$n$次上三角行列$A$の対角成分のうち0でないものの個数を$k$とするとき、$\text{rank} \ A \geq k$であることを示し、さらに$k = n-1$および$k = n$の場合に$\text{rank} \ A = k$であることを示す。

代数学線形代数行列ランク上三角行列階数線形独立行列式
2025/5/21

1. 問題の内容

nn次上三角行列AAの対角成分のうち0でないものの個数をkkとするとき、rank Ak\text{rank} \ A \geq kであることを示し、さらにk=n1k = n-1およびk=nk = nの場合にrank A=k\text{rank} \ A = kであることを示す。

2. 解き方の手順

(1) rank Ak\text{rank} \ A \geq kを示す。
上三角行列AAの対角成分が0でないものの個数がkkであるとき、対角成分が0でない列を抽出する。これらのkk個の列は線形独立である。
なぜなら、これらの列のうちの任意の1つを他の列の線形結合で表すことができないからである。
したがって、行列AAの階数(rank)は少なくともkk以上である。
つまり、rank Ak\text{rank} \ A \geq kとなる。
(2) k=nk = nの場合にrank A=k=n\text{rank} \ A = k = nを示す。
k=nk = nの場合、上三角行列AAの対角成分はすべて0でない。
このとき、AAの行列式は対角成分の積であり、それは0ではない。したがって、AAは正則行列であり、rank A=n=k\text{rank} \ A = n = kである。
(3) k=n1k = n-1の場合にrank A=k=n1\text{rank} \ A = k = n-1を示す。
k=n1k = n-1の場合、AAの対角成分のうち1つが0であり、残りのn1n-1個は0ではない。
AAの対角成分が0である列をjj列目とする。
このとき、AAjj列目を除いたn1n-1個の列は線形独立である。
したがって、rank An1\text{rank} \ A \geq n-1である。
一方で、det A=0\text{det} \ A = 0であるから、AAは正則ではなく、rank A<n\text{rank} \ A < nである。
したがって、rank A=n1=k\text{rank} \ A = n-1 = kである。

3. 最終的な答え

nn次上三角行列AAの対角成分のうち0でないものの個数をkkとするとき、rank Ak\text{rank} \ A \geq kである。
また、k=n1k = n-1の場合、rank A=n1=k\text{rank} \ A = n-1 = kである。
k=nk = nの場合、rank A=n=k\text{rank} \ A = n = kである。

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