マクローリンの定理を用いて、与えられた式における空欄を埋める問題です。具体的には、(1) $\cos x$ のマクローリン展開とその剰余項、(2) $f(x) = f(0) + xf'(cx)$ において、$x \to 0$ のときの $c$ の極限、(3) $f(x) = f(0) + xf'(cx)$ において、$f''(0) = 0$ かつ $f'''(0) \neq 0$ の場合に $x \to 0$ のときの $c$ の極限を求めます。

解析学マクローリン展開テイラー展開剰余項極限平均値の定理
2025/5/22

1. 問題の内容

マクローリンの定理を用いて、与えられた式における空欄を埋める問題です。具体的には、(1) cosx\cos x のマクローリン展開とその剰余項、(2) f(x)=f(0)+xf(cx)f(x) = f(0) + xf'(cx) において、x0x \to 0 のときの cc の極限、(3) f(x)=f(0)+xf(cx)f(x) = f(0) + xf'(cx) において、f(0)=0f''(0) = 0 かつ f(0)0f'''(0) \neq 0 の場合に x0x \to 0 のときの cc の極限を求めます。

2. 解き方の手順

(1) cosx\cos x のマクローリン展開
cosx\cos x のマクローリン展開は以下のようになります。
cosx=k=0n(1)k(2k)!x2k+R2n+2\cos x = \sum_{k=0}^{n} \frac{(-1)^k}{(2k)!}x^{2k} + R_{2n+2}
ここで、剰余項 R2n+2R_{2n+2} はラグランジュの剰余項として
R2n+2=f(2n+2)(θx)(2n+2)!x2n+2R_{2n+2} = \frac{f^{(2n+2)}(\theta x)}{(2n+2)!}x^{2n+2}
cosx\cos x(2n+2)(2n+2) 回微分は ±cosx\pm \cos x または ±sinx\pm \sin x であり、絶対値は1以下なので、
R2n+2=(1)n+1cos(θx)(2n+2)!x2n+2R_{2n+2} = \frac{(-1)^{n+1} \cos(\theta x)}{(2n+2)!}x^{2n+2} (または (1)n+1sin(θx)(2n+2)!x2n+2\frac{(-1)^{n+1} \sin(\theta x)}{(2n+2)!}x^{2n+2})
となります。
(2) f(x)=f(0)+xf(cx)f(x) = f(0) + xf'(cx) において、f(0)0f''(0) \neq 0 の場合
f(cx)f'(cx) をマクローリン展開すると、
f(cx)=f(0)+f(0)(cx)+O(x2)f'(cx) = f'(0) + f''(0)(cx) + O(x^2)
f(x)=f(0)+x[f(0)+f(0)(cx)+O(x2)]f(x) = f(0) + x[f'(0) + f''(0)(cx) + O(x^2)]
f(x)=f(0)+xf(0)+x2f(0)c+O(x3)f(x) = f(0) + xf'(0) + x^2 f''(0) c + O(x^3)
ここで、x0x \to 0 のとき、x2x^2 の項が重要になります。
f(x)=f(0)+xf(cx)f(x) = f(0) + xf'(cx) をテイラー展開の式 f(x)=f(0)+xf(0)+12x2f(0)+f(x) = f(0) + xf'(0) + \frac{1}{2}x^2 f''(0) + \cdotsと比較すると、xf(cx)=xf(0)+12x2f(0)xf'(cx)=xf'(0) + \frac{1}{2}x^2 f''(0) となり、
f(cx)=f(0)+12xf(0)f'(cx) = f'(0) + \frac{1}{2}x f''(0).
x0x \to 0 のとき、f(cx)f(0)f'(cx) \to f'(0) となるから、cx0cx \to 0 とは限らない。
平均値の定理より,f(x)=f(0)+xf(cx)f(x) = f(0) + xf'(cx), 0<c<10 < c < 1
x0x \to 0c1/2c \to 1/2
(3) f(x)=f(0)+xf(cx)f(x) = f(0) + xf'(cx) において、f(0)=0f''(0) = 0 かつ f(0)0f'''(0) \neq 0 の場合
f(cx)=f(0)+f(0)(cx)+12f(0)(cx)2+O(x3)f'(cx) = f'(0) + f''(0)(cx) + \frac{1}{2}f'''(0)(cx)^2 + O(x^3)
f(cx)=f(0)+12f(0)c2x2+O(x3)f'(cx) = f'(0) + \frac{1}{2}f'''(0)c^2x^2 + O(x^3)
f(x)=f(0)+xf(0)+12f(0)c2x3+O(x4)f(x) = f(0) + xf'(0) + \frac{1}{2}f'''(0)c^2x^3 + O(x^4)
テイラー展開より、f(x)=f(0)+xf(0)+x22f(0)+x36f(0)+=f(0)+xf(0)+x36f(0)+f(x) = f(0) + xf'(0) + \frac{x^2}{2}f''(0) + \frac{x^3}{6}f'''(0) + \dots = f(0) + xf'(0) + \frac{x^3}{6}f'''(0) + \dots
よって 12c2f(0)x3=16f(0)x3\frac{1}{2}c^2f'''(0)x^3 = \frac{1}{6}f'''(0)x^3 なので
c2=13c^2 = \frac{1}{3}
c=13c = \frac{1}{\sqrt{3}}

3. 最終的な答え

(a) (1)kx2k(2k)!\frac{(-1)^k x^{2k}}{(2k)!}
(b) (1)n+1cos(θx)(2n+2)!x2n+2\frac{(-1)^{n+1} \cos(\theta x)}{(2n+2)!}x^{2n+2}
(c) 12\frac{1}{2}
(d) 13\frac{1}{\sqrt{3}}

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