A大学のU教授の単位認定が以前よりも厳しくなったかどうかを判断するために、受講者の80%が単位を取得できるという帰無仮説を有意水準5%で左側検定を行います。受講者100人中73人が単位を取得したという今年度のデータを用いて、検定統計量の平均、分散、標準化された統計量、その実現値を計算し、帰無仮説を棄却できるかを判断します。

確率論・統計学統計的仮説検定二項分布正規分布有意水準片側検定
2025/6/5

1. 問題の内容

A大学のU教授の単位認定が以前よりも厳しくなったかどうかを判断するために、受講者の80%が単位を取得できるという帰無仮説を有意水準5%で左側検定を行います。受講者100人中73人が単位を取得したという今年度のデータを用いて、検定統計量の平均、分散、標準化された統計量、その実現値を計算し、帰無仮説を棄却できるかを判断します。

2. 解き方の手順

- 統計量 S=n=1100XnS = \sum_{n=1}^{100} X_n は、二項分布に従う。
ここで、XnX_nはn番目の学生が単位を取得すれば1、取得できなければ0となる。
- 帰無仮説の下では、単位を取得できる確率p=0.8p = 0.8である。
- SSの平均E(S)E(S)は、E(S)=np=100×0.8=80E(S) = np = 100 \times 0.8 = 80
- SSの分散V(S)V(S)は、V(S)=np(1p)=100×0.8×(10.8)=100×0.8×0.2=16V(S) = np(1-p) = 100 \times 0.8 \times (1-0.8) = 100 \times 0.8 \times 0.2 = 16
- SSを標準化した統計量TTは、T=SE(S)V(S)=S8016=S804T = \frac{S - E(S)}{\sqrt{V(S)}} = \frac{S - 80}{\sqrt{16}} = \frac{S - 80}{4}
- 今年度の単位認定に対するTTの実現値ttは、今年度の単位取得者S=73S=73を代入して、
t=73804=74=1.75t = \frac{73 - 80}{4} = \frac{-7}{4} = -1.75
- TTの分布は平均0、分散1の正規分布で近似できる。
- P(T>1.645)=0.05P(T > 1.645) = 0.05であるから、P(T<1.645)=0.05P(T < -1.645) = 0.05
- t=1.75<1.645t = -1.75 < -1.645であるから、有意水準5%で帰無仮説は棄却される。

3. 最終的な答え

E(S)=80E(S) = 80
V(S)=16V(S) = 16
T=S804T = \frac{S - 80}{4}
t=1.75t = -1.75
t<1.645t < -1.645から、左片側検定において有意水準(危険率)5%で帰無仮説は棄却される。
つまり、U教授の単位認定は以前よりも厳しくなってきたと言える。

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