質量 $m$ の荷物を載せた、質量 $M$ のトラックが、長さ $L$、傾斜角 $\theta$ の斜面を登っていく。以下の問いに答えよ。 (i) トラックが加速度 $a$ で登っているとき、荷物に作用する摩擦力 $f$ を求めよ。 (ii) 荷物が滑り落ちないための、トラックの加速度 $a$ の上限 $a_{max}$ を求めよ。 (iii) 加速度 $a$ で登るために必要な、トラックの駆動力 $F$ を求めよ。 (iv) トラックの駆動力が $F_0 > (m+M)g\sin\theta$ であるとき、斜面の上端に達する時刻 $t_e$ と速度 $v_e$ を、$a$ を用いずに求めよ。ただし、荷物とトラック間の静止摩擦係数は $\mu$ とする。

1. 問題の内容

質量 $m$ の荷物を載せた、質量 $M$ のトラックが、長さ $L$、傾斜角 $\theta$ の斜面を登っていく。以下の問いに答えよ。

(i) トラックが加速度 $a$ で登っているとき、荷物に作用する摩擦力 $f$ を求めよ。

(ii) 荷物が滑り落ちないための、トラックの加速度 $a$ の上限 $a_{max}$ を求めよ。

(iii) 加速度 $a$ で登るために必要な、トラックの駆動力 $F$ を求めよ。

(iv) トラックの駆動力が $F_0 > (m+M)g\sin\theta$ であるとき、斜面の上端に達する時刻 $t_e$ と速度 $v_e$ を、$a$ を用いずに求めよ。ただし、荷物とトラック間の静止摩擦係数は $\mu$ とする。

2. 解き方の手順

(i) 荷物にはたらく力を考える。斜面方向には、重力の斜面方向成分 $mg\sin\theta$ と摩擦力 $f$ がはたらき、これらの合力で加速度 $a$ を生じている。運動方程式は

$ma = f - mg\sin\theta$

したがって、

$f = ma + mg\sin\theta$

(ii) 荷物が滑り落ちない条件は、摩擦力 $f$ が最大静止摩擦力 $f_{max}$ を超えないことである。垂直抗力 $N$ は $N = mg\cos\theta$ なので、$f_{max} = \mu N = \mu mg\cos\theta$。

$f = ma + mg\sin\theta \le \mu mg\cos\theta$

$a \le \mu g\cos\theta - g\sin\theta$

したがって、$a_{max} = \mu g\cos\theta - g\sin\theta$。

(iii) トラックと荷物全体にはたらく力を考える。斜面方向には、重力の斜面方向成分 $(m+M)g\sin\theta$ と駆動力 $F$ がはたらき、これらの合力で加速度 $a$ を生じている。運動方程式は

$(m+M)a = F - (m+M)g\sin\theta$

したがって、$F = (m+M)(a + g\sin\theta)$。

(iv) 駆動力 $F_0$ が一定のとき、トラックと荷物全体の運動方程式は

$(m+M)a = F_0 - (m+M)g\sin\theta$

よって、加速度 $a$ は

$a = \frac{F_0}{m+M} - g\sin\theta$

斜面を登る距離が $L$ なので、等加速度運動の公式より、

$L = \frac{1}{2}at_e^2$

$v_e = at_e$

$t_e = \sqrt{\frac{2L}{a}} = \sqrt{\frac{2L}{\frac{F_0}{m+M} - g\sin\theta}} = \sqrt{\frac{2L(m+M)}{F_0 - (m+M)g\sin\theta}}$

$v_e = a\sqrt{\frac{2L}{a}} = \sqrt{2aL} = \sqrt{2L(\frac{F_0}{m+M} - g\sin\theta)} = \sqrt{\frac{2L(F_0 - (m+M)g\sin\theta)}{m+M}}$

3. 最終的な答え

(i) $f = ma + mg\sin\theta$

(ii) $a_{max} = \mu g\cos\theta - g\sin\theta$

(iii) $F = (m+M)(a + g\sin\theta)$

(iv) $t_e = \sqrt{\frac{2L(m+M)}{F_0 - (m+M)g\sin\theta}}$

$v_e = \sqrt{\frac{2L(F_0 - (m+M)g\sin\theta)}{m+M}}$