$\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$ 上の演算を「掛け算を4で割った余り」と定義し、その演算表を完成させること。また、$(\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}, \cdot)$ が群であるかどうかを判定し、群でない場合はその理由を述べること。

代数学群論合同算術剰余環群の判定
2025/6/4

1. 問題の内容

Z/4Z\mathbb{Z}/4\mathbb{Z} 上の演算を「掛け算を4で割った余り」と定義し、その演算表を完成させること。また、(Z/4Z,)(\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}, \cdot) が群であるかどうかを判定し、群でない場合はその理由を述べること。

2. 解き方の手順

(1) 演算表の完成
Z/4Z={0,1,2,3}\mathbb{Z}/4\mathbb{Z} = \{0, 1, 2, 3\} 上の演算 \cdot は、通常の整数の掛け算を4で割った余りとして定義される。演算表の各マスに、対応する行と列の要素の積を4で割った余りを書き込む。
* 0との積は全て0になる。
* 1との積は元の数と同じになる。
* 2との積は以下のようになる: 20=02 \cdot 0 = 0, 21=22 \cdot 1 = 2, 22=40(mod4)2 \cdot 2 = 4 \equiv 0 \pmod{4}, 23=62(mod4)2 \cdot 3 = 6 \equiv 2 \pmod{4}.
* 3との積は以下のようになる: 30=03 \cdot 0 = 0, 31=33 \cdot 1 = 3, 32=62(mod4)3 \cdot 2 = 6 \equiv 2 \pmod{4}, 33=91(mod4)3 \cdot 3 = 9 \equiv 1 \pmod{4}.
よって、演算表は以下のようになる。
| \cdot | 0 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 2 | 3 |
| 2 | 0 | 2 | 0 | 2 |
| 3 | 0 | 3 | 2 | 1 |
(2) 群の判定
(Z/4Z,)(\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}, \cdot) が群であるためには、以下の4つの条件を満たす必要がある。
* 結合律: 任意の a,b,cZ/4Za, b, c \in \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} に対して、 (ab)c=a(bc)(a \cdot b) \cdot c = a \cdot (b \cdot c) が成り立つ。
* 単位元の存在: ある eZ/4Ze \in \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} が存在して、任意の aZ/4Za \in \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} に対して ae=ea=aa \cdot e = e \cdot a = a が成り立つ。
* 逆元の存在: 任意の aZ/4Za \in \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} に対して、ある a1Z/4Za^{-1} \in \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} が存在して aa1=a1a=ea \cdot a^{-1} = a^{-1} \cdot a = e が成り立つ。
* 演算が閉じていること:任意の a,bZ/4Za, b \in \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} に対して abZ/4Za \cdot b \in \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} が成り立つ。
上記の演算表から、単位元は 1 であることがわかる。しかし、0と2には逆元が存在しない。なぜなら、0と2に何を掛けても1にならないからである。
したがって、(Z/4Z,)(\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}, \cdot) は群ではない。

3. 最終的な答え

演算表:
| \cdot | 0 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 2 | 3 |
| 2 | 0 | 2 | 0 | 2 |
| 3 | 0 | 3 | 2 | 1 |
(Z/4Z,)(\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}, \cdot) は群ではない。理由は、0と2に逆元が存在しないため。

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