実数係数の多項式 $f(x) = x^n + a_{n-1}x^{n-1} + \dots + a_1x + a_0$ について、以下の2つの問題に答えます。 (1) 複素数 $\alpha$ に対して $f(\alpha) = 0$ ならば $f(\overline{\alpha}) = 0$ であることを示します。 (2) $f(x)$ はある実数 $r_1, \dots, r_k, s_1, \dots, s_l, t_1, \dots, t_l$ を用いて $f(x) = (x - r_1)\dots(x - r_k)(x^2 + s_1x + t_1)\dots(x^2 + s_lx + t_l)$ と因数分解できることを示します。
2025/5/14
1. 問題の内容
実数係数の多項式 について、以下の2つの問題に答えます。
(1) 複素数 に対して ならば であることを示します。
(2) はある実数 を用いて と因数分解できることを示します。
2. 解き方の手順
(1)
を考えます。
と仮定します。このとき、 を計算します。
ここで、複素数の共役の性質より、 と が成り立ちます。
また、 は実数なので、 です。
したがって、
なので、
よって、 となります。
(2)
代数学の基本定理より、 次多項式 は複素数の範囲で 個の解を持ちます。
これらの解を とすると、
と因数分解できます。
ここで、 の係数は実数なので、もし が の解ならば、 も の解となります。(1)より
したがって、 の解を実数解と複素数解に分けます。
実数解を とすると、 は の因数です。
次に、複素数解 とその共役複素数 を考えます。
ここで、 とすると、 なので、
(実数)
(実数)
したがって、 の形になり、 と は実数です。
このような2次式を とします。
ここで、 となります。
以上より、 と因数分解できます。
3. 最終的な答え
(1) ならば である。
(2) と因数分解できる。