数列 $\{a_n\}$ が、$|a_{n+2} - a_{n+1}| \le k |a_{n+1} - a_n|$ ($0 < k < 1$, $n = 1, 2, \dots$) を満たすとき、$\{a_n\}$ がコーシー列であることを示す。

解析学数列コーシー列極限不等式
2025/5/28

1. 問題の内容

数列 {an}\{a_n\} が、an+2an+1kan+1an|a_{n+2} - a_{n+1}| \le k |a_{n+1} - a_n| (0<k<10 < k < 1, n=1,2,n = 1, 2, \dots) を満たすとき、{an}\{a_n\} がコーシー列であることを示す。

2. 解き方の手順

まず、an+1an|a_{n+1} - a_n| を評価する。与えられた不等式を繰り返し用いることで、
an+1ankanan1k2an1an2kn1a2a1|a_{n+1} - a_n| \le k |a_n - a_{n-1}| \le k^2 |a_{n-1} - a_{n-2}| \le \dots \le k^{n-1} |a_2 - a_1|
次に、m>nm > n に対して、aman|a_m - a_n| を評価する。
aman=(amam1)+(am1am2)++(an+1an)|a_m - a_n| = |(a_m - a_{m-1}) + (a_{m-1} - a_{m-2}) + \dots + (a_{n+1} - a_n)|
三角不等式より、
amanamam1+am1am2++an+1an|a_m - a_n| \le |a_m - a_{m-1}| + |a_{m-1} - a_{m-2}| + \dots + |a_{n+1} - a_n|
先程の評価を用いると、
amankm2a2a1+km3a2a1++kn1a2a1|a_m - a_n| \le k^{m-2} |a_2 - a_1| + k^{m-3} |a_2 - a_1| + \dots + k^{n-1} |a_2 - a_1|
aman(kn1+kn++km2)a2a1|a_m - a_n| \le (k^{n-1} + k^n + \dots + k^{m-2}) |a_2 - a_1|
等比数列の和の公式より、
amankn1km11ka2a1|a_m - a_n| \le \frac{k^{n-1} - k^{m-1}}{1 - k} |a_2 - a_1|
mm \to \infty より、km10k^{m-1} \to 0 なので、
amankn11ka2a1|a_m - a_n| \le \frac{k^{n-1}}{1 - k} |a_2 - a_1|
ϵ>0\epsilon > 0 を任意にとる。0<k<10 < k < 1 より、limnkn11k=0\lim_{n \to \infty} \frac{k^{n-1}}{1 - k} = 0 であるから、ある自然数 NN が存在して、n>Nn > N ならば、
kn11ka2a1<ϵ\frac{k^{n-1}}{1 - k} |a_2 - a_1| < \epsilon
したがって、m>n>Nm > n > N ならば、aman<ϵ|a_m - a_n| < \epsilon となる。
これは、数列 {an}\{a_n\} がコーシー列であることの定義である。

3. 最終的な答え

数列 {an}\{a_n\} はコーシー列である。

「解析学」の関連問題

$x > 0$ のとき、不等式 $x \log x \geq x - 1$ を証明します。ここで、$\log$ は自然対数(底が $e$)を表すものとします。

不等式自然対数導関数関数の最小値微分
2025/5/29

与えられた関数 $y$ を $x$ で微分し、導関数 $\frac{dy}{dx}$ を求める問題です。関数は以下の8つです。 (1) $y = -\sqrt{x}$ (2) $y = \sqrt[3...

微分導関数関数の微分
2025/5/29

与えられた15個の関数をそれぞれ $x$ で微分する問題です。

微分導関数多項式冪関数
2025/5/29

以下の極限値を求める問題です。 (1) $\lim_{x \to 2} 2x^5$ (2) $\lim_{x \to -2} 3x^3$ (3) $\lim_{x \to 5} (x-8)$ (4) ...

極限関数の極限不定形
2025/5/29

問題1010では関数 $f(x) = 2x^2$ について、次の値を求めるよう指示されています。 (1) $f'(-2)$ (2) $f'(-1)$ (3) $f'(0)$ (4) $f'(1)$ (...

微分導関数関数の微分
2025/5/29

与えられた9つの関数を $x$ で微分する問題です。

微分関数の微分累乗根分数指数
2025/5/29

与えられた関数の導関数を求めます。ここでは、問題(5) $e^{x^x}$ の導関数を求めます。

導関数微分指数関数対数関数
2025/5/29

与えられた5つの関数について、それぞれの導関数を求める問題です。 (1) $(x^2+1)^5 (x^3-2)^3$ (2) $\log(\log x)$ (3) $2^x$ (4) $x^3 (x^...

導関数微分合成関数の微分積の微分
2025/5/29

次の条件によって定められる数列$\{a_n\}$の極限を求める問題です。 (1) $a_1 = 3$, $a_{n+1} = \frac{1}{3}a_n - 2$ (2) $a_1 = 1$, $a...

数列極限漸化式等比数列
2025/5/29

問題は、与えられた数列が収束するような $x$ の値の範囲を求め、そのときの極限値を求める、というものです。数列は2つあり、(1) $\{(3x+1)^n\}$ と (2) $\{(x^2-2x-1)...

数列収束極限不等式
2025/5/29