室温における銅の抵抗率 $\rho = 1.7 \times 10^{-8} \ [\Omega \cdot m]$、電子密度 $n = 8.5 \times 10^{28} \ [m^{-3}]$であるとする。電子の移動度 $\mu \ [cm^2/Vs]$ および緩和時間 $\tau \ [s]$ を求めよ。また、1.0 [V/cm] の電界が印加された場合の電子のドリフト速度 $v_d \ [m/s]$ を求めよ。ただし、電子の有効質量は $m_e^* = 9.1 \times 10^{-31} \ [kg]$ とする。

応用数学物理電気抵抗電子移動度ドリフト速度電界
2025/6/2

1. 問題の内容

室温における銅の抵抗率 ρ=1.7×108 [Ωm]\rho = 1.7 \times 10^{-8} \ [\Omega \cdot m]、電子密度 n=8.5×1028 [m3]n = 8.5 \times 10^{28} \ [m^{-3}]であるとする。電子の移動度 μ [cm2/Vs]\mu \ [cm^2/Vs] および緩和時間 τ [s]\tau \ [s] を求めよ。また、1.0 [V/cm] の電界が印加された場合の電子のドリフト速度 vd [m/s]v_d \ [m/s] を求めよ。ただし、電子の有効質量は me=9.1×1031 [kg]m_e^* = 9.1 \times 10^{-31} \ [kg] とする。

2. 解き方の手順

(1) 緩和時間 τ\tau の計算
緩和時間 τ\tau は、以下の式で計算できます。
ρ=mene2τ\rho = \frac{m_e^*}{n e^2 \tau}
ここで、e=1.602×1019 [C]e = 1.602 \times 10^{-19} \ [C] は電気素量です。
τ\tau について解くと、
τ=mene2ρ\tau = \frac{m_e^*}{n e^2 \rho}
τ=9.1×1031(8.5×1028)×(1.602×1019)2×(1.7×108)\tau = \frac{9.1 \times 10^{-31}}{(8.5 \times 10^{28}) \times (1.602 \times 10^{-19})^2 \times (1.7 \times 10^{-8})}
τ2.46×1014 [s]\tau \approx 2.46 \times 10^{-14} \ [s]
(2) 電子の移動度 μ\mu の計算
電子の移動度 μ\mu は、以下の式で計算できます。
μ=eτme\mu = \frac{e \tau}{m_e^*}
μ=1.602×1019×2.46×10149.1×10314.32×103 [m2/Vs]\mu = \frac{1.602 \times 10^{-19} \times 2.46 \times 10^{-14}}{9.1 \times 10^{-31}} \approx 4.32 \times 10^{-3} \ [m^2/Vs]
問題文の単位に合わせて、cm2/Vscm^2/Vs に変換します。
μ=4.32×103 [m2/Vs]=4.32×103×(100)2 [cm2/Vs]=43.2 [cm2/Vs]\mu = 4.32 \times 10^{-3} \ [m^2/Vs] = 4.32 \times 10^{-3} \times (100)^2 \ [cm^2/Vs] = 43.2 \ [cm^2/Vs]
(3) ドリフト速度 vdv_d の計算
ドリフト速度 vdv_d は、以下の式で計算できます。
vd=μEv_d = \mu E
ここで、EE は電界の強さです。E=1.0 [V/cm]=1.0×102 [V/m]E = 1.0 \ [V/cm] = 1.0 \times 10^2 \ [V/m] です。
vd=4.32×103×102=0.432 [m/s]v_d = 4.32 \times 10^{-3} \times 10^2 = 0.432 \ [m/s]

3. 最終的な答え

緩和時間 τ\tau: 2.46×1014 [s]2.46 \times 10^{-14} \ [s]
電子の移動度 μ\mu: 43.2 [cm2/Vs]43.2 \ [cm^2/Vs]
ドリフト速度 vdv_d: 0.432 [m/s]0.432 \ [m/s]

「応用数学」の関連問題

図1のように、$x$軸上を運動する物体があり、その速度$v$と時間$t$の関係が図2のグラフで表されています。時刻$t=0$で物体は原点Oを通過します。 (1) 時刻0秒から4秒までの加速度を求め、そ...

運動速度加速度変位グラフ
2025/6/4

xy平面内を運動する物体に力 $\vec{F} = (2y, 1)$ が働いている。 (1) 原点Oから点A(1, 0)を通り、点B(1, 1)へ直線で移動する経路$C_1$に沿って移動するときの、力...

ベクトル場線積分仕事力学
2025/6/4

質量2kgの物体が、水平面と $\frac{\pi}{6}$ [rad] の角度をなす滑らかな斜面を上っている。斜面に沿って12Nの一定の力Fが加えられ、斜面に沿って5m引き上げられた。力を加え始めた...

力学仕事エネルギー保存則物理
2025/6/4

需要量 $x$、供給量 $y$、価格 $p$ とし、需要曲線が $x = 180 - p$、供給曲線が $y = 2p$ で与えられている。政府が価格の下限を80に設定したときの生産者余剰の大きさを求...

経済学需要曲線供給曲線生産者余剰死荷重従価税
2025/6/4

需要曲線 $x = 180 - p$、供給曲線 $y = 2p$ の市場において、消費者に1単位あたり30の従量税が課された場合の生産者余剰を求める問題です。

経済学ミクロ経済学需要曲線供給曲線生産者余剰死荷重税金
2025/6/4

価格を $p$、需要量を $x$、供給量を $y$ とする。需要曲線と供給曲線が $x = 180 - p$、 $y = 2p$ で与えられている。この市場において、政府は消費者に財1単位あたり30の...

経済学需要と供給課税均衡価格死荷重
2025/6/4

需要曲線 $x = 180 - p$ と供給曲線 $y = 2p$ が与えられたとき、市場均衡における社会余剰を求める問題です。

ミクロ経済学需要曲線供給曲線市場均衡社会余剰従量税
2025/6/4

価格を $p$、需要量を $x$、供給量を $y$ とします。需要曲線 $x = 180 - p$ と供給曲線 $y = 2p$ が与えられたとき、市場均衡における消費者余剰を求めます。

経済学消費者余剰生産者余剰需要曲線供給曲線積分
2025/6/4

断熱容器に20℃の水100gが入っている。63℃に温められた20gの金属球を入れ、熱平衡に達したとき水温が21℃になった。水の比熱が4.2 J/(g K)のとき、金属球の比熱を求める問題です。

熱力学比熱熱平衡物理
2025/6/3

両端回転端の長さ1.2m、直径80mmの鋳鉄製円柱の座屈荷重 $W$ と座屈応力 $\sigma$ を求める問題です。

座屈構造力学材料力学ランキンの式断面二次モーメント断面二次半径
2025/6/3