$n$ を3以上の自然数とします。$n$個のサイコロを同時に振り、出た目すべての積が $x$ の倍数となる確率を $P_x$ と表します。このとき、以下の確率を求めます。 (1) $P_2$ (2) $P_6$ (3) $P_{25}$ (4) $P_{50}$

確率論・統計学確率サイコロ倍数余事象
2025/4/13

1. 問題の内容

nn を3以上の自然数とします。nn個のサイコロを同時に振り、出た目すべての積が xx の倍数となる確率を PxP_x と表します。このとき、以下の確率を求めます。
(1) P2P_2
(2) P6P_6
(3) P25P_{25}
(4) P50P_{50}

2. 解き方の手順

(1) P2P_2 について
P2P_2 は、出た目の積が2の倍数となる確率です。これは、少なくとも1つ以上のサイコロの目が偶数であれば良いことを意味します。したがって、すべてのサイコロの目が奇数になる確率を1から引けばよいです。サイコロの目が奇数である確率は 36=12\frac{3}{6} = \frac{1}{2} です。したがって、すべてのサイコロの目が奇数である確率は (12)n(\frac{1}{2})^n です。
よって、P2=1(12)nP_2 = 1 - (\frac{1}{2})^n
(2) P6P_6 について
P6P_6 は、出た目の積が6の倍数となる確率です。6の倍数であるためには、2の倍数かつ3の倍数である必要があります。2の倍数となる確率は P2P_2 で求めた通りです。3の倍数となる確率を計算します。3の倍数でない確率を計算する方が簡単です。サイコロの目が3の倍数でない確率は 46=23\frac{4}{6} = \frac{2}{3} です。したがって、すべてのサイコロの目が3の倍数でない確率は (23)n(\frac{2}{3})^n です。よって、3の倍数となる確率は 1(23)n1 - (\frac{2}{3})^n です。
しかし、2の倍数になる事象と3の倍数になる事象は独立ではないため、積で計算することはできません。
余事象を考えることで計算します。積が6の倍数でないのは、積が2の倍数でないか、3の倍数でないか、またはその両方です。積が2の倍数でない確率は (12)n(\frac{1}{2})^n であり、積が3の倍数でない確率は (23)n(\frac{2}{3})^n です。両方とも満たす確率は、すべての目が奇数かつ3の倍数でない場合であり、サイコロの目が1か5の場合なので、(26)n=(13)n(\frac{2}{6})^n = (\frac{1}{3})^n です。したがって、積が6の倍数でない確率は (12)n+(23)n(13)n(\frac{1}{2})^n + (\frac{2}{3})^n - (\frac{1}{3})^n です。
よって、P6=1((12)n+(23)n(13)n)P_6 = 1 - ((\frac{1}{2})^n + (\frac{2}{3})^n - (\frac{1}{3})^n)
(3) P25P_{25} について
P25P_{25} は、出た目の積が25の倍数となる確率です。25の倍数であるためには、積の中に少なくとも2つの5が含まれていなければなりません。
全体から、5が0個の場合と5が1個の場合を引きます。
5が出ない確率は (56)n(\frac{5}{6})^n です。
5が1つだけ出る確率は、n(16)(56)n1n (\frac{1}{6}) (\frac{5}{6})^{n-1} です。
したがって、P25=1(56)nn(16)(56)n1P_{25} = 1 - (\frac{5}{6})^n - n (\frac{1}{6}) (\frac{5}{6})^{n-1}
(4) P50P_{50} について
P50P_{50} は、出た目の積が50の倍数となる確率です。50は 2×522 \times 5^2 なので、積の中に2の倍数と5が2つ以上含まれていなければなりません。
これは、P25P_{25} を求めるよりも複雑です。余事象を考えた方が簡単そうです。
積が50の倍数でない場合は、以下のいずれかです。
- 2の倍数でない(すべて奇数):(12)n(\frac{1}{2})^n
- 5が2つ以上含まれていない:(56)n+n(16)(56)n1(\frac{5}{6})^n + n (\frac{1}{6}) (\frac{5}{6})^{n-1} (5が0個か1個)
- 2の倍数でなく、かつ5が2つ以上含まれていない:
- 5が0個で全て奇数:(26)n=(13)n(\frac{2}{6})^n = (\frac{1}{3})^n
- 5が1個で他は奇数:n(16)(26)n1=n(16)(13)n1n (\frac{1}{6}) (\frac{2}{6})^{n-1} = n (\frac{1}{6}) (\frac{1}{3})^{n-1}
よって、積が50の倍数でない確率は (12)n+(56)n+n(16)(56)n1(13)nn(16)(13)n1(\frac{1}{2})^n + (\frac{5}{6})^n + n (\frac{1}{6}) (\frac{5}{6})^{n-1} - (\frac{1}{3})^n - n (\frac{1}{6}) (\frac{1}{3})^{n-1}
したがって、P50=1((12)n+(56)n+n(16)(56)n1(13)nn(16)(13)n1)P_{50} = 1 - ((\frac{1}{2})^n + (\frac{5}{6})^n + n (\frac{1}{6}) (\frac{5}{6})^{n-1} - (\frac{1}{3})^n - n (\frac{1}{6}) (\frac{1}{3})^{n-1})

3. 最終的な答え

(1) P2=1(12)nP_2 = 1 - (\frac{1}{2})^n
(2) P6=1((12)n+(23)n(13)n)P_6 = 1 - ((\frac{1}{2})^n + (\frac{2}{3})^n - (\frac{1}{3})^n)
(3) P25=1(56)nn(16)(56)n1P_{25} = 1 - (\frac{5}{6})^n - n (\frac{1}{6}) (\frac{5}{6})^{n-1}
(4) P50=1((12)n+(56)n+n(16)(56)n1(13)nn(16)(13)n1)P_{50} = 1 - ((\frac{1}{2})^n + (\frac{5}{6})^n + n (\frac{1}{6}) (\frac{5}{6})^{n-1} - (\frac{1}{3})^n - n (\frac{1}{6}) (\frac{1}{3})^{n-1})

「確率論・統計学」の関連問題

生徒9人の英語と数学のテスト結果が表で与えられています。 (1) 生徒8の英語の得点A、英語の得点の分散B、英語と数学の得点の相関係数を求める。 (2) 9人の英語と数学の得点の散布図として適切なもの...

統計分散相関相関係数散布図データの解析
2025/4/17

あるクラスの生徒40人について、ハンドボール投げの飛距離のデータを最初に取った。図1は、その時のヒストグラムである。後日、再度記録を取り直し、最初に取った記録から今回の記録への分析結果をA〜Dに示す。...

統計ヒストグラム箱ひげ図データの分析
2025/4/17

あるクラスの生徒40人のハンドボール投げの飛距離のデータについて、ヒストグラムが与えられている。 (1) 第3四分位数が含まれる階級を求める。 (2) 与えられたデータと矛盾する箱ひげ図を選択する。

統計ヒストグラム箱ひげ図四分位数
2025/4/17

Y大学で$4n$人の学生が数学を受験しました。$3n$人の学生が$a$点、$n$人の学生が$b$点を取ったとき、得点の分散を求めなさい。ただし、答えの形式は $\frac{4}{56}(b-a)^7$...

分散統計平均
2025/4/17

6人の生徒の国語の成績 $x$ と数学の成績 $y$ が与えられた表に基づき、以下の問いに答えます。 (1) 変量 $x$ の分散 $S_x^2$ と変量 $y$ の分散 $S_y^2$ を求めます。...

分散共分散相関係数統計
2025/4/17

問題5は、ある学年の生徒100人のうち、男子生徒が45人、女子生徒が55人いる。運動部に所属している男子生徒は25人、女子生徒は30人である。 (1) この学年の生徒から1人を選んだとき、その生徒が男...

確率条件付き確率確率計算
2025/4/17

問題は以下の3つのパートに分かれています。 (1) 7人(生徒4人、先生3人)が1列に並ぶときの並び方の数を求める問題が4つあります。 (1) 生徒4人が隣り合う並び方 (2) 先生3...

順列組み合わせ確率場合の数最短経路
2025/4/17

ある食堂でランチAとBがあり、35人中21人がAを好むと回答した。この結果から、Aの方が好まれると言えるか判断するために、仮説検定を行う。基準となる確率は0.05とする。コインを35枚投げて表が出た枚...

仮説検定統計的推測相対度数有意水準
2025/4/17

5つの店AからEにおける、商品Pと商品Qの1日の販売数が与えられている。商品Pの販売数を変量$x$、商品Qの販売数を変量$y$とする。 (1) $x$の分散と標準偏差を求める。 (2) $x$と$y$...

分散標準偏差共分散相関係数統計
2025/4/17

問題は、ある高校の地学部で1年間、月ごとの降水日数を記録したデータに関するものです。 (1) データの「中央値」、「第1四分位数」、「第3四分位数」を求める必要があります。 (2) 2017年から20...

中央値四分位数箱ひげ図データ分析
2025/4/17