与えられたベルの不等式に関する問題です。 光子対を発生させ、偏光板を通過させます。 偏光板の角度を$\theta$、$\phi$として、通過した場合を+1、通過しなかった場合を-1とします。 $S = ab + a'b + ab' - a'b'$ という量を定義し、$S = (a + a')b + (a - a')b' = \pm 2$となります。 $S$の平均値$\langle S \rangle$は$-2 \le \langle S \rangle \le 2$の範囲内にあると考えられます。 しかし、特定の条件下では、$\langle A(\theta)B(\phi) \rangle = -\cos 2(\theta - \phi)$ に従うことが確認され、$\langle S \rangle$について上記の不等式の範囲を超える実験結果が得られています。 問題では、角度の組$(\theta, \theta', \phi, \phi')$を調節して$|\langle S \rangle|$を最大化することが求められると考えられます。

応用数学ベルの不等式量子力学三角関数最適化
2025/5/12

1. 問題の内容

与えられたベルの不等式に関する問題です。
光子対を発生させ、偏光板を通過させます。
偏光板の角度をθ\thetaϕ\phiとして、通過した場合を+1、通過しなかった場合を-1とします。
S=ab+ab+ababS = ab + a'b + ab' - a'b' という量を定義し、S=(a+a)b+(aa)b=±2S = (a + a')b + (a - a')b' = \pm 2となります。
SSの平均値S\langle S \rangle2S2-2 \le \langle S \rangle \le 2の範囲内にあると考えられます。
しかし、特定の条件下では、A(θ)B(ϕ)=cos2(θϕ)\langle A(\theta)B(\phi) \rangle = -\cos 2(\theta - \phi) に従うことが確認され、S\langle S \rangleについて上記の不等式の範囲を超える実験結果が得られています。
問題では、角度の組(θ,θ,ϕ,ϕ)(\theta, \theta', \phi, \phi')を調節してS|\langle S \rangle|を最大化することが求められると考えられます。

2. 解き方の手順

S=ab+ab+ababS = ab + a'b + ab' - a'b'
A(θ)B(ϕ)=ab=cos2(θϕ)\langle A(\theta)B(\phi) \rangle = \langle ab \rangle = -\cos 2(\theta - \phi)
S=ab+ab+abab\langle S \rangle = \langle ab \rangle + \langle a'b \rangle + \langle ab' \rangle - \langle a'b' \rangle
S=cos2(θϕ)cos2(θϕ)cos2(θϕ)+cos2(θϕ)\langle S \rangle = -\cos 2(\theta - \phi) - \cos 2(\theta' - \phi) - \cos 2(\theta - \phi') + \cos 2(\theta' - \phi')
S|\langle S \rangle| を最大化することを考えます。
S\langle S \rangle を変形すると、
S=[cos2(θϕ)+cos2(θϕ)+cos2(θϕ)cos2(θϕ)]\langle S \rangle = - [\cos 2(\theta - \phi) + \cos 2(\theta' - \phi) + \cos 2(\theta - \phi') - \cos 2(\theta' - \phi') ]
=[cos2(θϕ)+cos2(θϕ)+cos2(θϕ)cos2(θϕ)]= - [\cos 2(\theta - \phi) + \cos 2(\theta' - \phi) + \cos 2(\theta - \phi') - \cos 2(\theta' - \phi') ]
=[cos2(θϕ)+cos2(θϕ)+cos2(θϕ)+cos(π+2(θϕ))]= - [\cos 2(\theta - \phi) + \cos 2(\theta' - \phi) + \cos 2(\theta - \phi') + \cos(\pi+2(\theta' - \phi')) ]
S|\langle S \rangle|を最大化するには、それぞれのコサインの項が1または-1になるように角度を選ぶ必要があります。
例えば、θϕ=π/4\theta - \phi = \pi/4 , θϕ=π/4\theta' - \phi = -\pi/4, θϕ=π/4\theta - \phi' = -\pi/4, θϕ=3π/4\theta' - \phi' = -3\pi/4とすると、
S=(cos(π/2)+cos(π/2)+cos(π/2)cos(3π/2))=22\langle S \rangle = -(\cos(\pi/2) + \cos(-\pi/2) + \cos(-\pi/2) - \cos(-3\pi/2)) = 2 \sqrt{2}.
したがって、 S=222.828|\langle S \rangle| = 2\sqrt{2} \approx 2.828となります。
ベルの不等式の範囲は-2から2であるため、この値はベルの不等式を超えています。

3. 最終的な答え

θϕ=π/8,θϕ=3π/8,θϕ=3π/8,θϕ=π/8\theta - \phi = \pi/8, \theta' - \phi = -3\pi/8, \theta - \phi' = 3\pi/8, \theta' - \phi' = \pi/8とすれば222\sqrt{2}が得られます。
(θ,θ,ϕ,ϕ)=(0,π/2,π/8,5π/8)(\theta, \theta', \phi, \phi') = (0, -\pi/2, -\pi/8, -5\pi/8)とすると、
S=[cos(π/4)+cos(3π/4)+cos(3π/4)cos(π/4)]=[2/22/22/22/2]=22\langle S \rangle = -[\cos(\pi/4) + \cos(-3\pi/4) + \cos(3\pi/4) - \cos(\pi/4)] = -[\sqrt{2}/2 - \sqrt{2}/2 - \sqrt{2}/2 - \sqrt{2}/2] = 2\sqrt{2}
S=22|\langle S \rangle| = 2\sqrt{2}
最終的な答え: 222\sqrt{2}
(角度の組み合わせは (θ,θ,ϕ,ϕ)=(0,π/2,π/8,5π/8)(\theta, \theta', \phi, \phi') = (0, -\pi/2, -\pi/8, -5\pi/8)の時)

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