自然数 $n$ に対して、以下の2つの等式・不等式を数学的帰納法で証明する。 (1) $1^3 + 2^3 + 3^3 + \dots + n^3 = \{\frac{1}{2}n(n+1)\}^2$ (2) $2^n \geq n+1$

1. 問題の内容

自然数 $n$ に対して、以下の2つの等式・不等式を数学的帰納法で証明する。

(1) $1^3 + 2^3 + 3^3 + \dots + n^3 = \{\frac{1}{2}n(n+1)\}^2$

(2) $2^n \geq n+1$

2. 解き方の手順

(1) $1^3 + 2^3 + 3^3 + \dots + n^3 = \{\frac{1}{2}n(n+1)\}^2$の証明

ステップ1: $n=1$のとき

左辺は$1^3=1$、右辺は$\{\frac{1}{2}(1)(1+1)\}^2 = \{\frac{1}{2}(2)\}^2 = 1^2 = 1$。

よって、$n=1$のとき、等式は成り立つ。

ステップ2: $n=k$のとき等式が成り立つと仮定する。すなわち、

$1^3 + 2^3 + 3^3 + \dots + k^3 = \{\frac{1}{2}k(k+1)\}^2$ が成り立つと仮定する。

ステップ3: $n=k+1$のときを考える。

$1^3 + 2^3 + 3^3 + \dots + k^3 + (k+1)^3 = \{\frac{1}{2}k(k+1)\}^2 + (k+1)^3$

$= \frac{1}{4}k^2(k+1)^2 + (k+1)^3$

$= \frac{1}{4}k^2(k+1)^2 + \frac{4}{4}(k+1)(k+1)^2$

$= \frac{1}{4}(k+1)^2[k^2 + 4(k+1)]$

$= \frac{1}{4}(k+1)^2(k^2 + 4k + 4)$

$= \frac{1}{4}(k+1)^2(k+2)^2$

$= \{\frac{1}{2}(k+1)(k+2)\}^2$

したがって、$n=k+1$のときも等式は成り立つ。

ステップ4: 数学的帰納法の原理より、すべての自然数$n$に対して等式は成り立つ。

(2) $2^n \geq n+1$の証明

ステップ1: $n=1$のとき

左辺は$2^1=2$、右辺は$1+1=2$。

よって、$2 \geq 2$となり、$n=1$のとき、不等式は成り立つ。

ステップ2: $n=k$のとき不等式が成り立つと仮定する。すなわち、$2^k \geq k+1$が成り立つと仮定する。

ステップ3: $n=k+1$のときを考える。

$2^{k+1} = 2 \cdot 2^k \geq 2(k+1) = 2k+2$

$2k+2 \geq (k+1)+1 = k+2$を示す必要がある。

$2k+2 \geq k+2$は、$2k \geq k$と同値であり、$k \geq 0$となる。

$k$は自然数であるから、$k \geq 1$であり、$2k+2 \geq k+2$は成り立つ。

したがって、$2^{k+1} \geq k+2$となり、$n=k+1$のときも不等式は成り立つ。

ステップ4: 数学的帰納法の原理より、すべての自然数$n$に対して不等式は成り立つ。

3. 最終的な答え

(1) $1^3 + 2^3 + 3^3 + \dots + n^3 = \{\frac{1}{2}n(n+1)\}^2$

(2) $2^n \geq n+1$