区間 $I$ 上の関数 $f: I \to \mathbb{R}$ が狭義単調増加であることの定義を述べ、さらに、$I$ 上の関数 $f$ と $g$ が狭義単調増加かつ正値であるとき、積 $fg$ が狭義単調増加であることを証明する。ここで、$h: I \to \mathbb{R}$ が正値とは、$h(x) > 0$ がすべての $x \in I$ で成り立つことをいう。最後に、$f$ または $g$ が正値とは限らないとき、この主張が成り立たない例を挙げる。

解析学単調増加関数証明不等式
2025/5/25

1. 問題の内容

区間 II 上の関数 f:IRf: I \to \mathbb{R} が狭義単調増加であることの定義を述べ、さらに、II 上の関数 ffgg が狭義単調増加かつ正値であるとき、積 fgfg が狭義単調増加であることを証明する。ここで、h:IRh: I \to \mathbb{R} が正値とは、h(x)>0h(x) > 0 がすべての xIx \in I で成り立つことをいう。最後に、ff または gg が正値とは限らないとき、この主張が成り立たない例を挙げる。

2. 解き方の手順

(1) 狭義単調増加の定義:
関数 f:IRf: I \to \mathbb{R} が狭義単調増加であるとは、任意の x1,x2Ix_1, x_2 \in I について、x1<x2x_1 < x_2 ならば f(x1)<f(x2)f(x_1) < f(x_2) が成り立つことである。
(2) 積 fgfg が狭義単調増加であることの証明:
x1,x2Ix_1, x_2 \in I を任意にとり、x1<x2x_1 < x_2 とする。ffgg は狭義単調増加かつ正値であるから、
f(x1)<f(x2)f(x_1) < f(x_2) かつ f(x1)>0f(x_1) > 0
g(x1)<g(x2)g(x_1) < g(x_2) かつ g(x1)>0g(x_1) > 0
が成り立つ。積 fgfgx1x_1x2x_2 における値を考えると、
f(x2)g(x2)f(x1)g(x1)=f(x2)g(x2)f(x1)g(x2)+f(x1)g(x2)f(x1)g(x1)=g(x2)(f(x2)f(x1))+f(x1)(g(x2)g(x1))f(x_2)g(x_2) - f(x_1)g(x_1) = f(x_2)g(x_2) - f(x_1)g(x_2) + f(x_1)g(x_2) - f(x_1)g(x_1) = g(x_2)(f(x_2) - f(x_1)) + f(x_1)(g(x_2) - g(x_1))
となる。ここで、f(x2)f(x1)>0f(x_2) - f(x_1) > 0g(x2)>0g(x_2) > 0f(x1)>0f(x_1) > 0g(x2)g(x1)>0g(x_2) - g(x_1) > 0 であるから、
f(x2)g(x2)f(x1)g(x1)>0f(x_2)g(x_2) - f(x_1)g(x_1) > 0
すなわち、
f(x1)g(x1)<f(x2)g(x2)f(x_1)g(x_1) < f(x_2)g(x_2)
したがって、fgfg は狭義単調増加である。
(3) ff または gg が正値とは限らないとき、この主張が成り立たない例:
I=RI = \mathbb{R} とし、f(x)=xf(x) = xg(x)=xg(x) = x とする。このとき、ffgg は狭義単調増加であるが、正値ではない。fg(x)=x2fg(x) = x^2 となる。x1=1x_1 = -1x2=0x_2 = 0 とすると、x1<x2x_1 < x_2 であるが、fg(x1)=(1)2=1fg(x_1) = (-1)^2 = 1fg(x2)=02=0fg(x_2) = 0^2 = 0 なので、fg(x1)>fg(x2)fg(x_1) > fg(x_2) となり、fgfg は狭義単調増加ではない。

3. 最終的な答え

(1) 関数 f:IRf: I \to \mathbb{R} が狭義単調増加であるとは、任意の x1,x2Ix_1, x_2 \in I について、x1<x2x_1 < x_2 ならば f(x1)<f(x2)f(x_1) < f(x_2) が成り立つことである。
(2) (証明は上記参照)
(3) I=RI = \mathbb{R}f(x)=xf(x) = xg(x)=xg(x) = x

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