与えられた複数の行列に対して、簡約化(階段行列への変形)、階数の算出、および行列式の算出を行う問題です。(6)番の行列については、$a-b \neq 0, b-c \neq 0, c-a \neq 0$という条件が与えられています。
2025/8/4
1. 問題の内容
与えられた複数の行列に対して、簡約化(階段行列への変形)、階数の算出、および行列式の算出を行う問題です。(6)番の行列については、という条件が与えられています。
2. 解き方の手順
各行列について、以下の手順で計算を行います。
(1) 行列の簡約化:
基本変形(行の入れ替え、行の定数倍、行の定数倍の加算)を繰り返し、階段行列(より厳密には簡約階段行列)に変形します。
(2) 階数の算出:
簡約化された行列において、0でない行の数を数えます。これが階数となります。
(3) 行列式の算出:
与えられた行列に対して、行列式を計算します。基本変形を用いる場合、行の入れ替えは行列式の符号を変え、行の定数倍は行列式を定数倍します。行の定数倍の加算は行列式の値を変更しません。簡約化された行列が正方行列の場合、対角成分の積が行列式となります。
行列式を計算する際には、以下の公式が役立つ場合があります。
2x2行列の場合:
\begin{vmatrix}
a & b \\
c & d
\end{vmatrix} = ad - bc
3x3行列の場合:
\begin{vmatrix}
a & b & c \\
d & e & f \\
g & h & i
\end{vmatrix} = a(ei - fh) - b(di - fg) + c(dh - eg)
また、ヴァンデルモンド行列((6))の行列式は以下のようになります。
\begin{vmatrix}
1 & a & a^2 \\
1 & b & b^2 \\
1 & c & c^2
\end{vmatrix} = (b-a)(c-a)(c-b)
いくつかの行列について解いてみます。
(1)
\begin{pmatrix}
2 & 16 & 3 \\
4 & 8 & -6 \\
4 & 8 & 12
\end{pmatrix}
まず、1行目を1/2倍します。
\begin{pmatrix}
1 & 8 & 3/2 \\
4 & 8 & -6 \\
4 & 8 & 12
\end{pmatrix}
次に、2行目から1行目の4倍を引き、3行目から1行目の4倍を引きます。
\begin{pmatrix}
1 & 8 & 3/2 \\
0 & -24 & -12 \\
0 & -24 & 6
\end{pmatrix}
3行目から2行目を引きます。
\begin{pmatrix}
1 & 8 & 3/2 \\
0 & -24 & -12 \\
0 & 0 & 18
\end{pmatrix}
階数は3です。行列式は、元の行列で計算すると
(6)
\begin{pmatrix}
1 & a & a^2 \\
1 & b & b^2 \\
1 & c & c^2
\end{pmatrix}
これはヴァンデルモンド行列なので、行列式はとなります。条件より、行列式は0ではありません。
階数は3です。
3. 最終的な答え
(1) 階数: 3, 行列式: -864
(6) 階数: 3, 行列式: