次の複素関数 $f(z)$ が微分可能かどうかを調べ、可能であれば $z = \alpha$ における微分係数を求める問題です。関数は以下の4つです。 (1) $f(z) = z^4$ (2) $f(z) = |z|^2$ (3) $f(z) = \frac{z}{z^2 + 1}$ (4) $f(z) = (1+e^{iz})^2$

1. 問題の内容

次の複素関数 $f(z)$ が微分可能かどうかを調べ、可能であれば $z = \alpha$ における微分係数を求める問題です。関数は以下の4つです。

(1) $f(z) = z^4$

(2) $f(z) = |z|^2$

(3) $f(z) = \frac{z}{z^2 + 1}$

(4) $f(z) = (1+e^{iz})^2$

2. 解き方の手順

(1) $f(z) = z^4$ の場合

$f(z)$は多項式であるため、複素平面全体で微分可能です。

微分は、$f'(z) = 4z^3$ となります。

$z = \alpha$ における微分係数は、$f'(\alpha) = 4\alpha^3$ です。

(2) $f(z) = |z|^2$ の場合

$f(z) = x^2 + y^2$ と表せるので、

$u(x, y) = x^2 + y^2$ 、$v(x, y) = 0$ とします。

コーシー・リーマンの関係式は、$\frac{\partial u}{\partial x} = \frac{\partial v}{\partial y}$ と $\frac{\partial u}{\partial y} = -\frac{\partial v}{\partial x}$です。

$\frac{\partial u}{\partial x} = 2x$, $\frac{\partial v}{\partial y} = 0$, $\frac{\partial u}{\partial y} = 2y$, $\frac{\partial v}{\partial x} = 0$

コーシー・リーマンの関係式を満たすには、$2x = 0$ かつ $2y = 0$ である必要があるので、$x = 0$ かつ $y = 0$、つまり、$z = 0$ のときのみ微分可能です。

$z = 0$ における微分係数は、$f'(0) = 0$ です。$z = \alpha$ での微分可能性を問われているので、もし $\alpha \ne 0$ なら微分不可能、$\alpha = 0$ なら微分可能で $f'(0) = 0$です。

(3) $f(z) = \frac{z}{z^2 + 1}$ の場合

$z^2 + 1 = 0$ となる点 $z = \pm i$ 以外で微分可能です。

$f'(z) = \frac{(z^2 + 1) - z(2z)}{(z^2 + 1)^2} = \frac{1 - z^2}{(z^2 + 1)^2}$

$z = \alpha$ における微分係数は、$f'(\alpha) = \frac{1 - \alpha^2}{(\alpha^2 + 1)^2}$ です。ただし、$\alpha \ne \pm i$。

(4) $f(z) = (1 + e^{iz})^2$ の場合

$f(z)$は指数関数と多項式の合成関数であるため、複素平面全体で微分可能です。

$f'(z) = 2(1 + e^{iz}) \cdot ie^{iz} = 2i e^{iz}(1 + e^{iz})$

$z = \alpha$ における微分係数は、$f'(\alpha) = 2i e^{i\alpha}(1 + e^{i\alpha})$ です。

3. 最終的な答え

(1) $f(z) = z^4$ は、$z = \alpha$ で微分可能で、$f'(\alpha) = 4\alpha^3$。

(2) $f(z) = |z|^2$ は、$z = 0$ でのみ微分可能。$\alpha \ne 0$ なら微分不可能、$\alpha = 0$ なら微分可能で $f'(0) = 0$。

(3) $f(z) = \frac{z}{z^2 + 1}$ は、$z \ne \pm i$ で微分可能。$z = \alpha$ における微分係数は、$f'(\alpha) = \frac{1 - \alpha^2}{(\alpha^2 + 1)^2}$ ($\alpha \ne \pm i$)。

(4) $f(z) = (1 + e^{iz})^2$ は、$z = \alpha$ で微分可能で、$f'(\alpha) = 2i e^{i\alpha}(1 + e^{i\alpha})$。