この問題は、白熱電球の発熱体を黒体と仮定し、ウィーンの変位則を用いて発熱体の温度を求め、単位時間・単位面積当たりに放出するエネルギーを求め、さらに表面積が与えられた場合に放出されるエネルギーを計算する問題です。最後に、可視光線と赤外線の放出エネルギーの割合を計算し、白熱電球が照明器か赤外線照射器かを考察します。

応用数学熱力学物理ウィーンの変位則黒体放射エネルギー計算
2025/5/31

1. 問題の内容

この問題は、白熱電球の発熱体を黒体と仮定し、ウィーンの変位則を用いて発熱体の温度を求め、単位時間・単位面積当たりに放出するエネルギーを求め、さらに表面積が与えられた場合に放出されるエネルギーを計算する問題です。最後に、可視光線と赤外線の放出エネルギーの割合を計算し、白熱電球が照明器か赤外線照射器かを考察します。

2. 解き方の手順

(i) ウィーンの変位則を使って温度を求める。
ウィーンの変位則は λmaxT=b \lambda_{max} T = b で表されます。ここで、λmax \lambda_{max} は最も強度が高い波長、T T は絶対温度、b b はウィーンの変位定数(b2.898×103 mK b \approx 2.898 \times 10^{-3} \ m \cdot K )です。
λmax=1.07 μm=1.07×106 m \lambda_{max} = 1.07 \ \mu m = 1.07 \times 10^{-6} \ m を代入して、T T を求めます。
T=bλmax=2.898×1031.07×1062708.4 K T = \frac{b}{\lambda_{max}} = \frac{2.898 \times 10^{-3}}{1.07 \times 10^{-6}} \approx 2708.4 \ K
(ii) 単位時間・単位面積当たりのエネルギーを求める。
問題文には情報がありませんが、問題文(iv)でWV W_V WIR W_{IR} が与えられています。
全エネルギーは、WV+WIR W_V + W_{IR} で計算されます。
W=WV+WIR=2.2×102kW/m2+2.8×103kW/m2=0.22×103kW/m2+2.8×103kW/m2=3.02×103kW/m2 W = W_V + W_{IR} = 2.2 \times 10^2 kW/m^2 + 2.8 \times 10^3 kW/m^2 = 0.22 \times 10^3 kW/m^2 + 2.8 \times 10^3 kW/m^2 = 3.02 \times 10^3 kW/m^2
W=3.02×106W/m2 W = 3.02 \times 10^6 W/m^2
(iii) 表面積から放出されるエネルギーを求める。
表面積 A=0.30 cm2=0.30×104 m2 A = 0.30 \ cm^2 = 0.30 \times 10^{-4} \ m^2 です。
放出されるエネルギー E E は、E=W×A E = W \times A で求められます。
E=(3.02×106W/m2)×(0.30×104m2)=9.06×101W=90.6 W E = (3.02 \times 10^6 W/m^2) \times (0.30 \times 10^{-4} m^2) = 9.06 \times 10^1 W = 90.6 \ W
(iv) 可視光線と赤外線の割合を計算する。
可視光線のエネルギー WV=2.2×102 kW/m2=2.2×105 W/m2 W_V = 2.2 \times 10^2 \ kW/m^2 = 2.2 \times 10^5 \ W/m^2
赤外線のエネルギー WIR=2.8×103 kW/m2=2.8×106 W/m2 W_{IR} = 2.8 \times 10^3 \ kW/m^2 = 2.8 \times 10^6 \ W/m^2
全エネルギー W=3.02×106 W/m2 W = 3.02 \times 10^6 \ W/m^2
可視光線の割合 = WVW=2.2×1053.02×1060.0728 \frac{W_V}{W} = \frac{2.2 \times 10^5}{3.02 \times 10^6} \approx 0.0728
赤外線の割合 = WIRW=2.8×1063.02×1060.9272 \frac{W_{IR}}{W} = \frac{2.8 \times 10^6}{3.02 \times 10^6} \approx 0.9272
赤外線の割合が圧倒的に高いので、白熱電球は照明器というよりは赤外線照射器(暖房機器)であると言えます。

3. 最終的な答え

(i) 発熱体の温度 T2708.4 K T \approx 2708.4 \ K
(ii) 単位時間・単位面積当たりのエネルギー W=3.02×106 W/m2 W = 3.02 \times 10^6 \ W/m^2
(iii) 放出されるエネルギー E=90.6 W E = 90.6 \ W
(iv) 白熱電球は照明器というよりは赤外線照射器(暖房機器)である。

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