AとBの2種類の文字を用いて、$n$個並べた文字列全体の集合を$X_n$とする。ただし、Bが連続しないようにする。$X_n$の2つの部分集合を、$S_n = \{x | x \in X_n \text{ かつ } x \text{ の最後の文字がA}\}$、$T_n = \{x | x \in X_n \text{ かつ } x \text{ の最後の文字がB}\}$とする。$S_n$の要素の個数を$a_n$、$T_n$の要素の個数を$b_n$とおく。 (i) $a_3, b_3, a_4, b_4$ を求めよ。 (ii) $a_{n+1}, b_{n+1}$ をそれぞれ$a_n$ と $b_n$ を用いて表せ。 (iii) $a_n \ge 100$ と $b_n \ge 100$ をともに満たす最小の $n$ を求めよ。 (iv) 自然数 $a, b$ と $c = a + b$ に対して、$L = \{d | d \text{ は } a, b \text{ の公約数}\}$、$R = \{d | d \text{ は } a, c \text{ の公約数}\}$ とする。$L \subset R$ と $L \supset R$ がともに成り立つこと(つまり $L = R$)を示せ。また、すべての自然数 $m$ に対して、$a_m$ と $b_m$ は互いに素であることを数学的帰納法により示せ。 (v) $r_n = \frac{a_n}{a_n + b_n}$ とする。ある関数 $f(x)$ により等式 $r_{m+1} = f(r_m)$ がすべての自然数 $m$ について成立する。$f(x)$ をひとつ求めよ。また、極限値 $\lim_{m \to \infty} r_m$ を求めよ。

離散数学数列漸化式数学的帰納法極限
2025/8/9

1. 問題の内容

AとBの2種類の文字を用いて、nn個並べた文字列全体の集合をXnX_nとする。ただし、Bが連続しないようにする。XnX_nの2つの部分集合を、Sn={xxXn かつ x の最後の文字がA}S_n = \{x | x \in X_n \text{ かつ } x \text{ の最後の文字がA}\}Tn={xxXn かつ x の最後の文字がB}T_n = \{x | x \in X_n \text{ かつ } x \text{ の最後の文字がB}\}とする。SnS_nの要素の個数をana_nTnT_nの要素の個数をbnb_nとおく。
(i) a3,b3,a4,b4a_3, b_3, a_4, b_4 を求めよ。
(ii) an+1,bn+1a_{n+1}, b_{n+1} をそれぞれana_nbnb_n を用いて表せ。
(iii) an100a_n \ge 100bn100b_n \ge 100 をともに満たす最小の nn を求めよ。
(iv) 自然数 a,ba, bc=a+bc = a + b に対して、L={dd は a,b の公約数}L = \{d | d \text{ は } a, b \text{ の公約数}\}R={dd は a,c の公約数}R = \{d | d \text{ は } a, c \text{ の公約数}\} とする。LRL \subset RLRL \supset R がともに成り立つこと(つまり L=RL = R)を示せ。また、すべての自然数 mm に対して、ama_mbmb_m は互いに素であることを数学的帰納法により示せ。
(v) rn=anan+bnr_n = \frac{a_n}{a_n + b_n} とする。ある関数 f(x)f(x) により等式 rm+1=f(rm)r_{m+1} = f(r_m) がすべての自然数 mm について成立する。f(x)f(x) をひとつ求めよ。また、極限値 limmrm\lim_{m \to \infty} r_m を求めよ。

2. 解き方の手順

(i) n=3n=3 のとき、X3X_3 を考える。Bが連続しないように並べる。
最後の文字がAであるものは、AA, ABA, BAA, BAB. よって a3=3a_3 = 3.
最後の文字がBであるものは、AAB, BAB. よって b3=2b_3 = 2.
n=4n=4 のとき、X4X_4 を考える。
最後の文字がAであるものは、AAAA, AABA, ABAA, ABAB, BAAA, BAAB, BABA. よって a4=5a_4 = 5.
最後の文字がBであるものは、AAAB, ABAB, BAAAB, BABAB, ABAB. よって b4=3b_4 = 3.
(ii) an+1a_{n+1} は、長さnnの文字列で最後にAがつくもの(ana_n個)にAをつけたものと、長さnnの文字列で最後にBがつくもの(bnb_n個)にAをつけたものからなる。よって、an+1=an+bna_{n+1} = a_n + b_n.
bn+1b_{n+1} は、長さnnの文字列で最後にAがつくもの(ana_n個)にBをつけたものからなる。よって、bn+1=anb_{n+1} = a_n.
(iii) an+1=an+bn=an+an1a_{n+1} = a_n + b_n = a_n + a_{n-1} という漸化式が成り立つ。また、a1=1,a2=2a_1 = 1, a_2 = 2.
a3=3,a4=5,a5=8,a6=13,a7=21,a8=34,a9=55,a10=89,a11=144a_3 = 3, a_4 = 5, a_5 = 8, a_6 = 13, a_7 = 21, a_8 = 34, a_9 = 55, a_{10} = 89, a_{11} = 144.
bn+1=anb_{n+1} = a_n. よって、b2=1,b3=2,b4=3,b5=5,b6=8,b7=13,b8=21,b9=34,b10=55,b11=89,b12=144b_2 = 1, b_3 = 2, b_4 = 3, b_5 = 5, b_6 = 8, b_7 = 13, b_8 = 21, b_9 = 34, b_{10} = 55, b_{11} = 89, b_{12} = 144.
an100a_n \ge 100bn100b_n \ge 100 を満たす最小の nnn=11n = 11 (a11=144100a_{11} = 144 \ge 100 かつ b12=144100b_{12} = 144 \ge 100)。ただし、n=11n=11のときb11=89b_{11}=89であるから、a12=a11+b11=144+89=233a_{12} = a_{11} + b_{11} = 144+89 = 233. n=12n=12のときb12=a11=144b_{12} = a_{11} = 144. よってn=11n=11では不適。
n=12n = 12のときa12=233>100a_{12}=233 > 100かつb12=144>100b_{12} = 144 > 100なので、n=12n = 12
(iv) L={dd は a,b の公約数}L = \{d | d \text{ は } a, b \text{ の公約数}\}R={dd は a,c の公約数}R = \{d | d \text{ は } a, c \text{ の公約数}\} とする。c=a+bc = a + b である。
LRL \subset R を示す。dLd \in L とする。すると、ddaabb の公約数である。したがって、a=dk1,b=dk2a = d k_1, b = d k_2k1,k2k_1, k_2 は整数)と表せる。このとき、c=a+b=dk1+dk2=d(k1+k2)c = a + b = d k_1 + d k_2 = d (k_1 + k_2) であるから、ddcc の約数でもある。したがって、ddaacc の公約数であり、dRd \in R である。ゆえに、LRL \subset R.
LRL \supset R を示す。dRd \in R とする。すると、ddaacc の公約数である。したがって、a=dk1,c=dk3a = d k_1, c = d k_3k1,k3k_1, k_3 は整数)と表せる。このとき、b=ca=dk3dk1=d(k3k1)b = c - a = d k_3 - d k_1 = d (k_3 - k_1) であるから、ddbb の約数でもある。したがって、ddaabb の公約数であり、dLd \in L である。ゆえに、LRL \supset R.
以上より、L=RL = R である。
ama_mbmb_m は互いに素であることを数学的帰納法で示す。
(i) m=1m=1 のとき、a1=1,b1=1a_1 = 1, b_1 = 1 であり、これらは互いに素である。
(ii) m=km=k のとき、aka_kbkb_k が互いに素であると仮定する。
m=k+1m=k+1 のとき、ak+1=ak+bka_{k+1} = a_k + b_kbk+1=akb_{k+1} = a_k について考える。
ak+1a_{k+1}bk+1b_{k+1} の公約数を dd とすると、ak+1=dn1,bk+1=dn2a_{k+1} = d n_1, b_{k+1} = d n_2n1,n2n_1, n_2 は整数)と表せる。
このとき、ak=bk+1=dn2a_k = b_{k+1} = d n_2 であり、bk=ak+1ak=dn1dn2=d(n1n2)b_k = a_{k+1} - a_k = d n_1 - d n_2 = d (n_1 - n_2) である。
したがって、ddaka_kbkb_k の公約数である。仮定より、aka_kbkb_k は互いに素であるから、d=1d = 1 でなければならない。
したがって、ak+1a_{k+1}bk+1b_{k+1} は互いに素である。
(i)(ii)より、すべての自然数 mm に対して、ama_mbmb_m は互いに素である。
(v) rn=anan+bnr_n = \frac{a_n}{a_n + b_n} とする。rm+1=f(rm)r_{m+1} = f(r_m) を求める。
rm+1=am+1am+1+bm+1=am+bmam+bm+am=am+bm2am+bm=12am+bmam+bm=11+amam+bm=11+rmr_{m+1} = \frac{a_{m+1}}{a_{m+1} + b_{m+1}} = \frac{a_m + b_m}{a_m + b_m + a_m} = \frac{a_m + b_m}{2 a_m + b_m} = \frac{1}{\frac{2a_m + b_m}{a_m + b_m}} = \frac{1}{1 + \frac{a_m}{a_m + b_m}} = \frac{1}{1 + r_m}.
よって、f(x)=11+xf(x) = \frac{1}{1+x}.
limmrm=L\lim_{m \to \infty} r_m = L とすると、L=11+LL = \frac{1}{1+L} が成り立つ。
L2+L1=0L^2 + L - 1 = 0. L=1±1241(1)2=1±52L = \frac{-1 \pm \sqrt{1^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-1)}}{2} = \frac{-1 \pm \sqrt{5}}{2}.
rn=anan+bn>0r_n = \frac{a_n}{a_n + b_n} > 0 であるから、L=1+52L = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2} である。

3. 最終的な答え

(i) a3=3,b3=2,a4=5,b4=3a_3 = 3, b_3 = 2, a_4 = 5, b_4 = 3
(ii) an+1=an+bn,bn+1=ana_{n+1} = a_n + b_n, b_{n+1} = a_n
(iii) n=12n = 12
(iv) 証明は上記参照
(v) f(x)=11+x,limmrm=1+52f(x) = \frac{1}{1+x}, \lim_{m \to \infty} r_m = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}

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