$n$ 次正方行列 $A$ について、$A$ の固有値がすべて $0$ であることと、$A$ がべき零行列であることの同値性を示す問題です。ここで、$A$ がべき零行列であるとは、$A^m = 0$ となる自然数 $m$ が存在するときをいいます。
2025/6/11
1. 問題の内容
次正方行列 について、 の固有値がすべて であることと、 がべき零行列であることの同値性を示す問題です。ここで、 がべき零行列であるとは、 となる自然数 が存在するときをいいます。
2. 解き方の手順
まず、 の固有値がすべて であるならば、 がべき零行列であることを示します。次に、 がべき零行列ならば、 の固有値がすべて であることを示します。
(1) の固有値がすべて であるならば、 がべき零行列であることの証明:
の特性多項式を とすると、固有値がすべて なので、
となります。
ケーリー・ハミルトンの定理より、 です。したがって、
となります。よって、 はべき零行列です。
(2) がべき零行列ならば、 の固有値がすべて であることの証明:
がべき零行列であると仮定すると、 となる自然数 が存在します。
を の固有値とし、 を対応する固有ベクトルとすると、
が成り立ちます。この式を 回繰り返すと、
となります。 であるから、
となります。 は固有ベクトルなので、 です。したがって、
となり、 となります。
よって、 の固有値はすべて です。
3. 最終的な答え
次正方行列 について、 の固有値がすべて であることと、 がべき零行列であることは同値である。