(1) 母平均 $\mu = 80$, 母標準偏差 $\sigma = 12$ の母集団から, 大きさ $n = 400$ の無作為標本を抽出したとき, 標本平均 $\overline{X}$ が $80.9$ より大きい値をとる確率を求めます。 (2) 不良品が全体の $4\%$ 含まれる大量の製品の山から, 無作為に $n = 600$ 個抽出したとき, 不良品の標本比率 $R$ が $0.032 \le R \le 0.048$ となる確率を求めます。

1. 問題の内容

(1) 母平均 $\mu = 80$, 母標準偏差 $\sigma = 12$ の母集団から, 大きさ $n = 400$ の無作為標本を抽出したとき, 標本平均 $\overline{X}$ が $80.9$ より大きい値をとる確率を求めます。

(2) 不良品が全体の $4\%$ 含まれる大量の製品の山から, 無作為に $n = 600$ 個抽出したとき, 不良品の標本比率 $R$ が $0.032 \le R \le 0.048$ となる確率を求めます。

2. 解き方の手順

(1) 標本平均 $\overline{X}$ の分布は, 中心極限定理より, 近似的に正規分布 $N(\mu, \frac{\sigma^2}{n})$ に従います。

この場合, $\overline{X}$ は近似的に $N(80, \frac{12^2}{400})$ つまり $N(80, 0.36)$ に従います。

$\overline{X}$ を標準化すると $Z = \frac{\overline{X} - 80}{\sqrt{0.36}} = \frac{\overline{X} - 80}{0.6}$ は標準正規分布 $N(0, 1)$ に従います。

$\overline{X} > 80.9$ となる確率は, $Z = \frac{80.9 - 80}{0.6} = \frac{0.9}{0.6} = 1.5$ より,

$P(\overline{X} > 80.9) = P(Z > 1.5)$ です。

標準正規分布表から, $P(Z > 1.5) = 1 - P(Z \le 1.5) = 1 - 0.9332 = 0.0668$ となります。

(2) 不良品の標本比率 $R$ の期待値は $p = 0.04$ であり, 分散は $\frac{p(1-p)}{n}$ です。

$R$ は近似的に正規分布 $N(p, \frac{p(1-p)}{n})$ に従います。

$R$ は近似的に $N(0.04, \frac{0.04 \times 0.96}{600})$ つまり $N(0.04, 0.000064)$ に従います。

$R$ を標準化すると $Z = \frac{R - 0.04}{\sqrt{0.000064}} = \frac{R - 0.04}{0.008}$ は標準正規分布 $N(0, 1)$ に従います。

$0.032 \le R \le 0.048$ となる確率は,

$Z_1 = \frac{0.032 - 0.04}{0.008} = \frac{-0.008}{0.008} = -1$

$Z_2 = \frac{0.048 - 0.04}{0.008} = \frac{0.008}{0.008} = 1$

より, $P(0.032 \le R \le 0.048) = P(-1 \le Z \le 1) = P(Z \le 1) - P(Z \le -1)$ です。

標準正規分布表から, $P(Z \le 1) = 0.8413$ であり, $P(Z \le -1) = 1 - P(Z \le 1) = 1 - 0.8413 = 0.1587$ です。

よって, $P(0.032 \le R \le 0.048) = 0.8413 - 0.1587 = 0.6826$ となります。

3. 最終的な答え

(1) 0.0668

(2) 0.6826