白熱電球の発熱体が黒体であると仮定して、以下の問いに答えます。 (i) ある白熱電球から放射される光の最も強度の高い波長が $1.07 \ \mu m$ であったとき、ウィーンの変位則を用いて発熱体の温度 $T [K]$ を求めます。 (ii) この白熱電球の発熱体が単位時間・単位面積当たりに放出するエネルギー $W [W/m^2]$ を求めます。 (iii) この発熱体の表面積が $0.30 \ cm^2$ であるとき、放出されるエネルギーは何 $W$ かを求めます。 (iv) 可視光線の波長 $\lambda$ は $380 \ nm \sim 750 \ nm$ で、それより長い波長 $750 \ nm \sim 1000 \ nm$ は赤外線と分類されます。 (i) で求めた $T$ で、可視光線波長、赤外線波長における放出エネルギー $W_V, W_{IR}$ をプランクの法則から計算し、 これらの値と (ii) の結果を用いて、放出される全エネルギーに対する、照明(可視光)のエネルギーと赤外線のエネルギーの割合を計算し、その結果から白熱電灯は「照明器」というよりは「赤外線照射器(暖房機器)」であることを示します。 $I(\lambda, T) = \frac{2\pi hc^2}{\lambda^5} \frac{1}{e^{\frac{hc}{\lambda k T}}-1}$ $W_V = \int_{380 \ nm}^{750 \ nm} I(\lambda, T) d\lambda \approx 2.2 \times 10^2 \ kW/m^2$ $W_{IR} = \int_{750 \ nm}^{1000 \ nm} I(\lambda, T) d\lambda \approx 2.8 \times 10^3 \ kW/m^2$
2025/5/31
1. 問題の内容
白熱電球の発熱体が黒体であると仮定して、以下の問いに答えます。
(i) ある白熱電球から放射される光の最も強度の高い波長が であったとき、ウィーンの変位則を用いて発熱体の温度 を求めます。
(ii) この白熱電球の発熱体が単位時間・単位面積当たりに放出するエネルギー を求めます。
(iii) この発熱体の表面積が であるとき、放出されるエネルギーは何 かを求めます。
(iv) 可視光線の波長 は で、それより長い波長 は赤外線と分類されます。
(i) で求めた で、可視光線波長、赤外線波長における放出エネルギー をプランクの法則から計算し、
これらの値と (ii) の結果を用いて、放出される全エネルギーに対する、照明(可視光)のエネルギーと赤外線のエネルギーの割合を計算し、その結果から白熱電灯は「照明器」というよりは「赤外線照射器(暖房機器)」であることを示します。
2. 解き方の手順
(i) ウィーンの変位則は で表されます。ここで、 は最も強度の高い波長、 は温度、 はウィーンの変位定数()です。
より、
(ii) ステファン・ボルツマンの法則によれば、黒体からの単位時間・単位面積当たりの放射エネルギーは で与えられます。ここで、 はステファン・ボルツマン定数()です。
したがって、
(iii) 発熱体の表面積が であるので、放出されるエネルギーは で計算できます。
(iv) 与えられた 、 です。
全放射エネルギーは です。
可視光のエネルギーの割合は
赤外線のエネルギーの割合は
したがって、赤外線の割合が圧倒的に高いため、白熱電球は「照明器」というよりは「赤外線照射器(暖房機器)」であると言えます。
3. 最終的な答え
(i)
(ii)
(iii)
(iv) 赤外線の割合が圧倒的に高いため、白熱電球は「照明器」というよりは「赤外線照射器(暖房機器)」である。