単振り子の周期 $T$ と糸の長さ $l$ を測定し、$T = 2\pi \sqrt{\frac{l}{g}}$ の関係から重力加速度 $g$ を求めたい。$T$ の誤差が $\Delta T$、$l$ の誤差が $\Delta l$ であるとき、実験から求められる重力加速度 $g$ の誤差 $\Delta g$ を近似的にどのように表せるかを求める問題です。

応用数学物理誤差解析微分力学
2025/5/15

1. 問題の内容

単振り子の周期 TT と糸の長さ ll を測定し、T=2πlgT = 2\pi \sqrt{\frac{l}{g}} の関係から重力加速度 gg を求めたい。TT の誤差が ΔT\Delta Tll の誤差が Δl\Delta l であるとき、実験から求められる重力加速度 gg の誤差 Δg\Delta g を近似的にどのように表せるかを求める問題です。

2. 解き方の手順

まず、ggTTll の関数として表します。
T=2πlgT = 2\pi \sqrt{\frac{l}{g}} より、
T2=4π2lgT^2 = 4\pi^2 \frac{l}{g}
したがって、
g=4π2lT2g = 4\pi^2 \frac{l}{T^2}
gg の全微分 dgdg は、
dg=gldl+gTdTdg = \frac{\partial g}{\partial l} dl + \frac{\partial g}{\partial T} dT
偏微分を計算します。
gl=4π2T2\frac{\partial g}{\partial l} = \frac{4\pi^2}{T^2}
gT=4π2l(2)T3=8π2lT3\frac{\partial g}{\partial T} = 4\pi^2 l \cdot (-2)T^{-3} = -\frac{8\pi^2 l}{T^3}
したがって、dgdg は、
dg=4π2T2dl8π2lT3dTdg = \frac{4\pi^2}{T^2} dl - \frac{8\pi^2 l}{T^3} dT
微小変化を誤差で置き換えます。dgΔgdg \rightarrow \Delta g, dlΔldl \rightarrow \Delta l, dTΔTdT \rightarrow \Delta T
Δg=4π2T2Δl8π2lT3ΔT\Delta g = \frac{4\pi^2}{T^2} \Delta l - \frac{8\pi^2 l}{T^3} \Delta T
さらに、g=4π2lT2g = 4\pi^2 \frac{l}{T^2} より、4π2=gT2l4\pi^2 = \frac{gT^2}{l} なので、これを代入します。
Δg=gT2lT2Δl2gT2llT3ΔT=gΔll2gΔTT\Delta g = \frac{gT^2}{lT^2} \Delta l - \frac{2gT^2 l}{lT^3} \Delta T = g \frac{\Delta l}{l} - 2g \frac{\Delta T}{T}
Δg=g(Δll2ΔTT)\Delta g = g (\frac{\Delta l}{l} - 2\frac{\Delta T}{T})
絶対値を取って誤差の大きさだけに関心を持つ場合は、
Δgg(Δll+2ΔTT)|\Delta g| \approx g (|\frac{\Delta l}{l}| + 2|\frac{\Delta T}{T}|)

3. 最終的な答え

重力加速度の誤差 Δg\Delta g は、
Δgg(Δll2ΔTT)\Delta g \approx g (\frac{\Delta l}{l} - 2\frac{\Delta T}{T})
誤差の大きさは、
Δgg(Δll+2ΔTT)|\Delta g| \approx g (|\frac{\Delta l}{l}| + 2|\frac{\Delta T}{T}|)

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