与えられた関数の $n$ 次導関数を求めます。 (1) $x^m$ ($m < 0$, $n \le m$, $0 \le m < n$ に場合分けせよ) (2) $\frac{1}{1+x}$ (3) $\frac{1}{1-x}$ (4) $\frac{1}{(1-x)^2}$

1. 問題の内容

与えられた関数の $n$ 次導関数を求めます。

(1) $x^m$ ($m < 0$, $n \le m$, $0 \le m < n$ に場合分けせよ)

(2) $\frac{1}{1+x}$

(3) $\frac{1}{1-x}$

(4) $\frac{1}{(1-x)^2}$

2. 解き方の手順

(1) $f(x) = x^m$ の場合:

* $n \le m$ のとき、$f^{(n)}(x) = m(m-1)(m-2)...(m-n+1)x^{m-n} = \frac{m!}{(m-n)!}x^{m-n}$

ここで $m$ は整数とは限らないので、階乗の代わりにガンマ関数を用いて以下のように書くのが一般的です。

$f^{(n)}(x) = \frac{\Gamma(m+1)}{\Gamma(m-n+1)}x^{m-n}$

ただし、$m < 0$ であることに注意する必要があります。

* $0 \le m < n$ のとき:

まず、$m$が整数の場合、m回微分すると定数となり、$m+1$回以上微分するとゼロになります。

したがって、$\frac{d^n}{dx^n}(x^m)=0$ となります。

次に、$m$が整数でない場合は、上記のガンマ関数を用いた表現で計算できます。

$f^{(n)}(x) = \frac{\Gamma(m+1)}{\Gamma(m-n+1)}x^{m-n}$

この場合は $m-n < 0$ であるので、$x^{m-n} = \frac{1}{x^{n-m}}$ となります。

(2) $f(x) = \frac{1}{1+x} = (1+x)^{-1}$ の場合:

$f'(x) = (-1)(1+x)^{-2}$

$f''(x) = (-1)(-2)(1+x)^{-3} = 2(1+x)^{-3}$

$f'''(x) = (-1)(-2)(-3)(1+x)^{-4} = -6(1+x)^{-4}$

一般に、$f^{(n)}(x) = (-1)^n n! (1+x)^{-(n+1)} = \frac{(-1)^n n!}{(1+x)^{n+1}}$

(3) $f(x) = \frac{1}{1-x} = (1-x)^{-1}$ の場合:

$f'(x) = (-1)(1-x)^{-2}(-1) = (1-x)^{-2}$

$f''(x) = (-2)(1-x)^{-3}(-1) = 2(1-x)^{-3}$

$f'''(x) = (-3)(2)(1-x)^{-4}(-1) = 6(1-x)^{-4}$

一般に、$f^{(n)}(x) = n! (1-x)^{-(n+1)} = \frac{n!}{(1-x)^{n+1}}$

(4) $f(x) = \frac{1}{(1-x)^2} = (1-x)^{-2}$ の場合:

$f'(x) = (-2)(1-x)^{-3}(-1) = 2(1-x)^{-3}$

$f''(x) = (-3)(2)(1-x)^{-4}(-1) = 6(1-x)^{-4}$

$f'''(x) = (-4)(6)(1-x)^{-5}(-1) = 24(1-x)^{-5}$

一般に、$f^{(n)}(x) = (n+1)! (1-x)^{-(n+2)} = \frac{(n+1)!}{(1-x)^{n+2}}$

3. 最終的な答え

(1)

$n \le m$ のとき: $f^{(n)}(x) = \frac{\Gamma(m+1)}{\Gamma(m-n+1)}x^{m-n}$

$0 \le m < n$ のとき: $f^{(n)}(x) = \frac{\Gamma(m+1)}{\Gamma(m-n+1)}x^{m-n}$

(2) $f^{(n)}(x) = \frac{(-1)^n n!}{(1+x)^{n+1}}$

(3) $f^{(n)}(x) = \frac{n!}{(1-x)^{n+1}}$

(4) $f^{(n)}(x) = \frac{(n+1)!}{(1-x)^{n+2}}$