与えられたベクトル演算式がどのような状態を示すかを、図と文章で説明する問題です。 (a) $\vec{A} \cdot \vec{B} > 0$ (b) $\vec{C} = (\vec{A} + \vec{B}) \times \vec{E}$ (ただし、$\vec{A}$、$\vec{B}$、$\vec{E}$ の向きは異なる) (c) $\text{grad } f = \vec{0}$ ($f$ は2次元のスカラー場、$\vec{0}$ はゼロベクトル)

応用数学ベクトルベクトル演算内積外積勾配グラディエントスカラー場
2025/5/31

1. 問題の内容

与えられたベクトル演算式がどのような状態を示すかを、図と文章で説明する問題です。
(a) AB>0\vec{A} \cdot \vec{B} > 0
(b) C=(A+B)×E\vec{C} = (\vec{A} + \vec{B}) \times \vec{E} (ただし、A\vec{A}B\vec{B}E\vec{E} の向きは異なる)
(c) grad f=0\text{grad } f = \vec{0} (ff は2次元のスカラー場、0\vec{0} はゼロベクトル)

2. 解き方の手順

(a) AB>0\vec{A} \cdot \vec{B} > 0 について
ベクトル A\vec{A}B\vec{B} の内積は、AB=ABcosθ\vec{A} \cdot \vec{B} = |\vec{A}| |\vec{B}| \cos{\theta} で表されます。ここで、θ\thetaA\vec{A}B\vec{B} のなす角です。AB>0\vec{A} \cdot \vec{B} > 0 ということは、ABcosθ>0|\vec{A}| |\vec{B}| \cos{\theta} > 0 であり、A|\vec{A}|B|\vec{B}| はベクトルの大きさなので正の値をとります。したがって、cosθ>0\cos{\theta} > 0 である必要があります。cosθ>0\cos{\theta} > 0 となるのは、0θ<900^\circ \leq \theta < 90^\circ または 270<θ360270^\circ < \theta \leq 360^\circ のときです。つまり、A\vec{A}B\vec{B} のなす角が鋭角である場合、またはA\vec{A}B\vec{B}のなす角が反時計回りに270度より大きく、360度以下である場合です。
図:ベクトル A\vec{A}B\vec{B} を描き、それらのなす角 θ\theta が鋭角になっているようにします。
(b) C=(A+B)×E\vec{C} = (\vec{A} + \vec{B}) \times \vec{E} について
ベクトル A\vec{A}B\vec{B} の和 (A+B)(\vec{A} + \vec{B}) は、A\vec{A}B\vec{B} を辺とする平行四辺形の対角線で表されます。C\vec{C}(A+B)(\vec{A} + \vec{B})E\vec{E} の外積で求められます。外積 C=(A+B)×E\vec{C} = (\vec{A} + \vec{B}) \times \vec{E} は、(A+B)(\vec{A} + \vec{B})E\vec{E} の両方に垂直なベクトルであり、その大きさは (A+B)Esinθ|(\vec{A} + \vec{B})| |\vec{E}| \sin{\theta} です。ここで、θ\theta(A+B)(\vec{A} + \vec{B})E\vec{E} のなす角です。C\vec{C} の向きは、右手系の法則に従います。
図:ベクトル A\vec{A}B\vec{B}E\vec{E} を描き、それらの和 A+B\vec{A}+\vec{B} を平行四辺形を使って示します。また、C\vec{C}(A+B)(\vec{A}+\vec{B})E\vec{E} の両方に垂直になるように描きます。
(c) grad f=0\text{grad } f = \vec{0} について
grad f\text{grad } f は、ff の勾配(グラディエント)ベクトルであり、 ff の最も急な増加方向とその方向への変化率を表します。grad f=0\text{grad } f = \vec{0} ということは、ff の最も急な増加方向が存在せず、どの方向に進んでも ff の値が変化しないことを意味します。つまり、ff は極値(極大値、極小値、または鞍点)をとる点です。
2次元スカラー場の場合、f(x,y)f(x, y) とすると、grad f=(fx,fy)=(0,0)\text{grad } f = \left(\frac{\partial f}{\partial x}, \frac{\partial f}{\partial y}\right) = (0, 0) です。
図:2次元平面上に、等高線を描き、極大値、極小値、または鞍点となる点で等高線が一点に集まるか、または鞍点のような形状になっていることを示します。

3. 最終的な答え

(a) A\vec{A}B\vec{B} のなす角が鋭角である。
(b) C\vec{C} は、A+B\vec{A}+\vec{B}E\vec{E} の両方に垂直なベクトルである。
(c) ff は極値(極大、極小、または鞍点)をとる点である。

「応用数学」の関連問題

1993年の半導体素子と集積回路の合計生産額の前年比増加率が5%であるとき、1992年の半導体素子と集積回路の合計生産額を求める。

割合計算経済
2025/6/2

GaAs中の電子の移動度 $\mu$ が $8500 \text{ cm}^2/\text{Vs}$、電子密度 $n$ が $1.0 \times 10^{15} \text{ cm}^{-3}$、電...

物理電子工学移動度抵抗率半導体
2025/6/2

室温における銅の抵抗率 $\rho = 1.7 \times 10^{-8} \ [\Omega \cdot m]$、電子密度 $n = 8.5 \times 10^{28} \ [m^{-3}]$で...

物理電気抵抗電子移動度ドリフト速度電界
2025/6/2

3点$(1, 1)$, $(2, 5)$, $(3, 3)$を近似する回帰直線の式を、最小二乗法を用いて求める。

最小二乗法回帰直線線形代数統計
2025/6/2

アルゴンガスを初期体積 $2000 \ cm^3$ から最終体積 $500 \ cm^3$ まで圧縮し、同時に初期温度 $300 \ K$ から最終温度 $400 \ K$ まで加熱した時の、モルエン...

熱力学エントロピー積分対数
2025/6/2

グラフが与えられており、横軸は$V_0$、縦軸は$\theta_{max}$、パラメータは$R$です。$R = 0$の場合のグラフの概形と、ある$V_0$に対する$\theta_{max}$の値がどの...

グラフ解釈物理モデル
2025/6/2

DNAの10塩基対の長さが3.4 nmであるとき、長さが102 μmの2本鎖DNA分子に含まれるヌクレオチドの数を求める。

単位変換比例計算生物学
2025/6/2

ある工場で製品Aと製品Bを製造する。製品Aを1トン作るには原料Pが2トン、原料Qが4トン必要。製品Bを1トン作るには原料Pが6トン、原料Qが2トン必要。1ヶ月あたり、原料Pは140トン、原料Qは120...

線形計画法最適化不等式グラフ
2025/6/1

H国とF国の2国を考え、H国のみに市場が存在する。H国の需要曲線は、$D_H = -2p + 20$ である。最初に、H国の価格が9、F国の価格が8の場合を考える。次に、H国の価格が2、F国の価格が1...

経済学需要曲線価格弾力性収入利益
2025/6/1

ある工場で製品Aと製品Bを生産します。製品A, Bを1トン生産するのに必要な原料P, Qの量と製品A, Bの価格が表で与えられています。この工場へ1日に供給できる原料Pが最大9トン、原料Qが最大8トン...

線形計画法最適化制約条件グラフ
2025/6/1