正則行列であることを示すには、その行列式が0でないことを示せば良い。行列式の性質を利用して計算する。
[IBAI] に、[I0−AI] を右から掛けると、 [IBAI][I0−AI]=[IB−A+A−BA+I]=[IB0I−BA] ここで、∣MN∣=∣M∣∣N∣という性質を利用すると、 ∣[IBAI]∣⋅∣[I0−AI]∣=∣[IB0I−BA]∣ 行列式の性質から ∣[I0−AI]∣=1 かつ ∣[IB0I−BA]∣=∣I∣⋅∣I−BA∣=∣I−BA∣ したがって、
∣[IBAI]∣=∣I−BA∣ 仮定より I−AB は正則なので、∣I−AB∣=0 である。 ここで、∣I−AB∣=∣I−BA∣ が成り立つことを示す。 A(I−BA)=A−ABA=(I−AB)A 両辺の行列式をとると ∣A∣∣I−BA∣=∣I−AB∣∣A∣ A が正則であるとは限らないので、∣I−BA∣=∣I−AB∣ とは言えない. しかし、I−AB が正則であるとき、I−BA も正則である。以下に示す。 X=I+B(I−AB)−1A とすると、 (I−BA)X=(I−BA)(I+B(I−AB)−1A)=I+B(I−AB)−1A−BA−BAB(I−AB)−1A =I+B(I−AB)−1A−BA−B(AB)(I−AB)−1A=I+B(I−AB)−1A−BA−B((I−AB)−I)(I−AB)−1A =I+B(I−AB)−1A−BA−B(I−AB)(I−AB)−1A+BA=I+B(I−AB)−1A−BA−BA+BA=I X(I−BA)=(I+B(I−AB)−1A)(I−BA)=I−BA+B(I−AB)−1A−B(I−AB)−1ABA =I−BA+B(I−AB)−1A−B(I−AB)−1(AB)A=I−BA+B(I−AB)−1A−B(I−(I−AB))(I−AB)−1A =I−BA+B(I−AB)−1A−B((I−AB)−1A−A)=I−BA+BA=I つまり、X=(I−BA)−1 が存在するので、I−BA は正則。 したがって、∣I−BA∣=0 となる。 ∣[IBAI]∣=∣I−BA∣=0 より[IBAI]は正則である。