確率変数 $X_1, X_2, ..., X_n$ が、確率密度関数 $f(x;\alpha, \beta) = \frac{1}{\Gamma(\alpha) \beta^\alpha} x^{\alpha - 1} e^{-\frac{x}{\beta}}, (x>0; \alpha, \beta > 0)$ に従う母集団分布からの大きさ $n$ の標本であるとき、モーメント法によって母数 $\alpha, \beta$ の推定量 $\hat{\alpha}, \hat{\beta}$ を求める問題。ただし、$\Gamma(\alpha)$ はガンマ関数であり、この分布の期待値は $\alpha\beta$、分散は $\alpha\beta^2$ であることが与えられている。

確率論・統計学モーメント法推定量確率密度関数ガンマ分布標本平均標本分散
2025/5/27

1. 問題の内容

確率変数 X1,X2,...,XnX_1, X_2, ..., X_n が、確率密度関数
f(x;α,β)=1Γ(α)βαxα1exβ,(x>0;α,β>0)f(x;\alpha, \beta) = \frac{1}{\Gamma(\alpha) \beta^\alpha} x^{\alpha - 1} e^{-\frac{x}{\beta}}, (x>0; \alpha, \beta > 0)
に従う母集団分布からの大きさ nn の標本であるとき、モーメント法によって母数 α,β\alpha, \beta の推定量 α^,β^\hat{\alpha}, \hat{\beta} を求める問題。ただし、Γ(α)\Gamma(\alpha) はガンマ関数であり、この分布の期待値は αβ\alpha\beta、分散は αβ2\alpha\beta^2 であることが与えられている。

2. 解き方の手順

モーメント法では、母集団分布のモーメントを標本モーメントで置き換えることで母数を推定する。
この問題では、期待値と分散が与えられているため、第一モーメント(期待値)と第二モーメントを用いて推定量を求める。
(1) 母集団分布の期待値と標本平均を等しいとおく:
E[X]=αβ=XˉE[X] = \alpha\beta = \bar{X}, ここで Xˉ=1ni=1nXi\bar{X} = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} X_i は標本平均。
(2) 母集団分布の分散と標本分散を等しいとおく:
Var[X]=αβ2=S2Var[X] = \alpha\beta^2 = S^2, ここで S2=1ni=1n(XiXˉ)2S^2 = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} (X_i - \bar{X})^2 は標本分散。
(3) (1)と(2)の連立方程式を解いてα\alphaβ\betaを求める。
(1)より β=Xˉα\beta = \frac{\bar{X}}{\alpha}. これを(2)に代入すると、
α(Xˉα)2=S2\alpha (\frac{\bar{X}}{\alpha})^2 = S^2
Xˉ2α=S2\frac{\bar{X}^2}{\alpha} = S^2
α=Xˉ2S2\alpha = \frac{\bar{X}^2}{S^2}
(4) α\alphaの推定値をβ=Xˉα\beta = \frac{\bar{X}}{\alpha}に代入してβ\betaを求める。
β=XˉXˉ2S2=S2Xˉ\beta = \frac{\bar{X}}{\frac{\bar{X}^2}{S^2}} = \frac{S^2}{\bar{X}}
したがって、モーメント法による推定量は、
α^=Xˉ2S2\hat{\alpha} = \frac{\bar{X}^2}{S^2}
β^=S2Xˉ\hat{\beta} = \frac{S^2}{\bar{X}}

3. 最終的な答え

α^=Xˉ2S2\hat{\alpha} = \frac{\bar{X}^2}{S^2}
β^=S2Xˉ\hat{\beta} = \frac{S^2}{\bar{X}}

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