次の不等式を証明する。 (1) $x \log x \geq x - 1 \quad (x > 0)$ (2) $\frac{2}{\pi} x < \sin x < x \quad (0 < x < \frac{\pi}{2})$

1. 問題の内容

次の不等式を証明する。

(1) $x \log x \geq x - 1 \quad (x > 0)$

(2) $\frac{2}{\pi} x < \sin x < x \quad (0 < x < \frac{\pi}{2})$

2. 解き方の手順

(1)

関数 $f(x) = x \log x - x + 1$ を考える。$x > 0$ である。

$f'(x) = \log x + x \cdot \frac{1}{x} - 1 = \log x + 1 - 1 = \log x$

$f'(x) = 0$ となるのは $\log x = 0$ より $x = 1$ のとき。

$0 < x < 1$ のとき $f'(x) < 0$ であり、$x > 1$ のとき $f'(x) > 0$ であるから、$x = 1$ で $f(x)$ は最小値をとる。

$f(1) = 1 \cdot \log 1 - 1 + 1 = 1 \cdot 0 - 1 + 1 = 0$

したがって、$f(x) \geq 0$ であるから、$x \log x - x + 1 \geq 0$ となり、$x \log x \geq x - 1$ が成り立つ。

(2)

まず、$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $\sin x < x$ を示す。

関数 $g(x) = x - \sin x$ を考える。

$g'(x) = 1 - \cos x$

$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $\cos x < 1$ であるから、$g'(x) > 0$ である。

したがって、$g(x)$ は単調増加関数である。

また、$g(0) = 0 - \sin 0 = 0$ であるから、$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $g(x) > 0$ となる。

よって、$x - \sin x > 0$ より $\sin x < x$ が成り立つ。

次に、$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $\frac{2}{\pi} x < \sin x$ を示す。

関数 $h(x) = \sin x - \frac{2}{\pi} x$ を考える。

$h'(x) = \cos x - \frac{2}{\pi}$

$h''(x) = -\sin x$

$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $h''(x) < 0$ であるから、$h'(x)$ は単調減少関数である。

$h'(0) = \cos 0 - \frac{2}{\pi} = 1 - \frac{2}{\pi} > 0$

$h'(\frac{\pi}{2}) = \cos \frac{\pi}{2} - \frac{2}{\pi} = 0 - \frac{2}{\pi} = -\frac{2}{\pi} < 0$

したがって、ある $c \in (0, \frac{\pi}{2})$ において $h'(c) = 0$ となる。

$0 < x < c$ において $h'(x) > 0$ であり、$c < x < \frac{\pi}{2}$ において $h'(x) < 0$ である。

したがって、$x = c$ で $h(x)$ は最大値をとる。

$h(0) = \sin 0 - \frac{2}{\pi} \cdot 0 = 0$

$h(\frac{\pi}{2}) = \sin \frac{\pi}{2} - \frac{2}{\pi} \cdot \frac{\pi}{2} = 1 - 1 = 0$

したがって、$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $h(x) > 0$ となる。

よって、$\sin x - \frac{2}{\pi} x > 0$ より $\frac{2}{\pi} x < \sin x$ が成り立つ。

以上より、$\frac{2}{\pi} x < \sin x < x$ が成り立つ。

3. 最終的な答え

(1) $x \log x \geq x - 1$

(2) $\frac{2}{\pi} x < \sin x < x$