弦の振動に関する問題です。太郎と花子がそれぞれ実験を行い、弦の張力、線密度、波の速さ、振動数、おもりの質量などを変化させたときの定常波の変化を観察します。 (1) 太郎と花子の実験①で変化させた物理量を答えます。 (2) 太郎と花子の実験①で、波の速さが元の何倍になったか答えます。 (3) 花子の実験で、たこ糸を4本にしたとき、腹が4つで振動数がf[Hz]のときの、タコ糸の線密度ρを求めます。 (4) 花子の実験で、たこ糸4本でおもりの質量を変えたら腹が2つで振動数がf[Hz]になったときのおもりの質量を求め、(3)と比較します。

以下に問題の解答を示します。

1. 問題の内容

弦の振動に関する問題です。太郎と花子がそれぞれ実験を行い、弦の張力、線密度、波の速さ、振動数、おもりの質量などを変化させたときの定常波の変化を観察します。

(1) 太郎と花子の実験①で変化させた物理量を答えます。

(2) 太郎と花子の実験①で、波の速さが元の何倍になったか答えます。

(3) 花子の実験で、たこ糸を4本にしたとき、腹が4つで振動数がf[Hz]のときの、タコ糸の線密度ρを求めます。

(4) 花子の実験で、たこ糸4本でおもりの質量を変えたら腹が2つで振動数がf[Hz]になったときのおもりの質量を求め、(3)と比較します。

2. 解き方の手順

(1)

太郎の実験:おもりの数を増やしたので、弦の張力Tが変化しました。

花子の実験①: たこ糸の本数を増やしたので、弦の線密度ρが変化しました。

(2)

まず、弦を伝わる波の速さvは、$v = \sqrt{\frac{T}{\rho}}$で表されます。また、振動数fは、$f = \frac{v}{\lambda}$で表されます。

太郎の実験：腹が2つのとき、波長$\lambda = l$です。腹が1つのとき、波長$\lambda' = 2l$です。振動数は一定なので、

$f = \frac{v}{l} = \frac{v'}{2l}$

$v' = 2v$

波の速さは2倍になりました。

花子の実験①：腹が2つのとき、波長$\lambda = l$です。腹が4つのとき、波長$\lambda' = \frac{l}{2}$です。振動数は一定なので、

$f = \frac{v}{l} = \frac{v'}{l/2}$

$v' = \frac{v}{2}$

花子の実験では、糸をn本束ねると線密度はn倍になるので、$v = \sqrt{\frac{T}{\rho}}$より、糸を４本束ねた時の速さは半分になる。

(3)

腹が4つのとき、波長$\lambda = \frac{l}{3}$です。

$f = \frac{v}{\lambda} = \frac{v}{l/3} = \frac{3v}{l}$

$v = \frac{fl}{3}$

また、たこ糸4本の線密度を$\rho'$とすると、$\rho' = 4\rho$。張力はTのままなので、

$v = \sqrt{\frac{T}{\rho'}} = \sqrt{\frac{T}{4\rho}}$

よって、

$\frac{fl}{3} = \sqrt{\frac{T}{4\rho}}$

$\frac{f^2l^2}{9} = \frac{T}{4\rho}$

$\rho = \frac{9T}{4f^2l^2}$

ここで、たこ糸一本の時の張力Tを求める。たこ糸1本で腹が2つの時、$f=\frac{v}{l}$、$v=\sqrt{\frac{T}{\rho}}$だから、$f=\frac{1}{l}\sqrt{\frac{T}{\rho}}$となる。

$\rho=\frac{T}{f^2l^2}$

よって、4本にしたときの線密度は$4\rho=4\frac{T}{f^2l^2}$

$f = \frac{v}{\lambda} = \frac{4v}{l}$なので

$v = \frac{fl}{4}$

$v = \sqrt{\frac{T}{4\rho}}$

$\frac{f^2l^2}{16} = \frac{T}{4\rho}$

$\rho = \frac{4T}{16f^2l^2}$

$\rho = \frac{T}{4f^2l^2}$

(4)

腹が2つのとき、波長$\lambda = l$です。

$f = \frac{v}{\lambda} = \frac{v}{l}$

$v = fl$

たこ糸4本なので、線密度は$4\rho$。おもりの質量を$T'$とすると、

$v = \sqrt{\frac{T'}{4\rho}}$

$fl = \sqrt{\frac{T'}{4\rho}}$

$f^2l^2 = \frac{T'}{4\rho}$

$T' = 4\rho f^2l^2$

(3)より、$\rho = \frac{T}{4f^2l^2}$なので、

$T' = 4(\frac{T}{4f^2l^2})f^2l^2 = T$

最初のおもりの質量と変わらない。しかし、(3)でたこ糸を4本にしたときは、おもりの質量が4倍になっていたはず。

3. 最終的な答え

(1) 太郎：弦の張力、花子①：弦の線密度

(2) 太郎：2倍、花子①：1/2倍

(3) $\rho = \frac{T}{4f^2l^2}$

(4) 最初のおもりの質量と変わらない。