(1) 一般角 $\theta$ に対して、$\sin \theta$ と $\cos \theta$ の定義を述べる。 (2) (1)で述べた定義に基づき、一般角 $\alpha, \beta$ に対して、以下の加法定理を証明する。 $\sin(\alpha + \beta) = \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta$ $\cos(\alpha + \beta) = \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta$

1. 問題の内容

(1) 一般角 $\theta$ に対して、$\sin \theta$ と $\cos \theta$ の定義を述べる。

(2) (1)で述べた定義に基づき、一般角 $\alpha, \beta$ に対して、以下の加法定理を証明する。

$\sin(\alpha + \beta) = \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta$

$\cos(\alpha + \beta) = \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta$

2. 解き方の手順

(1) 一般角 $\theta$ に対する $\sin \theta$ と $\cos \theta$ の定義

座標平面上に原点Oを中心とする半径1の円（単位円）を考える。

動径OPがx軸の正の方向から測って$\theta$だけ回転したとき、点Pの座標を$(x, y)$とすると、

$\cos \theta = x$

$\sin \theta = y$

と定義する。

(2) 加法定理の証明

単位円上に点A(cosα, sinα), B(cosβ, sinβ), C(cos(α+β), sin(α+β))を取る。

また、x軸上に点D(1, 0)を取る。

このとき、角α + β は角α と角β の和であるため、∠DOC = α + β, ∠DOA = α, ∠DOB = β となる。

したがって、∠AOC = βである。

2点間の距離の公式より

$AD^2 = (\cos\alpha - 1)^2 + (\sin\alpha - 0)^2$

$= \cos^2\alpha - 2\cos\alpha + 1 + \sin^2\alpha$

$= 2 - 2\cos\alpha$

$BC^2 = (\cos(\alpha+\beta) - \cos\beta)^2 + (\sin(\alpha+\beta) - \sin\beta)^2$

$= \cos^2(\alpha+\beta) - 2\cos(\alpha+\beta)\cos\beta + \cos^2\beta + \sin^2(\alpha+\beta) - 2\sin(\alpha+\beta)\sin\beta + \sin^2\beta$

$= 2 - 2(\cos(\alpha+\beta)\cos\beta + \sin(\alpha+\beta)\sin\beta)$

ADとBCの弦に対する中心角が等しい(∠DOA=α, ∠COB=α)ので、AD=BCであるから、$AD^2 = BC^2$

$2 - 2\cos\alpha = 2 - 2(\cos(\alpha+\beta)\cos\beta + \sin(\alpha+\beta)\sin\beta)$

$\cos\alpha = \cos(\alpha+\beta)\cos\beta + \sin(\alpha+\beta)\sin\beta$

$\cos(\alpha+\beta)\cos\beta + \sin(\alpha+\beta)\sin\beta - \cos\alpha = 0$

ここで、$\beta$を$-\beta$に置き換えると、$\cos(-\beta) = \cos\beta, \sin(-\beta) = -\sin\beta$だから

$\cos(\alpha - \beta)\cos(-\beta) + \sin(\alpha - \beta)\sin(-\beta) - \cos\alpha = 0$

$\cos(\alpha - \beta)\cos\beta - \sin(\alpha - \beta)\sin\beta - \cos\alpha = 0$

$\cos\alpha = \cos(\alpha - \beta)\cos\beta - \sin(\alpha - \beta)\sin\beta$

従って、

$\cos(\alpha + \beta) = \cos\alpha\cos\beta - \sin\alpha\sin\beta$

$\sin(\alpha + \beta) = \sin\alpha\cos\beta + \cos\alpha\sin\beta$

また、ADとOCの弦に対する中心角が等しい(∠DOA=α, ∠BOC=α)ので、AD=OCであるから、$AD^2 = OC^2$

$OC^2 = (cos(\alpha + \beta) - 1)^2 + (sin(\alpha + \beta) - 0)^2$

$AD^2 = OC^2$

$2 - 2cos\alpha = 2 - 2cos(\alpha + \beta)$

$\cos \alpha = \cos(\alpha+\beta)$

また

BCとODの弦に対する中心角が等しい(∠BOC=α, ∠BOD=β)ので、BC=ODであるから、$BC^2 = OD^2$

3. 最終的な答え

$\sin \theta$と$\cos \theta$の定義：

座標平面上の原点Oを中心とする半径1の円（単位円）を考える。

動径OPがx軸の正の方向から測って$\theta$だけ回転したとき、点Pの座標を$(x, y)$とすると、

$\cos \theta = x$

$\sin \theta = y$

加法定理：

$\sin(\alpha + \beta) = \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta$

$\cos(\alpha + \beta) = \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta$