$A$ を $n$ 次正方行列、$ \tilde{A} $ を $A$ の余因子行列とします。等式 $^t\tilde{A}A = |A|E$ が成り立つことを用いて、命題「$^t\tilde{A}$ が正則であるならば、$A$ は正則である」が真であることを証明します。ここで、$E$ は $n$ 次単位行列、$|A|$ は $A$ の行列式、$^t\tilde{A}$ は $ \tilde{A} $ の転置行列を表します。
2025/8/3
1. 問題の内容
を 次正方行列、 を の余因子行列とします。等式 が成り立つことを用いて、命題「 が正則であるならば、 は正則である」が真であることを証明します。ここで、 は 次単位行列、 は の行列式、 は の転置行列を表します。
2. 解き方の手順
が正則であると仮定します。つまり、ある行列 が存在して、
が成り立ちます。
与えられた等式 の両辺に左から を掛けると、
結合法則より
が正則であることより、 なので
ここで、 であることを示します。もし ならば、 となり、 となります。すると、 は正則ではないことになり矛盾します。したがって、 です。
の両辺を で割ると
したがって、 の逆行列は存在し、 となります。よって、 は正則です。
3. 最終的な答え
が正則であるならば、 は正則である。