壺の中に赤球1個、白球2個が入っている。壺から球を1個取り出し、色を確認して元に戻す操作を3回行う。その後、壺を空にして、3回の操作で出た赤球の数だけ赤球を、白球の数だけ白球を壺に入れる操作を繰り返す。$n$回操作後に、壺の中の赤球が1個である確率を$p_n$、2個である確率を$q_n$、3個である確率を$r_n$とする。 (1) $p_{n+1}$と$q_{n+1}$を$p_n, q_n$を用いて表せ。 (2) $p_n + q_n$を求めよ。 (3) $r_n$および$\lim_{n \to \infty} r_n$を求めよ。

確率論・統計学確率確率漸化式期待値極限
2025/6/5

1. 問題の内容

壺の中に赤球1個、白球2個が入っている。壺から球を1個取り出し、色を確認して元に戻す操作を3回行う。その後、壺を空にして、3回の操作で出た赤球の数だけ赤球を、白球の数だけ白球を壺に入れる操作を繰り返す。nn回操作後に、壺の中の赤球が1個である確率をpnp_n、2個である確率をqnq_n、3個である確率をrnr_nとする。
(1) pn+1p_{n+1}qn+1q_{n+1}pn,qnp_n, q_nを用いて表せ。
(2) pn+qnp_n + q_nを求めよ。
(3) rnr_nおよびlimnrn\lim_{n \to \infty} r_nを求めよ。

2. 解き方の手順

(1)
n+1n+1回目の操作後の壺の中身は、nn回目の操作の結果によって決定される。
pn+1p_{n+1}: n+1n+1回目に赤球が1個となるのは、nn回目に赤球が1個だった場合と、nn回目に赤球が2個だった場合に起こりうる。
- nn回目に赤球が1個である場合(確率pnp_n)、3回の操作で赤球が1回出る必要がある。この確率は3C1(1/3)1(2/3)2=31349=49_3C_1 (1/3)^1 (2/3)^2 = 3 \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{4}{9} = \frac{4}{9}である。
- nn回目に赤球が2個である場合(確率qnq_n)、3回の操作で赤球が1回出る必要がある。この確率は3C1(2/3)1(1/3)2=32319=29_3C_1 (2/3)^1 (1/3)^2 = 3 \cdot \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{9} = \frac{2}{9}である。
したがって、
pn+1=49pn+29qnp_{n+1} = \frac{4}{9} p_n + \frac{2}{9} q_n
qn+1q_{n+1}: n+1n+1回目に赤球が2個となるのは、nn回目に赤球が1個だった場合と、nn回目に赤球が2個だった場合に起こりうる。
- nn回目に赤球が1個である場合(確率pnp_n)、3回の操作で赤球が2回出る必要がある。この確率は3C2(1/3)2(2/3)1=31923=29_3C_2 (1/3)^2 (2/3)^1 = 3 \cdot \frac{1}{9} \cdot \frac{2}{3} = \frac{2}{9}である。
- nn回目に赤球が2個である場合(確率qnq_n)、3回の操作で赤球が2回出る必要がある。この確率は3C2(2/3)2(1/3)1=34913=49_3C_2 (2/3)^2 (1/3)^1 = 3 \cdot \frac{4}{9} \cdot \frac{1}{3} = \frac{4}{9}である。
したがって、
qn+1=29pn+49qnq_{n+1} = \frac{2}{9} p_n + \frac{4}{9} q_n
(2)
pn+1+qn+1=(49pn+29qn)+(29pn+49qn)=69pn+69qn=23(pn+qn)p_{n+1} + q_{n+1} = (\frac{4}{9} p_n + \frac{2}{9} q_n) + (\frac{2}{9} p_n + \frac{4}{9} q_n) = \frac{6}{9} p_n + \frac{6}{9} q_n = \frac{2}{3}(p_n + q_n)
ここで、p1=1349+2329=49p_1 = \frac{1}{3} \cdot \frac{4}{9} + \frac{2}{3} \cdot \frac{2}{9} = \frac{4}{9}q1=1329+2349=1027q_1 = \frac{1}{3} \cdot \frac{2}{9} + \frac{2}{3} \cdot \frac{4}{9} = \frac{10}{27}より、p1+q1=2227p_1+q_1 = \frac{22}{27}
pn+qnp_n + q_nは等比数列なので、pn+qn=(p1+q1)(23)n1=2227(23)n1=1118(23)np_n + q_n = (p_1 + q_1) (\frac{2}{3})^{n-1} = \frac{22}{27} (\frac{2}{3})^{n-1} = \frac{11}{18} (\frac{2}{3})^n
(3)
pn+qn+rn=1p_n + q_n + r_n = 1より、rn=1(pn+qn)=11118(23)nr_n = 1 - (p_n + q_n) = 1 - \frac{11}{18} (\frac{2}{3})^n
limnrn=limn(11118(23)n)=10=1\lim_{n \to \infty} r_n = \lim_{n \to \infty} (1 - \frac{11}{18} (\frac{2}{3})^n) = 1 - 0 = 1

3. 最終的な答え

(1) pn+1=49pn+29qnp_{n+1} = \frac{4}{9} p_n + \frac{2}{9} q_n, qn+1=29pn+49qnq_{n+1} = \frac{2}{9} p_n + \frac{4}{9} q_n
(2) pn+qn=1118(23)np_n + q_n = \frac{11}{18} (\frac{2}{3})^n
(3) rn=11118(23)nr_n = 1 - \frac{11}{18} (\frac{2}{3})^n, limnrn=1\lim_{n \to \infty} r_n = 1

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