ベクトル $\mathbf{r} = (x, y, z)$、 $r = |\mathbf{r}|$ とする。以下の二つの問題を解く。 1. 積分 $\int_S \mathbf{r} \cdot d\mathbf{S}$ を計算せよ。ここで、$S$ は原点を中心とする半径 $a$ の球面を表す。
2025/5/30
1. 問題の内容
ベクトル 、 とする。以下の二つの問題を解く。
1. 積分 $\int_S \mathbf{r} \cdot d\mathbf{S}$ を計算せよ。ここで、$S$ は原点を中心とする半径 $a$ の球面を表す。
2. 面積分 $\int_S \frac{\mathbf{r}}{r^2} \cdot d\mathbf{S}$ を、変数 $r$ に関する体積分に変換せよ。ここで、$S$ は閉曲面であり、$V$ は $S$ で囲まれた領域とする。
2. 解き方の手順
(1) 積分 の計算
は半径 の球面であるから、球面座標系を使うと便利である。
球面の法線ベクトルは となる。よって、 である。
球面上では なので、
は球の表面積に等しい。半径 の球の表面積は なので、
(2) 面積分 の体積分への変換
発散定理を用いる。発散定理とは、ベクトル場 に対して、
が成り立つという定理である。ここで、 は閉曲面 で囲まれた領域を表す。
とすると、 を計算する必要がある。
、 である。
したがって、
ただし、領域 が原点を含まない場合、となる。
もし領域 が原点を含むなら、 となり、積分結果は となる。(はディラックのデルタ関数)
発散定理を使うためには、で囲まれるにおいて、が連続微分可能であることが必要である。
は原点で定義できないので、が原点を含まないときは となり、面積分は0。
が原点を含むときは、原点に非常に近い半径の球面で囲まれた領域をから除いて発散定理を適用し、 の極限をとることで、 となる。
3. 最終的な答え
(1)
(2) 領域が原点を含まない場合:
領域が原点を含む場合: