2XXX年、火星に移住した人々の教育機関「慶應義塾Mars学院」で、火星の大きさや重力、密度などを測定する実習が行われた。以下の問いに答える。 (1) 学院のある地点A(北緯35°24'57.0")とその同一子午線上にある地点B(北緯35°25'09.5")間の直線距離を測定すると212mだった。火星は完全な球体とし、緯度経度の決め方や表し方は地球と同じとして、火星の子午線1周の距離を求めよ。 (2) (1)より、火星の半径Rを求めよ。 (3) この学院の校舎には大きな振り子があり、振り子支点からおもりまでの長さLは12.8m、振り子の周期Tは12.0秒だった。火星表面での重力加速度gを求めよ。 (4) (2)で求めた半径Rを用い、万有引力 = 重力として、火星の質量Mを求めよ。なお、火星質量は地球のほぼ1/10である。目安にするといいだろう。 (5) (2)で求めた半径Rを用いて、火星の体積Vを求めよ。 (6) (4) (5)より、火星の平均密度ρを求めよ。単位は[kg/m³]で、適切な有効桁がわかる表記にせよ。

応用数学幾何学物理学天文学重力加速度万有引力密度体積三角関数
2025/5/20

1. 問題の内容

2XXX年、火星に移住した人々の教育機関「慶應義塾Mars学院」で、火星の大きさや重力、密度などを測定する実習が行われた。以下の問いに答える。
(1) 学院のある地点A(北緯35°24'57.0")とその同一子午線上にある地点B(北緯35°25'09.5")間の直線距離を測定すると212mだった。火星は完全な球体とし、緯度経度の決め方や表し方は地球と同じとして、火星の子午線1周の距離を求めよ。
(2) (1)より、火星の半径Rを求めよ。
(3) この学院の校舎には大きな振り子があり、振り子支点からおもりまでの長さLは12.8m、振り子の周期Tは12.0秒だった。火星表面での重力加速度gを求めよ。
(4) (2)で求めた半径Rを用い、万有引力 = 重力として、火星の質量Mを求めよ。なお、火星質量は地球のほぼ1/10である。目安にするといいだろう。
(5) (2)で求めた半径Rを用いて、火星の体積Vを求めよ。
(6) (4) (5)より、火星の平均密度ρを求めよ。単位は[kg/m³]で、適切な有効桁がわかる表記にせよ。

2. 解き方の手順

(1) まず、地点AとBの緯度差を求める。
352509.5352457.0=12.535^\circ 25' 09.5'' - 35^\circ 24' 57.0'' = 12.5''
この緯度差をラジアンに変換する。1度は3600秒なので、
12.5=12.53600=12.53600×π180 rad12.5'' = \frac{12.5}{3600}^\circ = \frac{12.5}{3600} \times \frac{\pi}{180} \text{ rad}
地点AとBの間の直線距離212mは、この緯度差に対応する弧の長さである。
子午線1周の長さをLとすると、
212L=12.53600×1180\frac{212}{L} = \frac{12.5}{3600} \times \frac{1}{180}
L=212×3600×18012.5L = 212 \times \frac{3600 \times 180}{12.5}
(2) 火星の半径Rは、子午線1周の長さLを用いて、L=2πRL = 2\pi Rで求められる。
R=L2πR = \frac{L}{2\pi}
(3) 振り子の周期Tは、T=2πLgT = 2\pi \sqrt{\frac{L}{g}}で与えられる。
重力加速度gは、g=4π2LT2g = \frac{4\pi^2 L}{T^2}で求められる。
(4) 万有引力と重力が等しいことから、GMmR2=mgG\frac{Mm}{R^2} = mg
火星の質量Mは、M=gR2GM = \frac{gR^2}{G}で求められる。ここでGは万有引力定数 6.674×1011Nm2/kg26.674 \times 10^{-11} Nm^2/kg^2 である。
(5) 火星の体積Vは、V=43πR3V = \frac{4}{3}\pi R^3で求められる。
(6) 火星の平均密度ρは、ρ=MV\rho = \frac{M}{V}で求められる。

3. 最終的な答え

(1) 火星の子午線1周の距離L:
L=212×3600×18012.510977600 m=1.09776×107 mL = 212 \times \frac{3600 \times 180}{12.5} \approx 10977600 \text{ m} = 1.09776 \times 10^7 \text{ m}
(2) 火星の半径R:
R=1.09776×1072π1747000 m=1.747×106 mR = \frac{1.09776 \times 10^7}{2\pi} \approx 1747000 \text{ m} = 1.747 \times 10^6 \text{ m}
(3) 火星表面での重力加速度g:
g=4π2(12.8)(12.0)23.51 m/s2g = \frac{4\pi^2 (12.8)}{(12.0)^2} \approx 3.51 \text{ m/s}^2
(4) 火星の質量M:
M=(3.51)(1.747×106)26.674×10111.60×1023 kgM = \frac{(3.51)(1.747 \times 10^6)^2}{6.674 \times 10^{-11}} \approx 1.60 \times 10^{23} \text{ kg}
(5) 火星の体積V:
V=43π(1.747×106)32.23×1019 m3V = \frac{4}{3}\pi (1.747 \times 10^6)^3 \approx 2.23 \times 10^{19} \text{ m}^3
(6) 火星の平均密度ρ:
ρ=1.60×10232.23×10197175 kg/m3\rho = \frac{1.60 \times 10^{23}}{2.23 \times 10^{19}} \approx 7175 \text{ kg/m}^3

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