =1(1(3(1)−(−1)(0))−1(0(1)−(−1)(3))+0)−1(0−1(2(1)−(−1)(4))+0)+2(0−1(2(1)−(−1)(4))+0)+2(0−1(2(0)−3(4))+1(2(3)−0))=1(3−3)−1(−6)+2(−6)+2(12+6)=0+6−12+36=30 行列式が0でないので、一次独立です。