$0 < a < b$ として、2つの数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ が次のように定義されています。 $a_1 = a$, $b_1 = b$ $a_{n+1} = \sqrt{a_n b_n}$ $b_{n+1} = \frac{a_n + b_n}{2}$ このとき、2つの数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ が同じ値に収束することを示し、その値を $a$, $b$ の算術幾何平均と呼びます。

解析学数列収束算術幾何平均単調増加単調減少数学的帰納法相加相乗平均
2025/5/21
## 問題8

1. 問題の内容

0<a<b0 < a < b として、2つの数列 {an}\{a_n\}{bn}\{b_n\} が次のように定義されています。
a1=aa_1 = a, b1=bb_1 = b
an+1=anbna_{n+1} = \sqrt{a_n b_n}
bn+1=an+bn2b_{n+1} = \frac{a_n + b_n}{2}
このとき、2つの数列 {an}\{a_n\}{bn}\{b_n\} が同じ値に収束することを示し、その値を aa, bb の算術幾何平均と呼びます。

2. 解き方の手順

(1) 数学的帰納法により、an<bna_n < b_nを証明する。
n=1n = 1のとき、a1=a<b=b1a_1 = a < b = b_1なので成立。
n=kn = kのとき、ak<bka_k < b_kが成立すると仮定する。
n=k+1n = k+1のとき、
ak+1=akbk<ak+bk2=bk+1a_{k+1} = \sqrt{a_k b_k} < \frac{a_k + b_k}{2} = b_{k+1}
ここで、ak<bka_k < b_kよりakbk<ak+bk2\sqrt{a_k b_k} < \frac{a_k + b_k}{2}が成立する(相加相乗平均の関係)ので、ak+1<bk+1a_{k+1} < b_{k+1}が成立する。
よって、数学的帰納法により、an<bna_n < b_nが示された。
(2) 数列{an}\{a_n\}が単調増加であることを証明する。
an+1an=anbnan=an(bnan)a_{n+1} - a_n = \sqrt{a_n b_n} - a_n = \sqrt{a_n} (\sqrt{b_n} - \sqrt{a_n})
ここで、an<bna_n < b_nよりan<bn\sqrt{a_n} < \sqrt{b_n}なので、an+1an>0a_{n+1} - a_n > 0が成立する。
よって、an+1>ana_{n+1} > a_nであるから数列{an}\{a_n\}は単調増加数列である。
(3) 数列{bn}\{b_n\}が単調減少であることを証明する。
bn+1bn=an+bn2bn=anbn2b_{n+1} - b_n = \frac{a_n + b_n}{2} - b_n = \frac{a_n - b_n}{2}
ここで、an<bna_n < b_nよりanbn<0a_n - b_n < 0なので、bn+1bn<0b_{n+1} - b_n < 0が成立する。
よって、bn+1<bnb_{n+1} < b_nであるから数列{bn}\{b_n\}は単調減少数列である。
(4) 数列{an}\{a_n\}は上に有界であり、数列{bn}\{b_n\}は下に有界であることを証明する。
数列{an}\{a_n\}は単調増加であり、an<bnba_n < b_n \leq bであるから、数列{an}\{a_n\}は上に有界である。
数列{bn}\{b_n\}は単調減少であり、bn>anab_n > a_n \geq aであるから、数列{bn}\{b_n\}は下に有界である。
(5) 数列{an}\{a_n\}と数列{bn}\{b_n\}は収束し、その極限値が一致することを証明する。
数列{an}\{a_n\}は上に有界な単調増加数列であるから、収束する。その極限値をααとする。
数列{bn}\{b_n\}は下に有界な単調減少数列であるから、収束する。その極限値をββとする。
an+1=anbna_{n+1} = \sqrt{a_n b_n}より、α=αβα = \sqrt{α β}が成立する。
bn+1=an+bn2b_{n+1} = \frac{a_n + b_n}{2}より、β=α+β2β = \frac{α + β}{2}が成立する。
α=αβα = \sqrt{α β}より、α2=αβα^2 = α βα0α \neq 0より、α=βα = β
したがって、数列{an}\{a_n\}と数列{bn}\{b_n\}は同じ値に収束する。

3. 最終的な答え

数列{an}\{a_n\}と数列{bn}\{b_n\}は同じ値に収束する。

「解析学」の関連問題

次の極限を求めます。 $$ \lim_{x \to 0} \frac{1}{x} \left( \frac{1}{a} - \frac{1}{a+x} \right) $$

極限関数の極限微分
2025/5/21

与えられた無限等比級数が収束するような $x$ の値の範囲を求めます。 (1) $1 + (2-x) + (2-x)^2 + \dots$ (2) $x + x(2-x) + x(2-x)^2 + \...

無限等比級数収束公比不等式
2025/5/21

与えられた関数 $f(x) = -x^4 + 8x^3 - 18x^2 + 11$ について以下の問いに答えます。 (1) 関数 $y = f(x)$ の増減と極値を調べ、グラフの概形を描きます。 (...

微分増減極値接線積分
2025/5/21

曲線 $C: y=x^2(x+3)$ を $x$ 軸方向に $a$ だけ平行移動した曲線を $D$ とします。ただし、$a>0$ です。以下の問いに答えてください。 (1) 曲線 $D$ の方程式を求...

積分平行移動面積関数の最大値三次関数
2025/5/21

与えられた数列の和 $S$ を求める問題です。数列は以下の通りです。 $S = 1 + \frac{2}{3} + \frac{3}{3^2} + \frac{4}{3^3} + \dots + \f...

級数数列の和等比数列等比級数
2025/5/21

関数 $f(x) = x^3 + ax^2 + bx$ に関して、以下の問いに答える問題です。 (1) 曲線 $y=f(x)$ が $x$ 軸と相異なる3点で交わるときの、$a, b$ の満たす条件を...

関数のグラフ積分面積三次関数
2025/5/21

与えられた和を計算します。具体的には、$\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{\sqrt{k+2}+\sqrt{k+3}}$ を計算します。

級数望遠鏡和ルートシグマ
2025/5/21

与えられた数列の和を求める問題です。数列は $ \frac{1}{1 \cdot 3} + \frac{1}{3 \cdot 5} + \dots + \frac{1}{(2n-1)(2n+1)} $...

数列級数部分分数分解望遠鏡和
2025/5/21

曲線 $y = f(x) = x^4 - 2x^3 - 3x^2 + 5x + 5$ 上の異なる2点 $(α, f(α))$ と $(β, f(β))$ ($α < β$) において、直線 $y = ...

微分積分曲線接線面積
2025/5/21

次の和 $S$ を求めよ。 $S = 1 \cdot 1 + 3 \cdot 2 + 5 \cdot 2^2 + 7 \cdot 2^3 + \dots + (2n - 1) \cdot 2^{n-1...

級数数列等比数列等差数列
2025/5/21