$x \geq 0$ を実数とし、$\{x_n\}$ を単調増加な有理数列で $\lim_{n \to \infty} x_n = x$ となるものとする。 $\{a^{x_n}\}$ が収束すること、およびこの極限値は数列 $\{x_n\}$ の取り方によらないことを示し、これを用いて $a^x = \lim_{n \to \infty} a^{x_n}$ と定義する。また $x < 0$ のとき、$a^x = \frac{1}{a^{-x}}$ と定義する。

解析学極限数列指数関数単調性有界性実数
2025/5/22

1. 問題の内容

x0x \geq 0 を実数とし、{xn}\{x_n\} を単調増加な有理数列で limnxn=x\lim_{n \to \infty} x_n = x となるものとする。 {axn}\{a^{x_n}\} が収束すること、およびこの極限値は数列 {xn}\{x_n\} の取り方によらないことを示し、これを用いて ax=limnaxna^x = \lim_{n \to \infty} a^{x_n} と定義する。また x<0x < 0 のとき、ax=1axa^x = \frac{1}{a^{-x}} と定義する。

2. 解き方の手順

以下、a>0a > 0 とする。
(i) {axn}\{a^{x_n}\} が収束することを示す。
{xn}\{x_n\} は単調増加で上に有界な有理数列であるから、xnxx_n \leq x である。
a>1a > 1 の場合、axna^{x_n} は単調増加である。また、axnaxa^{x_n} \leq a^x であるから、{axn}\{a^{x_n}\} は上に有界である。したがって、単調増加で上に有界な数列であるから収束する。
0<a<10 < a < 1 の場合、axna^{x_n} は単調減少である。また、axnaxa^{x_n} \geq a^x であるから、{axn}\{a^{x_n}\} は下に有界である。したがって、単調減少で下に有界な数列であるから収束する。
a=1a = 1 の場合、axn=1a^{x_n} = 1 であるから、limnaxn=1\lim_{n \to \infty} a^{x_n} = 1 であり、収束する。
(ii) 極限値が数列 {xn}\{x_n\} の取り方によらないことを示す。
別の単調増加な有理数列 {yn}\{y_n\}limnyn=x\lim_{n \to \infty} y_n = x となるものを考える。このとき、limnaxn=limnayn\lim_{n \to \infty} a^{x_n} = \lim_{n \to \infty} a^{y_n} を示す必要がある。
任意に ϵ>0\epsilon > 0 を取る。このとき、N1N_1 が存在して、n>N1n > N_1 ならば xnx<ϵ|x_n - x| < \epsilon である。同様に、N2N_2 が存在して、n>N2n > N_2 ならば ynx<ϵ|y_n - x| < \epsilon である。
a>1a > 1 とする。limnxn=x\lim_{n \to \infty} x_n = x より、任意の正の整数 kk に対して x1k<xnx - \frac{1}{k} < x_n となる nn が存在する。同様に、limnyn=x\lim_{n \to \infty} y_n = x より、任意の正の整数 kk に対して x1k<ynx - \frac{1}{k} < y_n となる nn が存在する。
したがって、limnaxn=ax\lim_{n \to \infty} a^{x_n} = a^x かつ limnayn=ax\lim_{n \to \infty} a^{y_n} = a^x であるから、limnaxn=limnayn\lim_{n \to \infty} a^{x_n} = \lim_{n \to \infty} a^{y_n} となる。
0<a<10 < a < 1 の場合も同様に示すことができる。

3. 最終的な答え

x0x \geq 0 のとき、{axn}\{a^{x_n}\} は収束し、その極限値は数列 {xn}\{x_n\} の取り方によらない。ax=limnaxna^x = \lim_{n \to \infty} a^{x_n} と定義する。また、x<0x < 0 のとき、ax=1axa^x = \frac{1}{a^{-x}} と定義する。

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