実数 $x, y, z$ が $x+y+z=0$ および $xyz = -2$ を満たすとき、$xy+yz+zx$ と $|x|+|y|+|z|$ の取りうる値の範囲を求める。

代数学三次方程式実数解不等式絶対値
2025/4/7

1. 問題の内容

実数 x,y,zx, y, zx+y+z=0x+y+z=0 および xyz=2xyz = -2 を満たすとき、xy+yz+zxxy+yz+zxx+y+z|x|+|y|+|z| の取りうる値の範囲を求める。

2. 解き方の手順

(1) xy+yz+zxxy+yz+zx の範囲を求める。
x+y+z=0x+y+z = 0 より、(x+y+z)2=x2+y2+z2+2(xy+yz+zx)=0(x+y+z)^2 = x^2+y^2+z^2+2(xy+yz+zx) = 0 であるから、
x2+y2+z2=2(xy+yz+zx)x^2+y^2+z^2 = -2(xy+yz+zx) となる。
また、x,y,zx,y,z は3次方程式 t3(x+y+z)t2+(xy+yz+zx)txyz=0t^3 - (x+y+z)t^2 + (xy+yz+zx)t - xyz = 0 の解である。
x+y+z=0x+y+z=0 および xyz=2xyz=-2 より、
t3+(xy+yz+zx)t+2=0t^3 + (xy+yz+zx)t + 2 = 0 となる。
この方程式が実数解を持つための条件を考える。
f(t)=t3+(xy+yz+zx)t+2f(t) = t^3 + (xy+yz+zx)t + 2 とおく。
f(t)=3t2+(xy+yz+zx)f'(t) = 3t^2 + (xy+yz+zx)
xy+yz+zx>0xy+yz+zx > 0 のとき、f(t)>0f'(t) > 0 となり、f(t)f(t) は単調増加なので、実数解は1つだけとなる。しかし、xyz=2xyz=-2 なので、実数解は3つ存在する必要がある。したがって、xy+yz+zx0xy+yz+zx \le 0 である。
xy+yz+zx=axy+yz+zx = a とおく。f(t)=3t2+af'(t) = 3t^2 + a
f(t)=0f'(t)=0 となるのは、t=±a3t = \pm \sqrt{-\frac{a}{3}} のときである。a0a \le 0 であるから、これは実数解を持つ。
f(t)f(t) が3つの実数解を持つためには、f(a3)f(a3)0f(\sqrt{-\frac{a}{3}})f(-\sqrt{-\frac{a}{3}}) \le 0 が必要である。
f(a3)=(a3)a3+aa3+2=2a3a3+2f(\sqrt{-\frac{a}{3}}) = (-\frac{a}{3})\sqrt{-\frac{a}{3}} + a\sqrt{-\frac{a}{3}} + 2 = \frac{2a}{3}\sqrt{-\frac{a}{3}} + 2
f(a3)=(a3)a3aa3+2=2a3a3+2f(-\sqrt{-\frac{a}{3}}) = (\frac{a}{3})\sqrt{-\frac{a}{3}} - a\sqrt{-\frac{a}{3}} + 2 = -\frac{2a}{3}\sqrt{-\frac{a}{3}} + 2
f(a3)f(a3)=(2+2a3a3)(22a3a3)=44a29(a3)=4+4a3270f(\sqrt{-\frac{a}{3}})f(-\sqrt{-\frac{a}{3}}) = (2+\frac{2a}{3}\sqrt{-\frac{a}{3}})(2-\frac{2a}{3}\sqrt{-\frac{a}{3}}) = 4 - \frac{4a^2}{9}(-\frac{a}{3}) = 4+\frac{4a^3}{27} \le 0
44a3274 \le -\frac{4a^3}{27}
1a3271 \le -\frac{a^3}{27}
27a3-27 \ge a^3
a3a \le -3
したがって、xy+yz+zx3xy+yz+zx \le -3
また、例えば (x,y,z)=(2,2,22)(x,y,z) = (\sqrt{2}, \sqrt{2}, -2\sqrt{2}) のとき、x+y+z=0x+y+z=0 かつ xyz=4xyz = -4となるためxyz=2xyz=-2を満たさない
t33t+2=(t1)2(t+2)t^3-3t+2 = (t-1)^2(t+2)
t33t2=0t^3-3t-2=0 解はt=1,1,2t=-1, -1, 2 このとき、x=1,y=1,z=2x=-1,y=-1,z=2
xy+yz+zx=122=3xy+yz+zx = 1 -2 -2 = -3 x+y+z=0x+y+z=0を満たす
x,y,zx,y,z1,1,2-1, -1, 2 のとき x+y+z=1+1+2=1+1+2=4|x|+|y|+|z| = |-1|+|-1|+|2| = 1+1+2 = 4
x,y,zx, y, z の値の範囲に制限はないため、最小値は存在しない
3xy+yz+zx-3 \le xy+yz+zx は誤り。
例えば、解が t=2,2,22t = \sqrt{2}, \sqrt{2}, -2\sqrt{2} の場合は x+y+z=0x+y+z = 0 を満たすが、xyz=4xyz=-4なので条件を満たさない。
解の組の一つとして (1,1,2)(-1, -1, 2) があり、このとき xy+yz+zx=122=3xy+yz+zx = 1 - 2 - 2 = -3 である。
xy+yz+zx=3xy+yz+zx = -3 を与える解は存在するため、3-3 は取りうる値である。
x2+y2+z2=(x+y+z)22(xy+yz+zx)=2(xy+yz+zx)x^2+y^2+z^2 = (x+y+z)^2 - 2(xy+yz+zx) = -2(xy+yz+zx)
x2+y2+z20x^2+y^2+z^2 \ge 0 なので、2(xy+yz+zx)0-2(xy+yz+zx) \ge 0 より xy+yz+zx0xy+yz+zx \le 0
もし、xy+yz+zx=4xy+yz+zx=-4 とすると、t34t+2=0t^3-4t+2=0 実数解が存在する。
x2+y2+z2=8x^2+y^2+z^2=8
x+y+z|x|+|y|+|z| の最小値を求める
x+y+z=0x+y+z=0より、少なくとも一つは正で少なくとも一つは負になる
例えば、解は 1,1,2-1, -1, 2 の場合1+1+2=4|-1|+|-1|+|2|=4
解は 2,2,22-\sqrt{2}, -\sqrt{2}, 2\sqrt{2}の場合 2+2+22=42|-\sqrt{2}|+|-\sqrt{2}|+|2\sqrt{2}|=4\sqrt{2}
x+y+z|x|+|y|+|z|の最大値は存在しない

3. 最終的な答え

xy+yz+zxxy+yz+zx の取りうる値の範囲: 3xy+yz+zx0-3 \le xy+yz+zx \le 0
よって、セソ = -3, タチ = 0
x+y+z|x|+|y|+|z| の取りうる値の範囲: 4 以上であり最大値は存在しない。
よって、ツ = 4, テ = -

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